第二章:平穏の記憶
平穏の唄
行き交う人々は皆笑っている
今日は祭りでもあるのかと問う
だが祭りはない
誰の結婚もない
誰の誕生もない
何の祝いもない
喜ばしいことなど一切ない
それは良い事だ
人が死に
家が焼け
凶作に見舞われ
病が流行ると言う
哀しき時だ
だが良い事だ
ならば良い事だ
慶事がなくとも人の心は幸せで満ちている
如何なる辛苦も人の心を覆い尽くせない
喜びがなくとも災いの渦中にあろうとも
人が笑う
ただ笑う
なんと良い事だ
これこそが幸福だ
ただそれが平穏に続くことを祈って…
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