51冊目 求めた日にはすでに無く

 どうも、吾輩です。

 再燃の話をします。

 経験ある方は、少なくないんじゃないかな……と勝手に思っております。


 再燃というのは、ま、読んで字の如しだ。〇年前には熱狂していたがいまはそれほどでもなかった作品を読み返してみたり、公式の新情報(※1)が公開されたり、あるいは単になんとなく、その作品(の、二次創作界隈)へ、戻ってきてしまうことである。

 これは「最初の熱狂」と期間を隔てれば隔てるほど、つらい。


 なぜなら二次創作作品が見つからなくなるからだ。

 ようこそ砂漠へ!


 まず個人サイトの場合。

 答えは簡単だ。サイトごと消滅している。

 どの程度の期間を置いての「再燃」かにもよるが、年単位で離れていた場合、かつてのお気に入りサイトに再び巡り合えるかは微妙なところである。

 ジャンルに飽きた以外にも、進学、就職、結婚その他の事情で同人活動をやめざるを得ない状況になることはままある。そういう時に倉庫化(※2)するサイトさんもあれば、きっぱり閉鎖してしまうサイトさんもある。倉庫化してもレンタルサーバーのサービス終了などに伴って消滅する可能性は十二分にある。

 同人は続けるけれどジャンルは飽きた、という場合は、全面改装が行われ別ジャンルのサイトになることもある。過去に扱ったジャンルについては、作品を残すか消すか管理人さん次第。

 また、活動自体はまだしているのだがサイトを移転した場合も考えられる。たいていは元サイトに引っ越し先のurlが貼られているのだが、そのページも消えている場合たどり着く当てがない。


 頼りにしていたリンク集やサーチサイトが消滅していたりすると目も当てられない。

 サーパラ(※3)消失に悲鳴を上げた同人者は少なくなかったはずだ。

 仮にサーチやリンク集が生きていたとしても、そもそも登録されているサイトがあらかたnot found(※4)だったり、管理人がチェックをしない、あるいはできない「放置サーチ」と化している場合はアダルトサイトがごまんと登録されていて、もう何のサーチなのか分からなくなっていたりする。


 次にpixivに代表される、投稿系SNSはどうだろう。

 個人サイトに比べて、更新できなくなったりジャンル替えがあっても「消そう」ではなく「残しておこう」の方が多いような気がする。あくまで個人の体感としてだが。

 もちろん過去作を消したり、アカウントごと消したり変えたりといった場合も多々ある。個人サイトもそうだが、なにぶん個人が趣味でやっているものなので一概に言うことはできない。


 個人的な意見だが、一番「再燃」が辛いのは、個人サイト全盛期時代にハマっていたジャンルが、SNS全盛である今まさに再燃したときではないかと思う。

 息の長い人気作ならばいい。そういう作品は、個人サイトもあればSNSでも収穫できるという理想的な状態になる。


 問題は「その時期だけ爆発的に流行った」作品の場合だ。


 まだ投稿系SNSがない、あるいは知名度の低い状態のときに流行が終わったので、サイトを閉鎖する際もそうした場所への移動が起きにくく、結果、作品が闇に葬られてしまう。仮にサイトが倉庫化し残っていたとしても、サーチの消失やリンクしている他サイトの減少などでたどり着きにくくなってしまう。特に女性向けサイトは慣例として検索除け(※5)されている場合がほとんどなので、通常の検索エンジンからはたどり着けないこともある。


 つまり何が言いたいかと言うと、ちょうどその時代の作品を思い出して、pixivで好きなCPを検索したら1件しかなくて悲しいと同時にびっくりした。

 当時もそんなにメジャーではなかったが、それこそ作品専用サーチに該当CPをメインにしているサイトがちゃんとあって、まんだらけに行ったらそのCPの薄い本が頑張らなくても見つかるくらいの規模だった。


 時間の流れってすごい。


※1 作品の新情報

 アニメ化とか、グッズ化とか、外伝の発売とか、ソシャゲになったりとか。様々。

 最近だと、コラボカフェ(※6)とか。


※2 倉庫化

 更新はしないが、サイトを消さずに残しておくこと。


※3 サーパラ

 サーファーズパラダイスの略。

 国内最大級規模の登録型サーチだった。

 女性向け特化の「ブルーガーデン」も姉妹サイトとして存在した。

 ジャンル問わず登録できるので、個別のリンク集やサーチがない小ジャンルのサイトもここで探せば見つかったりと、大変お世話になった。

 すべて過去形。せつない。


※4 not found

 絶望。


※5 検索除け

 htmlをいじるなどして、Google等の検索で自分のサイトを引っかかりにくく、あるいは一切引っかからなくすることを言う。

 一般人や原作関係者から身を隠すために行われる。


※6 コラボカフェ

 現行の作品で行われることが多いが、何らかの理由で突如人気が出たり、10周年、15周年などの節目で過去作品がコラボされることもある。

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