電車

 会社の先輩から聞いた話です。


 今から三十年程前、先輩が高校生のころの友人にNという人がいました。このNがいわゆる不良だったのですが、先輩とは仲が良く、いろいろと武勇伝を教えてくれたそうです。その日もいつものようにNが先輩に話かけました。

 「昨日、○○峠に行ってきた」

 内容はこうでした。昨日の夜、友人と二人でバイクに乗り○○峠に肝試しに行ってきた。峠にあるやばいと噂されるトンネルで大声で叫んでみたが何も起こらなかった。トンネルから出るとそれまで雲一つ無かったのにいきなり大雨が降った。いきなりの雨に怖くなったので帰った。

 話を終えたNは眠いので帰ると早退しました。

 翌日Nは学校来ませんでした。先輩はまたサボりかと思いました。

 始業時間になり担任がホームルームを始めます。

 「Nが電車に轢かれて亡くなった」

 クラスが騒然とする中、先輩は友人を失った哀しみよりも、“祟り”という言葉が頭をよぎり、Nから話を聞いてしまった自分にも何か起こるのでは不安になったそうです。幸い先輩には特段何も起きませんでした。


 この話を私が聞いた時の先輩の目が印象的でした。この件以降先輩は“祟り”、心霊現象というもの信じることになったそうです。

 今も同じ職場にいらっしゃいますが、事務所が出ると先輩も信じておられ常にカバン御守りと御札を入れています。そんな先輩も一度事務所で白い人型のナニカが壁に消えていくのを見たそうです。早く転勤したいです。


 今回、峠の名前は伏せさせもらいました。ここに行ったことが原因かわかりませんが亡くなった方がいるためと私自身が文字にすることが怖いからです。興味のある方は「峠 心霊現象」で検索してみてください。多分一番にあがってくるところがそこです。


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