16冊目 砂漠遍歴 古典・映画編


 字数があまり多くては読みずらいだろうという気持ちで2回に分けましたが、こちらはよりディープな内容となっております。

 古典の多さで映画の少なさをカバーしている感じでござい。


【古典編】


・ドラキュラ伯爵/吸血鬼ドラキュラ


 吾輩の最初にして永遠の二次元嫁。

 大都会イギリスにあこがれていて、上京のためにせっせと資料を集めて勉強する。お城にお客さんが来たら自らローストチキン作ってもてなして、ベッドメイクして、日中は起きていられないからとその分の食事も作り置きしておいてあげる。季節外れの麦わら帽子で登場するお茶目な一面もある。

 ほらかわいい。

 

 だがかわいいだけではなく悪役らしい残虐性もきっちり備えている。己の正体に気付いて警戒する主人公の外堀を埋め、絶望に追いやり、ついに発狂させるまでの手際は極上の鬼畜。ひょっとしたら徐々に正体を見せて怖がらせるところまで計算のうちだったのではないか。実にいい性格をしている。好き。

 

 主人公の発狂は治るので、安心して完訳版を読んで欲しい。映画ではイケメンになる代わりに可愛いシーンがカットされがちなのが難点だ。

 なお、この大吸血鬼と戦う主人公の名前は「ジョナサン(※)」である。

 

・フランヴァル/悲惨物語


 サディズムの語源になったサド侯爵の作品より、光源氏計画を実の娘でやった腐れ外道ダンディをご紹介。

 娘が生まれるやいなや妻と面会謝絶させ、高度な教育を施すもその科目に倫理や道徳は一切無い。絶世の美少女に育った娘が14の時ついに一線を越えてしまう。合意で!

 娘はフランヴァルがハタチそこそこの時の子なので、父34歳、娘14歳。初見で両方食べ頃だなと思ったのは内緒である。

 

 個人的萌えポイントは娘に自分を「お兄様」と呼ばせているところ。複雑なかわいさを感じる。

 

 訳は澁澤龍彦。古典古典した耽美な文章の妖しさで背徳感爆発である。サド作品は腐れ外道ダンディがぞろぞろ出てくる上、作品によっては男同士の絡みもあるので難解な文章が嫌いじゃない腐女子にはおすすめ。但しもれなくスカトロもついてくるのは覚悟の上でどうぞ。


・荊軻、高漸離、始皇帝/史記列伝


 古典というより歴史になるのだろうか。

 廉頗と藺相如を持ってこようかと思ったが、わりとメジャーなのでやめておいた。

 

 この3人のあれこれをざっくばらんに説明すると、遊侠の徒である荊軻はいろいろあって始皇帝を暗殺しに行くことになるが、失敗し命を落とす。彼の親友高漸離はその後身を隠すが、楽器の名手だったため名が知れ渡り、始皇帝に召しだされる。ある臣下が高漸離が荊軻の友人であることを指摘し、処刑を進言するが、彼の腕を惜しんだ始皇帝は高漸離の目をつぶして傍に置くといういろいろヤバげな話である。

 まだ少しだけ続きがあるが、それはご自身でご確認いただきたく。

 

 いつだかも書いたが、荊軻さんは今をときめくFGOにサーヴァントとして出演中である。女の子になっているけど。

 これを機会に高漸離さんも目立たないか期待しているのだが、そう甘くはないらしい。

 

 彼らのみならず、古代中国史の戦う漢はかっこいい。極上の「燃え」を提供してくれること請け合いなので、そういう方面が好きな方は萌えとか関係なしに是非読んでみてほしい。

 

【映画編】


・フランシス/ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト


 B級ホラー映画に登場するチンピラおじさん。チンピラ好きとしてはなかなかクるものがある。

 犯罪者4人組の一人として登場するのだが、その構成はリーダーのクルーヴと彼の息子、クルーヴの情婦、そしてフランシスおじさん。おじさんは何者かと言えばクルーヴの弟である。クルーヴが冷たい威圧感を持っているのに対し、フランシスさんはあらゆる点で「チンピラだぜえ!」と叫んでいるような雰囲気でとっても可愛い。おまえらホントに兄弟か?

 

 スプラッタ系なので残虐シーンはあるし、女の子がレイプされたりと胸糞悪い場面もあるが、痛い目に遭いまくる情けないチンピラおじさんが好きな方は是非観て欲しい。ストーリーの緊迫感もいいし、人間同士の泥臭い攻防戦も見所。

 

 クルーヴお兄とその息子はちゃんとした(?)イケおじとイケメンなのでそっちが守備範囲の方も安心。個人的にはCPにしづらかったのでフランシスさん単体萌え。



※ジョナサン

星形のアザはないしジョースターでもない。

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