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「でねぇ、ルイちゃんのそういうところが好きだって彼氏が言うらしくって、もぅ羨ましいったら、悲しいったらねぇ」

「うんうん、そうだな」

 酒によって酔い方が変わる人がいる。ミケの場合は日本酒を飲むとかなりねちっこく絡んでくる。正直ウザイけど、今日は良い酒が飲めて気分がいいからトコトン付き合ってやろうとも。

「人肌恋しい季節だしぃ、あたしも早く恋人が欲しいのぉ」

「人肌が恋しいから恋人が欲しいのか?」

「違うわよぉ! 確かにそれもあるけど、それだけならはなちゃんがいるでしょぉ」

「おいやめろ語弊があるだろ」

「ないわよぉ、こうやってお酒も付き合ってくれるし、ご飯だって一緒に食べてくれるしぃ」

 そりゃそれくらいは付き合うけどさ。

「傍に居て安心できるっていうか、頼りたいし頼られたいし、甘えたいし甘えられたいし・・・なんていうのかな、心の癒し? みたいな?」

 あー、うん。分からない事もない、か。

「誰かあたしの癒しになってくれないかしら」

「誰かでいいの?」

 ニヤッと笑いながら訊いてみる。ミケがじっと顔を見て、恨めしそうに言う。

「うそ、いや。イツキ君がいい」

 目が据わっている。でも嘘ではない。

「やっぱりイツキ君がいいかぁ」

「今は彼しか考えられない」

 今は彼しか、か。

「ねぇ、はなちゃん」

「ん?」

「今日は何の日が知ってる?」

「いい夫婦の日?」

「そう。いいふーふのひ」

 憧れるわよねぇ。とミケが零す。その憂いた瞳が思うのは、彼との未来の事なのか、それともイツキ君との未来の事なのか。

 ミケが本気でイツキ君が、と望むならきっとそれは夢では終わらないと思うけどなぁ、なんて。ミケが気付いていないのに、どうしたもんかなぁ。

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