ラノベ主人公は努力しない

村民H

第1話 俺は絶対何もしない

主人公はいつだってチートである。

ドラ○ンボールの悟○だってワン○ースの ル○ィだってみんな強すぎる。

だがあの方々はまだいい。そうゆう世界に生まれたのだから仕方がない。

悟○に関しては人間でもないしな、宇宙人だしな

だがラノベの主人公は違うだろ。なんで日常生活を送っている平凡な主人公があんなにもフラグを立てられるんだよ!なんで急に特殊能力に目覚めるんだよ!

意味がわからん!いや、あれだよ?努力をしていればいいよ?悟○なんかは修行してあんなにも強くなったし、ル○ィだって旅をして敵を倒して今があるからね?

けどラノベ主人公は違うじゃん。何もしてないじゃん。※個人の勝手な偏見です。

始まりの冒頭で

『俺の名前は○○。ごく普通の高校生だ』

みたいなこと言ってるけど全然普通じゃないから、幼馴染がいて妹がいてお姉さんがいて異世界人関係なくフラグを立てて、ときメモさせる主人公が普通なわけないじゃん。※個人の勝手な偏見です。

あー話してたら腹が立ってきた。もしこの世界がライトノベルの中なら

神(原作者)よ、俺にも美少女のフラグを何も努力せずに立てる能力をくれ・・・



朝が来た。だが起こしに来る妹も異世界からの転生もない。つまらん朝だ。

目覚ましのうるさい音と母親の起きなさいコールだけが聞こえる。

俺は重い瞼を頑張って開こうとしたが俺の瞼は頑固なようで開く素振りも見せてはくれない。仕方がない、お前がその気なら俺は止めはしないさ。

俺は起こした体をもう一度ベッドに倒し布団をかぶり、二度寝という選択肢を選んだ。俺は悪くはない。俺の瞼さんが悪いのだ。

「さあドリームワールドへリンクスターt」

と言いかけたところで階段を駆け上がる音が聞こえてきた。

かなり重たいスリッパの足音、そしてこの階段を上るスピードは!やつだ!やつが来た!

ガンッという音とともにドアが勢い良く開いた。

「あんたいつまで寝てるんだい!早く起きな!今日から新学期だろ!」

茶髪ショートヘアの40代ぐらいのボーイッシュな女性が俺の部屋に勢い良く入ってきた。

ふむ。ラノベ風に言うならこんな感じか、後は絵師様がその神がかったタッチで美人妻にするだろう、感謝しろよ母さん。

「なにニヤニヤしてるんだい気持ち悪い。早く起きてご飯食べな!」

まぁリアルはそんなことはないんだがな。

俺は瞼さんにすまないと思い、ベッドから体を起こした。

あー体が重い。眠い。だるい。



さっきの美人妻(笑)が言っていた通り今日から新学期である。新学期はクラス替えもあり、ほかにも身体測定などがあるからめんどくさいのだ。

にしても・・・

「なぜ俺はラノベ主人公ではないのか」

ラノベ主人公ならば今頃美少女と話しながら朝食を食べていただろう。

もしラノベ主人公なら今頃妹と幼馴染が俺を取り合いながら俺はそれを横目に苦笑いをしながら登校していただろう。

ちなみに俺はラブコメが好きだ。持っているライトノベルは8割ラブコメ。

ラブコメ以外論外。

もしかして俺がアクションを起こしていないだけでもう特殊能力に目覚めていたり・・・?

俺は通学路の真ん中で足を肩幅に開き、右手を突き出し適当な技名を叫んだ。

「アイスブレイク!!!」

・・・

通りすがる小学生が『ママあれなにー?』と言っている。近くにいた母親と思わしき女性が『しっ!見てはいけません!』と言って早足で去っていった。

まぁそんなことがあるわけないか、もし特殊能力に目覚めていたら今頃同じ特殊能力を持った美少女が向かいに来るだろう。俺はなにもなかったかのように歩き出した。

正直特殊能力は目覚めなくてもいい。ラノベでも特殊能力に目覚めた主人公はいつも死にかけているしな、俺痛いの嫌だし

俺が欲しいのは美少女のフラグを立てる力!もしくはラッキースケベの力!

あいつらは何も努力していないのに美少女に囲まれる毎日。

※個人の勝手な偏見です

世の中には努力しても美少女と出会えないやつだっているんだぞ!!

あー気分が憂鬱になってきた。もう帰ろうかな

あと学校まで歩いて10分ほどなのだが・・・よし、帰るか

もう母さんも仕事に行っただろう。家に帰って積みラノベを消費しよう。そうしよう。

「あっ!いたいた!もう〜先に行くなんてひどいよ〜」

今、結局美少女が出てくるのかよ。はいはい、ヒロイン登場乙〜と思ったみんな、騙されるな

ラノベの文章では確かにこの文を見ればヒロインの登場。もしくは義理の妹の登場だが、現実は甘くないのだ。

そうなぜなら声は太く、女性らしさとはかけはなれた低音ボイスだからだ。

「もぉ〜いつも一緒に登校しようって言ってるのにぃ〜」

察しのいい方はもうわかったかもしれないが、声をかけてきたのは

「まったくぅ、あたしのような美人と登校できることに感謝しなさいよぉ?」

「黙れ!このオネェが!!」



こいつはネエさん(本名 春山一樹)。中学の時に知り合って今では高校ずっと同じクラスの腐れ縁だ。マジで腐れ縁だ。大事なことなので二回言った。

なぜこいつがネエさんと言うのかというと、高校内でこいつはかなりの有名人で、女子生徒の相談に乗ってあげたり、男子生徒のいざこざを止めたり、いろんな生徒に慕われている。だからネエ(姉)さんなのだ。

男女関係なく慕われるオネエ。そして中学からの俺の知り合い。男ではなく女なら申し分なかったのだが・・・

「あんた今失礼なこと思ったでしょぉ」

「いえいえめっそうもない。ネエさんはスゴイナーと思って」

「なんか腹が立つんだけどぉ」

オネェが頬を膨らませている。まったく可愛くない!やめろ!や・め・ろ!

ネェさんはため息まじりにつぶやいた。

「あんたまたフラグとか、そんなこと考えてたでしょぉ」

ぐっ、やはりネエさんの目は鋭いな。ミレニアム○イでもついてるのか?

「はぁ、あのねそんな努力もしない人の周りに人が集まるわけないでしょ?人を集める人って言うのはね、何かを本気で向き合っている人をみんなはかっこいいと思って集まるのよ。ライトノベルの主人公もそう」

ネェさんはたまにかっこいいことを言う。だから周りからも慕われみんな頼るのだろう。

俺とは住む世界が違う。いろんな意味で

「大体あんた女の子友達できたことないじゃない」

「ぐはっ!」

吐血しそうだ。痛いところをつきやがる。べ、べつにできたことないこともないし、昔いたし・・・幼稚園ぐらいの時だけど・・・

あの子今どうしてるのかなー俺がパンツを見て絶交を宣言したすみれちゃん・・・

「もう諦めたら?あんたどうせ努力する気ないんでしょ?」

「無論だ。俺は努力をせずに一級フラグ建築士になるのだ!そして毎日美少女に囲まれながら『まったく、美少女は最高だぜ!!』という人生を送るのだ!」

俺はネエさんに向かいそう声高々に宣言した。

すると遠くから学校のチャイムの音が聞こえてきた。俺とネェさんは走ったが、もちろん言うまでもなく遅刻である。




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