第2話 好きになった人は男が嫌いでした。2
彼女に出会ったのは中学二年の頃だっただろうか。妹が仲のいい部活の先輩という理由と彼女を引き連れ我が家へとやって来た。
一目惚れであった、恥ずかしいことに。言葉の通り一目見ただけで惚れてしまった。
容姿だけで惚れてしまうというのは最も浅い理由であるということは否定できない。が一番大事なことであるという肯定もできる。
まあそれはさておき、惚れてしまった俺がとった行動は単純なものであった。
仲良くなりたい、そう思いまず俺は、冒頭に皆さんにしたように無難な挨拶をした。
だが返って来た言葉は。
「あなたと言葉を交わす気はこの言葉以外ないと思ってください」
「今後二度と私に話しかけないで」
その言葉通り、彼女と俺の間で交わされた会話らしきものはそれ以降一度もない。
なぜ、今でも惚れているのか。その理由が聞きたいのは問わなくてもわかる。
普通に考えてほとんど言葉を交わしたこともない子を何年も思い続けいてるということについて疑問を持たない人はいないだろう。
理由は簡単だ。俺は今も昔も彼女に一目惚れしているのだ。
俺は彼女と言葉は交わさないが、知っている。見ている、聞いているのだ。
この言葉だけならただの気持ちの悪いストーカーと思われても仕方ないが、別に盗聴や尾行をしているわけではない。
彼女は妹と過ごしている時はまるで別人なのだ。言葉を交わしていなくてもわかる。そこから伝わってくる、一途な想い。それを見て聞いてしまっているから余計に俺はこう考えてしまうのだ。
何かに一生懸命になるということに悪いことなんてない。例えそれが異常な事だったとしても。
そんな姿に俺は惚れ続けてしまっているのだ。
妹はこのことを、全てを知っているのか。いいや、知らない。
仲のいい先輩に惚れられていることも、俺が彼女に惚れているということも。
妹は何も知らない。
さて、俺が恋をした経緯についてはこのくらいにしておこうと思う。
次に話すのは、俺と彼女が言葉を交わすようになったきっかけについて話そうと思う。
ゆりかの @Lune3858
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