第4話 この俺にヒロインとの出会いを!
ラノベヒロインに欠かせないものとは何か
学歴?
中身?
見た目?
そう、言うまでもなくラノベヒロインは見た目が全てだ。
※何度も言うようですが個人の勝手な偏見です。
俺はこれまでたくさんのライトノベルを読んできたが、その中に出てくる
ヒロイン達はみんな美少女なのだ。
中身が最悪でも見た目が全てカバーしてくれる。
もしニートのわがまま美少女がいるとしよう。
俺は一生養う。
もちろんほかの能力が完璧でもいいが、もしそんなヒロインと付き合うことになってみろ
『あれが○○さんの彼氏だって、ぷぷっ』『あんな冴えないやつのどこがいいんだよ』『こ○す』
って言われるだろな
まぁそれはそれで嫉妬と割り切れるやつはいいが、そんなことができるのは
イケメン主人公。またはバカ。
俺にそこまでのメンタルはない。豆腐以下のミジンコメンタルなのだ。
さて、ここからが本題だ。
そんなヒロインに出会うにはどうすればいいのか
もちろん俺からアクションは起こさない。
じゃあ誰に起こさせるかって?
第三者にアクションを起こさせるのだ。そう、モブ子を使ってな
これはラノベでもよくある展開であり、上手くいけばそのまま関係を持ち俺は主人公になる。一級フラグ建築士になるのも時間の問題だ
さてその具体的な方法なのだが、
「モb・・霧崎、俺にお前の友達を紹介してくれ」
「はい?」
モブ子はコーヒーの入ったマグカップから口を離し俺の方を見た。
そう、今俺たちは俺の家である神山宅にいるのだ。
たちと言ったがみんな勘違いするな、俺とモブ子二人きりでこれからラブコメよろしくドキドキ展開があるわけではない。
「どうしたのよ急に」
そう言いながら俺の母親が出してくれたハッ○ーターンを食べてるのは御存知、
中学からの腐れ縁であるネエさんである。
「いや、ほら、俺友達少ないじゃん!だからモb・・霧咲に友達誰か紹介してもらおうと思ってな!」
そうこれが俺の主人公への第一歩なのである。
モブ子に友達を紹介してもらう。その友達の友達を紹介してもらう。それを繰り返せばいずれは辿りつく俺の物語のメインヒロイン!
あとは俺のトーク力でなんとかなるだろう。
「わたし、友達いませんよ」
What?
「今なんて?」
「だから私に友達なんて人はひとりもいません」
「・・・はっ!?えええええええええ!!まて!おまえひとりもいないのか!?友達!」
「はい。入学当初は友達を作ろうとわたしなりに努力をしたのですが、結局出来ず終いで2年を過ごしてしまいました」
うそだろ、おい。
こんなキモオタの俺でも2、3人は友達いるぞ。
いや、まぁ作りにくい人もいるか
みんなそれぞれ合う合わないあるしな
ってことはこいつはぼっちか
だから俺が友達になろうって言った時少し嬉しそうだったのか
「声をかけられた時に嬉しくてつい食べていた※シュールストレミングを分けようとしたのがいけなかったのでしょうか?」
【※シュールストレミングは、今流行りのYouTuberがよく使う塩漬けのニシンの缶詰である。その強烈な臭いから、「世界一臭い食べ物」と評されることもある。】
前言撤回。そりゃあ友達できねぇわこいつ
てかもはやテロだろ
あーこんなやつを少しでも頼った俺がバカだった。
少しの望みが木っ端微塵になった。ミジンコメンタルも木っ端微塵。
やっぱりそう簡単には主人公にはなれないのか?でもあいつら物語が始まって数ページ目で出会ってるじゃん。おかしいじゃん!
「あ、でも・・」
モブ子が俺が落ち込んでいたのを見たからなのか思い出したかのように口を開いた。
「ひとりいました。あの方を友達と呼べるものかはわかりませんが・・」
「本当か!」
おれは立ち直りも早い方なのだ。
♢
さてモブ子に言われあまり行かない学食に来た。
学食は人が多いしリア充も多い。来るのは1年の時にネエさんと来た以来だ。
昨日モブ子が『明日の昼休みに学食に来てください。そこでわたしの知り合いを紹介します』と言った。
なので今学食のテーブル席を確保しているのだが、
「遅いな、モブ子のやつ」
昼休みが始まり20分が経った。うちの学校の昼休みは50分。
あまり時間はない。
ちなみにネエさんは俺がこの間紹介した流星くんとお昼を一緒に摂るらしい。
流星くんは顔がかなり白かったがあれは元からだろう
「おまたせしました」
そうこうしているとモブ子の声が聞こえた。
俺はその声のする方に目を向けるとそこには目を疑う光景があった
モブ子の隣には銀髪の美少女がいたのだ。
身長は高く、スタイル抜群。色白の肌にアクアブルーの眼。
俺は感動してしまった。
「あのー大丈夫ですか?」
銀髪美少女が俺を心配そうに見てきた。
「な、何がですか?」
「いえ、眼から涙が出ているので何かつらいことでも思い出したのかと」
俺はいつの間に泣いていたらしい。
そりゃあ感動もするよ
目の前に天使、いや女神がいるんだもの
俺は1発目で大当たりが出たらしい。
あー神よ、ありがとうございます。
俺が食堂で正座をし、祈りを捧げる姿勢を横目にモブ(もはや銀髪美少女の隣に立てばモブ子ではなくモブである)がゴミを見るような目で見てきたが俺は気にしない。
モブがコホンっと咳払いをし、彼女の説明をした
「彼は帰国子女で名前をリオンさんと言います。日本での滞在期間も長く、日本語もとても上手です。ちなみに趣味は」
「リオンさんですか!はじめまして!神山悠木と言います!」
俺はモブのリオンさんの紹介を遮り、リオンさんに話しかけた
このリオンさんこそ俺の物語のメインヒロイン!彼女しかいない!
「は、はい。はじめまして」
リオンさんが少し戸惑った表情になった
ハッ
おちつけ神山悠木。ここでガツガツ行くのは主人子ではなく三流のやり方だ。
ここはクールに、そしてラノベ主人公ぽくいくのだ。
「コホン。取り乱してすみません。リオンさんは僕たちとは同じ学年ですか?
(イケボ)」
「はい、僕も2年生ですよ」
なに!ボクっ娘だと!美少女でそれでいて属性も付いているとは!
「そうなんだ。じゃあ敬語じゃなくても大丈夫かな?(イケボ)」
「うん。大丈夫だよ。じゃあ僕も敬語じゃなくて大丈夫かな?」
「大丈夫だ、問題ない」
「?」
しまったーついついオタクな一面を出してしまったー
だが、カバーできる!
「と、ところでさ、リオンさんの趣味いいよね。僕も今度教えてもらおうかな・・」
リオンさんの趣味は何か知らないが、モブに前もって少し聞いていたのだ。
確かファッション関連とか
まぁこんなにも美少女ならお洒落もするだろな
「え!神山くん興味あるの!」
「!?」
リオンさんがすごい勢いで俺の近くに来て手をつかんだ
もう手洗わない
「ま、まぁ少しは知ってるかな」
UNI○LOとかG○だけど
「じゃあ今度一緒にしようよ!女装!」
「喜んで!・・え?」
「いやーうれしいなー、女装仲間ができて!」
は?へ?うん?
「ちょ、ちょっとまって。女装ってなに?」
「女装は女装だよ?今僕がしているような!」
いまいち話が読み込めない。リオンさんは女性なのだから女装もなにもないだろ
「彼は男ですよ」
隣で俺たちのせいで存在が消えていたモブ子が机に座り弁当(缶詰)を開けながら言った。
だからそれテロだろ
「彼は日本に来てなぜか日本女性のファッションを好きになり、そこから女装を始めるようになったのです」
「ちなみに頭の銀髪もウィッグです」
モブ子がそう言うとリオンさんがほらっと言って頭の銀髪を取った。
「彼自身別に男が好きとかではなく、ただただ日本女性のファションが好きで女性モノの服を着ているうちに女装癖に目覚めてしまったらしいです」
「そうそう。別に男が好きとかではないから安心してね」
俺は二人の話が途中から聞こえなくなった。
あれ?おかしいな、目の前がどんどん暗くなってきたぞ。
俺はそのまま視界が暗くなり倒れた。
「神山さん!?」
「神山くん!?」
二人の心配そうな声が聞こえる
だが意識はどんどん闇の中へ
神様(原作者)、もしこれがラノベの世界なら俺にヒロインとの出会いを・・
そこで俺の意識は途絶えた。
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