第2話



一章〜地獄の門番




「ふぅー。ここなら安全よ。さっきはありがとう。逆に助けられたわ。」



「助けられたのは僕の方です。ありがとうございます。」



2人は女の寝泊まりしてる地下の宿にいる。



「まだあんたの事聞いてなかったわね。私は唯(ゆい)。貴方は?」



「僕は…」

(本名は言わない方がよかったんだっけ…。)


「僕は神威(かむい)…。」



「神威ね。ところであんた、何で地獄に来たの?とても悪い事する様には見えないけど。」



神威

「………。試練を受けに来ました。」



「え!?嘘でしょ?本気で言ってるの??」



神威

「はい。大切な人にきちんと自分の気持ちを伝えられずに死んでしまったので…もう一度会ってきちんと別れを告げたいんです。」



「ふ〜ん。っま!あんたじゃ無理よ。」


神威

「なんでですか?」



「この世界では生前に対する思いの強さで自分の強さが決まるの。それに霊器の出し方も知らないまま試験に行ったって死ぬだけよ。」



神威

「思いの強さなら十分あります!」



「それじゃあダメなのよねぇ。それにそんな事みんな言うわ。」



神威

「僕は諦めませんよ。」



「それにね。死人が現実に戻ったところで余計に現実を知るだけ。やめた方がいいと思うけど。」



神威

「どういう意味ですか?貴方には分からないでしょ!勝手な事言わないで下さい。」



「何ですって!?じゃあ貴方に私の気持ちが分かるかしら?貴方と同じ様に大事な人を残して言いたい事も言う間もなく死んで。貴方と同じ様に試験を受けて。逢いに行ったら他の女とやってる所を見た私の気持ちが分かるかって言ってんのよ!!」



神威

「っう……。ご…ごめんなさい。自分の事しか考えてなかった。」



「まぁいいわ。私も言いすぎた。だけどこれで分かったでしょ?死人は死人らしくしてなさいって事よ。」



神威

「だけど…俺にはどうしても伝えなきゃいけない事があるんです。例え自分が傷ついたとしてもそんなのいいんです。」



「後悔しても知らないわよ?」



神威

「はい。」



「なら少しだけ特訓してあげるわ!元スピリットとしてね♪」



神威

「スピリット⁇」



「試験をやり抜いた者はスピリットって呼ばれる

の。」



神威

「そうなんですね。なら唯さんは凄く強いんですね。」



「それがね。現実を知った私は地獄へ来た意味を失ってそれと同時に力も殆ど無くなってしまったの。行ったでしょ?生前に対する思いで強さは変わるって。」



神威

「僕はどれくらいなんだろ。」



「あんた?あんたは一層目で見ても下の方ね。」



神威

「どうして…。」



「まぁ霊器を出せば多少は変わると思うわ。」



神威

「……。」



「そんな落ち込まないの!いい?魂になる時に必ず霊器って呼ばれる自分の護身武器が作られるの。その霊器の中にも貴方の思いは込められてるわ。まずは自分の霊器に問いかけてみて。」



俺は言われたとおりに問いかける。



(俺の霊器よ……。)



ぶぉん!!



「きゃ!何よ…今の風…。ここ地下よ。」



神威

「霊器・封剣アウラ」


神威の手に刃渡り150センチ程の短剣が握られていた。



再び突風が部屋に巻き起こる。



「なんなのこれ!これが神威の霊器なの!?」

(信じられい。神威の思いは殆ど霊器に持ってかれてたって事ね。)





「これが…俺の霊器…。」




「使い方は十人十色。あなただけの武器だからあなたが見つけていくといいわ。後は霊力をフィジカルに伝える事ね。」



「はい…でも今、なんか体中から力が湧いてきます。っあ!」


霊器は消えてしまった。



「仕方ないわ。いきなりそんな大きい容量の霊器を使ったんだもん。まだあなたに順応してないのよ。次第に慣れてくるわ。」



「はい…。」



「口で言っても分かんないでしょ?物は実践よ!」



「唯さんが相手してくれるんですか?」



「チッチッチ♪」


軽快に舌打ちをしながら指を左右に振る



「え?」



「今の私は戦力にあまりならないけど、ラリゴを倒すわよ!」



「あんなデカイ奴に勝てるんですか!?」



「因みに試験はもっと強いわよ。」



「あいつを倒さないと先に進む資格が無いって事ですね。」



「そゆこと〜♪そろそろこのフロアーにも飽きちゃったしね。」



「じゃ早速行きましょ。」



俺は頷く。




2人は外に出て、隠れながらラリゴの兵隊を探す。



「いたわ…。奴らは集団行動だけなら一流よ。それを逆手にとってラリゴ本人を引きずり出すの。いい?戦闘が始まったら自分の思うように戦う事。それが今の神威の力を最大限に生かす方法だから。」



俺は頷く。



「霊器・海月鞭」



唯はクラゲの見えない触手を地面に這わせ、ラリゴの兵隊の足元まで伸ばす。



バチバチ!!




ぐあ!!

5人のうちの1人が感電し、倒れる。



ラリゴの兵隊A

「どうした!?敵襲か!?」



「後は任せるわ♪」



神威は唯に背中を押される。



「行ってらっしゃ〜い♪」



唯は手を振ってる。



(え…えぇ〜??俺だけ〜?)



神威はチラッと唯の方を見る。



唯はベロを出して意地悪な顔をしていた。



それが少し可愛かった。



ラリゴの兵隊B

「あいつだ!!やっちまえ!!」



兵隊ABCDがまとまって向かって来る。



神威

(あ〜どうしよ!とりあえず霊器を!)



神威

「封剣アウラ!」


前方に激しく突風がまきおこる。



兵隊ABCD

「うわぁ〜!」



全員吹き飛ぶ。



「あら。やるじゃないの。霊器を出しただけなんだけどね。…っん!?」



唯は背後から口を押さえられ睡眠薬の様な物を嗅がされる。



「っう…ぅぅ。」

(やばい…油断した…。)



唯「か…かむ…い。」


唯は落ちてしまった。



神威

「凄い。出しただけで皆飛んでった…」

(振ったらどれ程の威力なんだろう。)



兵隊C

「なんなんだ…あの野郎。」



兵隊D

「こうなりゃヤケ糞だ!!」



神威

「来た!」



神威は短剣を強く振る!




………。




神威

「あれ…。」

(何も起こらない。使い方違うのか。)



兵隊B

「ん?さっきのはマグレなんじゃないか?いけるぞ!一斉に飛び掛かれ!」



神威

(や、やばい…。来る。)



兵隊Aの剣が神威を襲う。



神威

(そう言えば唯さんは霊力をフィジカルに伝えるって言ってたな。)



神威は目をぎゅっとこらし剣筋を見極める。



兵隊A

「死ね〜!!」



神威は左に避け次に来る兵隊Bの爪攻撃を短剣で受け流しそのまま一回転して兵隊Aを斬る。



兵隊A

「っがは!」


見事に首にヒット。


すぐさま兵隊Cの槍の突きが来るがしゃがんで躱す。同時に左にいる兵隊Bに回し蹴りを一発。

思ったより威力が強く吹っ飛ぶ。

兵隊Bノックアウト。


兵隊C

「糞!なんなんだよ!こいつは!」



兵隊DはCのちょい左後方からボウガンで狙っている。



それを兵隊Cがチラッと確認するとDが矢を放つと同時に槍を横振りして来た。



神威

(糞…剣が長ければ…)


ぶぅん!



アウラの切っ先から微かに見える程の風の刃が生まれた。



神威

「これならいける!」



キン!キン!



横振りしてきた槍を切断し、飛んできた矢を真っ二つにした。



兵隊C

「あ…あ。強すぎる。」



神威は兵隊Cにとどめを刺そうとアウラを振る。



「そこまでだ!!」



神威は剣を止め、振り返る。



兵隊C

「ウ…ウタン副隊長。」



ウタン

「お前の連れの女は預かった。返して欲しければ手を挙げて大人しく付いて来い。」



神威

(何んだって!?唯さんが。)


神威

「唯さんに指一本触れるなよ!!」



ウタン

「さぁ〜。」


ウタンはニヤっと笑う



ウタン

「うちの隊長は猿だからよぉ。もう可愛いがられてるかもな〜。」



神威

「っ!きっさまぁあ!!」



ウタン

「おいおい。今俺を倒したとしても女の居場所は分からなくなるぞ〜?それにお前は強い…お前とやりあう気はさらさらないさ」



神威

「っく!」


歯をくいしばる。




ウタン

「縛れ…」


兵隊Cは神威をロープで縛る。



ウタン

「これで眠らせて第2倉庫に連れて来い。」



ウタンは唯にも使った睡眠薬を兵隊Cに投げ渡す。



そしてウタンは姿を消した。



兵隊D

「残念だったな…。」


どが!!


兵隊Dに一発殴られた。



そして神威は睡眠薬を嗅がされ意識を失った…。


















神威は目を覚ますと真っ暗な部屋に閉じ込められていた。



神威

(ここに唯さんがいるのか!?)



ラリゴ

「ぉお〜いいねぇ。もっと近くで見せてくれ」



神威

(まさか唯さん?)



僅かな隙間から部屋の外を見てみる。


良く見えないが女の人が裸でラリゴの前に立っている。


だけど唯さんではないみたいだ。



ラリゴ

「ほれ…ほれ…」


ラリゴは女の体を触り始める。



その度女はビクビク震えながら堪えている。



「おい……ゴリラ…。その辺にしたらどうだ。頭の中も猿みてーだな。」



ラリゴ

「あぁ。まだそんな元気あったのか。まだお仕置きが足りないのかな?」にや



ラリゴは顎で兵隊に合図をすると兵隊は鞭で唯の背中を打ちつける。



「あぁ!!」



神威

(唯さん!!糞‼︎あいつら許さんぞ!だけどこの数勝てるのか?ざっと200人はいるぞ…)



パチン!!

「っあ!」



ラリゴ

「お前が俺の指を噛みさえしなければ誰よりも可愛いがってやったのになぁ。そうだ!歯を全部抜いちまえばもう噛めないよな?そしたら俺のブツをたっぷりくれてやるからな!ハッハッハッハッハ!」



神威は静かに霊器を出しロープを解く。



ひゅ〜。



(風………。神威!?)



唯は少しだけ微笑む。



「やるじゃない…あいつ。」



ラリゴ

「あ?聞こえねーよもっとでけーこえで言えよ!」



「死ねよ…脳ミソ猿野郎が!!」



ラリゴ

「どけ…俺がやる。」



ラリゴは鞭を持ってる兵隊を跳ね除け鞭を全力で振る。



ラリゴ

「二度と生意気な口聞けねー様にしてやるよ!」



神威

(いける…いける。風の斬撃をイメージしろ)



今だ!!!



スパン……。



ごとん。



ラリゴが振るった鞭がストンっと落ちた。


同時に唯を縛っていたロープも切れた。




ラリゴ

「何だ!?誰がやりやがった!!」



神威は部屋から飛び出す。



神威

「唯さん!!」



走りながら唯に合図を送る!




「期待してなかったけど…早かったわね❤︎」




「海月鞭」



見えない触手を周囲に這わせ雷を出す。



「雷這(らいばい)」



兵隊達が次々に倒れて行く。



ラリゴ

「っち!てめーら怯むな!」



次々兵隊達が押し寄せて来る。



神威

(次は…次はー。広範囲に突風かな!唯さん技に名前付けてるから俺も付けた方がいいのかな。)



神威

「剛風」



ぶおん!!



更に兵隊の数が減る。



「ちょ…ちょっと!!私の事も考えてる!?」



神威

「すいません!考えて無かったです!」



ラリゴ

「くそ!なんなんだこいつ!ん?そういやさっきのガキじゃねーか!」



神威

「こう見えて25なんだけどなー。」



ラリゴ

(さっきの時とは随分雰囲気が違うな…それにこの霊力の高さ…。)




兵隊達

「や、やべぇ俺たちじゃ無理だ…に、逃げろ〜!」



ラリゴ

「ッチ!使えねー野郎共だ!ウタン‼︎」




ウタン

「はい…」



ラリゴ

「お前はあの女を殺れ」



ウタン

「かしこまりました。」




ウタンは唯の方へ歩いてく。




「あんたには仮があるからねぇ。」


唯はウタンを睨みつける。



ウタン

「何の事やら〜」


不吉な笑みを浮かべる。



「容赦しないよ。」



ウタン

「クックック…。」



「何がおかしい。」



ウタン

「今の貴方に勝てるんですかー??海王神をも手なづけた海の女神…セイレーンは貴方ですよね?」



「何の事だ?さっぱり分からん。」



ウタン

「今では一層で生きていくのが精一杯って感じですね。さぁ行きますよ!」



「霊器・菌鼯鼠」



シュッ!!



ウタンは手裏剣を飛ばす。



「それくらいなら造作もないわね。」



唯は顔を右に倒して躱す。




ウタン

「これならどうですかね?」にや



シュバババ!



多数の手裏剣を華麗にかわしていく。



ウタン

「やりますねぇ。流石…元セイレーン。いやマスターⅫ(トゥエルブ)。」



(こいつ何なの?マスターⅫは20層以下の者は耳にもしないはず…。)


ウランは指笛を鳴らす。



ドドドド。



「っん!」



後ろの壁に刺さっていた筈の手裏剣が戻って来たのだ。




ウラン

「いい〜顔ですねぇ。」



「まさか遠隔操作とはね。」




ウラン

「こんな事も出来るんですよ?」



再び指笛を鳴らす。



唯に刺さっている手裏剣が刺さったまま回り出す。



「んああ!!」



神威

「唯さん!!」



ラリゴ

「余所見してる場合じゃねーぞ!!」



ドゴーン!



ラリゴは手前の巨大な斧を振り回す。



神威

(遠距離から攻めるしかないな。)



「風刃の太刀」




ラリゴ

「っ!!うお!」



ラリゴは斬撃の刃を斧で受け止める。



ラリゴ

「んぎぎ!」



神威はすぐに背後に回りもう一度斬撃を放つ。



ぐあああ!



ラリゴ

「貴様…!!」



神威

(あれ?なんか俺強い??)



神威はとどめを刺す。



さっきより大きい風刃の太刀を放つ。



ラリゴ

「霊器・剛鉄腕」



斧が変形し腕に纏う。まるでゴリラの丸太腕だ。



ラリゴ

「攻防一体の奥義だ。そのチンケな刃は今の俺には通らない。」



バシン!



ラリゴはあっけなく風刃の太刀を弾く。



神威

(なんだって〜??それより唯さんは大丈夫かな?)



神威

「唯さん!?」



唯は倒れていた。



「…う…体が動か…ない。」



ウタン

「この手裏剣はムササビなんですよ。ムササビの口には病原菌が沢山ありましてねぇ。ウヒヒ。つまりあなたは感染病にかかった訳です。」



「さ…さと殺せば?どーせ感染病とやらはすぐに死なないんでしょ?」



ウタン

「滑稽、滑稽。実に滑稽ですよ!!ウヒヒ!!」



「あんた…私を殺したいんでしょ?だったら病原菌とやらじゃなくて直接殺したら?」



ウタン

「放って置いても死にますから…」



「確かに陰険そうな顔してるわ…ただ意気地がないだけかも知れないけどね。ふふ」



ウタン

「そんな状態のあなたに何を言われても無様にしか見えませんねぇ。」



「なら最後に一言いいかしら?」



ウタン

「ウヒヒ…。何でしょう。」



「そのチン毛みたいな髭…どうにかならないかしら?」



ウタンは急に顔つきが変わった。



ウタン

「貴様ー‼︎今すぐ殺してやる‼︎私の髭を侮辱するなー!!!」



ウタンは唯の元に走ってく。




神威

「唯さん!!ごふ!」



ラリゴ

「そんなにあの女が気になるか?」



神威

「くそ…スキがない。唯さんは!?」




「ありがと…こっち来てくれて。」



ウタン

「あががががが!!」



バチバチ…。


唯は麻痺して触手の範囲が狭まったため近くまでお引きよせ、感電させた。



「後…私。病原菌とかじゃ死なないから♪麻痺したりはするけど自己再生出来るのよ…クラゲの様に。」



神威

(良かった…大丈夫そうに見えないけど勝ったみたいだね。後はコイツか。)



ラリゴ

「ウタンの野郎…。」



神威

「これでお前一人だ…。」



ラリゴ

「お前…俺に勝てると思ってんのか?」



神威

(どうにかしてスキを作んないと。そもそもこんなところでモタモタしてる場合じゃないんだよ!けど遠距離じゃちと厳しい…火力が足りない。切り込むしかない!!)



神威は風刃の太刀3連を揺動に一気に切り込んで行く。



ラリゴ「フハハハ!!近接で俺に勝てると思ってんのか!?」




神威

「………。」

(俺が思うに…俺の能力は風を生み出す能力。一瞬でも奴の動きを止められたら、俺の勝ちだ。…出来るか分かんないけど…いや!やるんだ!!)




ラリゴは風刃の太刀三連をいとも簡単に弾く。

神威は近づきながら更に三連。



ラリゴ

「何度無駄と言えば分かる!!」



弾き終わると同時に神威は懐にたどり着く。



ラリゴの足を※長剣アウラで斬る。


※短剣のアウラに風の刃を纏って刃渡りを伸ばした形状。



ラリゴ

「っち!だが惜しかったな!死ね!」



「猿槌(コングストンプ)」



ラリゴは両手を合わせて振り下ろす!



神威

(今だ!!)



「烈風掌破(れっぷうしょうは)」



神威は左手を突き上げ猿槌を風力で相殺させた。



重く、力強いラリゴの腕はふわっと戻される。



ラリゴ

「馬鹿な…」



神威

「終わりだ!!風刃の太刀5連‼︎」



ぐあああ!



ラリゴは倒れる。



神威

「はぁ…はぁ…よっしゃ!」



「やっと終わったの?」

ニコッと笑う。



神威

「服がそんなはだけた格好の唯さんに言われたくありませんね」



「う、うるさい!見るな!」



海月鞭をチラつかせる。



神威

「いや〜!それは勘弁して下さい!」



「はぁ。」



神威

「どうしました?」



「私があなたに助けられるなんて。と思ってね。」



神威

「仕方ないですよ…唯さん女性なんですから」



「何?落としにかかってんの?」にや



神威

「ち、違いますよ!」



「じゃあ家までおぶってくれるかしら?」



神威はじ〜っと唯のはだけた体を見つめる。



「変なことしたら殺す」

もう一度海月鞭をチラつかせる。




神威

「わ、分かってますよ!彼女だっているんですから!」



「はいはい。早くしてくれる?疲れたから」



神威は唯をおぶって倉庫を出て行く。







「あんたさぁ〜。」



神威

「はい?」



「本当に試験受けるのね。」



神威

「はい。」



「私が言うのもあれだけど…かなり厳しいわよ?誰でも努力すればおいそれと受かるもんじゃないの。」



神威

「はい。」



「はぁ。仕方ないわね。私も一緒に着いてってあげる」



神威

「え?本当ですか?」



「あのクソ馬鹿チャラ男の顔ももう一回見たくなったしね。」



会ったらひっぱたく!!いや私の鞭で八つ裂きに…とか家に着くまでずっとブツブツ言っていた。



神威

「クス…そうですか。ありがとうございます。」



「何笑ってんよ!」



バシン!



神威

「いて!何するんですか!?」



にや〜?



「な、何するつもり?」



神威

「走ります…全力で!」



「は、はぁ?っあ!ちょっと!いや〜!」



神威は走り出す。



「や、やめなさい!っあ!は、早く止まって!」



神威

「何でですか〜?早く帰りたそうでしたよねー?」



「あ、当たるのよ。それに振動が…」



神威

「当たる?よく分かりませんねぇ。」



ビリビリ…。



ぎゃあああ!!



「次走ったら本気でやるわよ。」



神威

「す、すいませんでした。」




こうして神威の地獄生活1日目が終わった。




12月22日…界食まであと182日。





















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