第3話 依頼
「あのー」
珍しく来た依頼人らしき人は、結構若かった。
「いらっしゃいませ!どうぞ、どうぞ こちらにおかけください!」
さすが安海ちゃん。営業スマイル全開で接待モードだ。
「ご依頼ですか?それともご相談
でしょうか?うちは、予約や紹介状みたいな、ツテがなくても、安くそして、早く受けたまりますよ!」
安海ちゃん…予約も紹介状も来たことないし、請負額も定額なんですが。
「2人なんですね、ちょっとご相談があったのですが…」
安海ちゃんの口調のせいか、結構畏まった喋りだ。
「人数の御入用ですか?それでしたら、ここにいませんが、数人程度でしたら、当てがございます、新規のご相談でしたら、無料で承りますので、どうぞお掛けになっておはなしをしていただけませんか?」
流石安海ちゃん、一生ついていきます!
…でも数人のアテとは?おじさんに内緒で危ないことしてないよね安海ちゃん?
「………」
ちょっと難しい顔して悩んだ挙句、意を決して部屋に入り、ソファーに座った。
なかなか難しい依頼のようだ、しかとさの悩みを聞き届けてやろう。聞くだけ聞いて、受けるかは、内容次第だ。
偉そうに彼の前に座ろうとしたら、安海ちゃんが、
あ・ん・た・はお茶いれろ
と、声に出さずに命令してくる。ここで一番偉いのは、おじさんなのに…くすん。
「すみません、うちのトップは聞き下手ですので、代わりに私がお伺いいたします」
渋々奥の方でお茶を入れに行くことに、自覚はしてるのだ。相手の話の途中で、自分の意見を挟みがちになるのだ…
とりあえず、話が終わったら安海ちゃんに全容を聞いて考えれば良いか。
考えを漫ろに、適当にお茶を入れて持っていった。
カッコヨクヤル 野々下 勝也 @nonokatu
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