4話
リヒトは呆れを通り越して、笑いがこみ上げてきた。
「はははっ、すっげーな、おまっ。研究のためにっ、水蜜桃軍を足蹴にっするなんて、初めて聞いたわっ。」
リヒトは笑いを制御できなくなって、言葉をつっかえながら並べる。ローリエは砂を間違えて食べた幼子のような顔で、
「ちょっと、そんな馬鹿にしないでよ。これを思いついたとき、俺って天才!って思ったんだけど!」
「嗚呼、お前は天才だよっ。馬鹿を超えた天才だよっ。」
リヒトはローリエの言葉を聞いて、さらに笑いに拍車がかかる。そんなリヒトをずっとジト目で見ながら、ローリエは自分の考えのどこがおかしいのか考えた。
─だって、普通の仕事についたら、外国に行く金を稼ぐのに何十年かかんだよ。水蜜桃軍だったら、数年働けばそれだけの金が手に入る。よっぽど効率がいいじゃねーか。─
笑いが収ったリヒトは
「でも、お前、やっぱり両親の血をちゃんと受け継いでんだな。親父さんに言ってやれよ、きっと泣いて喜ぶぞ。」
ローリエの父は、水蜜桃軍に入ることに最も反対している。研究を継がせたいというのもあるらしいが、何より自分の子を危ない仕事に就かせたくはないのだろうと、リヒトは考える。まさに、親の心子知らずだ。
「だから嫌なんだよ。いい歳した大人がワンワン泣くんだぞ。しかも、男。勘弁してくれ。」
ローリエの顔には、ウンザリと大きく書いてあった。
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