第2話 俺の周りはモブだらけ

さて、みなさん。ここで質問だ。

ライトノベルに出てくる美少女たちがもし現実にいたとしたらどうなると思う?

ライトノベルの場合は主人公としか男性との絡みがなく、他の男性には見えない光学迷彩でも着ているのではないかというほどにほかの男子はその美少女たちを認知できないのだ。

だがしかし、現実にラノベに出てくる美少女たちがいたとしよう。

そうなればどうなるか、頭のいいみんななら予想つくよな?

まぁ例を挙げるならばファンクラブができ、アイドル事務所にスカウトされ、

動画は赤字コメ不可避である。

俺が最近友達としたTRPGならAPP20はくだらないだろう。

神話生物かよ

まぁうちの学校にも美少女がいないわけではない。

しかしライトノベルの世界の美少女に比べれば月とスッポン。いや、月と地べたである。


♢ 


まぁそんなことをなぜ俺が二限目社会の催眠術士の高橋と言う異名を持つ高橋大悟先生の授業を聞かずに考えていたのかと言うと、俺のクラスには美少女と名のつく生き物がまったくいないのだ。

例えるならモブ。そう、恋愛シュミレーションゲーム(またの名を美少女ゲー、

ギャルゲーとも言う)のメインヒロインの映る画面右端の方で友達としゃべっているような女子しかいないのだ。

そういうお前はどうなんだって?

ふっ、愚問だな

そういえば自己紹介がまだだったな、ここで自己紹介をさせてもらおう

もちろんラノベの主人公風にな

俺の名前は神山悠木。ごく普通でなんの取り柄もない高校二年生だ。

ライトノベルオタクで将来の夢、ではなく目標は

ラノベ主人公(一級フラグ建築士)になること。読むラノベは恋愛ラブコメが

8割、他2割はその他である。

好きなラノベヒロインは・・・著作権的なあれで言わないでおこう。

まぁこんなものか、見た目は普通だし成績も普通。

すごくラノベ主人公ぽいだろ?

言っておくが俺の普通をラノベ視感で取るなよ?

あいつらの普通は現実でいうテレビとかによく出てくる俳優レベルの普通だ。

俺のは、街でもしかしたらすれ違っていたかな?でも、顔に特徴ないし覚えてないわwレベルだ。

そんな俺が一級フラグ建築士を目指してるんだからそりゃあ草も生えるわな

ちょっと芝刈りしてくるわ・・



気づけば2限が終わり、催眠術士の高橋の姿もなかった。

周りは机をひっつけたりして友達と弁当タイムにはいっていた。

「さてと、昼休みだし行くかな」

俺は昼休みになると教室を出て校内を散歩する。これには理由があるのだ。

ラノベ主人公は思わぬところでヒロインと出会ったりする。

例えば人少なき廊下を女の子とすれ違いになりそこから発展。

屋上に行くと一人静かにお弁当を食べる女の子がいてそこから発展。

立ち入り禁止の教室が実は部活の部室になっていてそこにいた女の子と発展。

まぁそうゆうパターンがラノベではよく見るのだが・・

うちの学校で人通りが少ない廊下なんてないし屋上は立ち入り禁止だし、

立ち入り禁止の教室に限ってはもちろんのこと鍵が閉まっている。

おいおい、そろそろヒロインの一人や二人出さないとこの話はただのラノベオタクの妄想話で終わってしまうぜ?

と俺がもう自分の教室に戻ろうと廊下を歩いている時だった、目の前に女の子が歩いている。

さらさら黒髪ショート。体はとても華奢で抱きしめるとすぐ折れてしまいそう

そんな女の子だ。

おいおい、なんで俺がこんなラノベ主人公みたいな説明をせないかんのだ。

どうせモブ。気にせず横切ろう

俺がそのモブ子の隣を横切ろうとした瞬間である。そのモブ子が俺の方に向かって倒れてきた。

俺は廊下窓際。モブ子は教室側。俺氏逃げ場なし。

不可抗力?とういう言葉を人生で使うことはなかったと思っていたが、まさか使うことになるとは

俺はそのモブ子を不可抗力で抱きしめる感じで受け止めようとした。

だがしかしここで期待を裏切るのが俺の人生。または持って生まれた運である。

かっこよく受け止めようとしが、手がそのモブ子の柔らかい膨らみの一つに触れてしまったのだ。それで終わればただのラッキースケベなのだが、そのモブ子は胸(柔らかい膨らみ)に触れられ覚醒したのか、そのまま俺の腕を鉄棒の棒のように使いみ、腰をひねり、俺の顔面に蹴りを入れてきた。

「ぐはっ!」

俺は後方へと飛ばされた。モブ子はうまく着地したかと思うとそのまま立ち上がり、クズを見るような目で俺を見ながらこう言った。

「最低クソ変態やろうですね」



俺はドMではない。なのでこんな風に罵倒されても嬉しくはないのだ。

むしろ腹が立つ。

「おい、こっちは倒れてきたあんたを『不可抗力』で助けようとしてその膨らみに触れただけでそこまで言われる筋合いも蹴られる理由もない!」

俺はそのモブ子の前に立ち、見下ろしながら言った。

そう、俺は間違っていない。

別にこんなモブ子の胸を触りたくて触ったわけではないのだ。

俺のその言い分に対しモブ子は俺を見上げながら言った

「男性はどんな理由があっても女性の胸に触れてはいけません。それはこの世のルールです。つまりルールを破ったあなたに対して蹴るという対処をしたのも仕方がないことなのです。わかりましたか?クズやろうさん」

なるほど、こいつは関わりたくない分類の人間だ。ラノベでもヒロインをいじめたりして主人公の引き立て役とかになるタイプのやつだ。

よし、ここは適当に謝って金輪際の縁を切ろう。そうしよう。

「アースイマセンデシタ。コレカラハキヲツケマスー」

とだけ言って行くつもりだった。だがモブ子はそうさせてはくれなかった。

「待ってください。あなた乙女の胸を触っておいてそれだけですか?もっと謝罪してください。そうですね、土下座してください」

俺の中で何かが『プッツン』した。

「うるせぇ!お前みたいなモブ子にかまっている暇はないんだよ!俺は今から俺の物語のヒロインを探さないといけないの!お前みたいな主人公引き立て悪役モブ子はヒロインが出てきた後で出てこい!それまではひっこんでろ!!」

久しぶりに大声を出した。あー喉がいてー

さすがのこいつも鳩が豆鉄砲を食ったような顔になった。

まぁこれだけ言えばもう絡んでこないだろうと思い俺は呆然とするモブ子を無視して教室に向かおうとした。

が、制服の上着の裾に違和感を感じ振り向いた。

「わたしがモブ?聞き捨てなりません。わたしがモブかどうかはあなたが決めることではありません。もしわたしをまだモブというのでしたら私をあなたの物語の登場人物にしなさい」

こいつとの出会いはまさに事実は小説よりも奇なりだった。

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