2話ー下着戦争ー

 次の日には、あれほどあった女子からの誘いがなくなった。これで、静かになったな。後は、ホモ疑惑さえなくなれば、鮮やかな青春なんだけどな。

 何を隠そう、昨日の一件で一ノ瀬財閥の御曹司が実はだったと、学校内で噂になっていた。

「はー、これで彼女のいる青春ってものは終わったな」

 俺の口からは、乾いた笑い声しか出なかった。

 そこに、

「やー、芽依くん!おはよう!今日もいい天気だね!」

 と、格好い、俺の友達こと昴がやってきた。

「どうしたの浮かない顔なんかして?」

 心配されてしまった。気を取り直すようにおどけてはしてみた。

「その、昴と友達になってみんなに噂されまくってさ、気がついたらもう、なんか彼女が作り辛い雰囲気なってしまってさ、どうしようかなって?」

 そしたら、昴が意を決したように俺の手を取り自分の胸に手を当てさせた。そして、俺は思わず揉んでしまった。そこには、男子にないはずの胸があった。

 ちょっと待て!昴って男じゃなかったっけ?あれ?でも、昴の口から自分が男だって聞いてなかったな。て、ことは、俺の勘違い?

 顔あげると、昴が必死に「しー」っと、唇に人差し指をつけてやってきた。

 昴は、俺の耳元に顔を寄せて囁いてきた。

「ボクは、女の子だよ。何度も言おうと思ったけど、恥ずかしくて言えなかった。でも、これでだけは分かって。ボクだけは、君の側にいるってこと」

 すごく恥ずかしいそうに言うから、こっちまで顔が赤くなってしまった。

「だから、ボクを彼女にして?」

 と、言われてしまった。

 そこで、

「昴ちゃん何をやっているのかな?」

 銀髪碧眼の女子が昴の肩を掴んで、少しイラッとした顔をしていた。

 昴はというと、こっちは真っ青になっていた。血の気が一気に引いたみたいだ。

「えーと、キミは確か、一ノ瀬くんだっけ?」

 めっちゃ笑顔で声をかけてきた。

「えーと、そうだけど」

「私は、篠崎しのざき 彩芽あやめ。よろしくね」

「あー、よろしく篠崎さん」

「彩芽」

「?えーと、篠崎さん?」

「彩芽」

「彩芽さん?」

「あ・や・め」

「彩芽」

「ん、それでよし!芽依と昴、こっち来なさい」

 と、いきなり俺たちを教室の外に連れ出し屋上までやってきた。

「昴?あんた、女子になりたいならちゃん、女子用の制服を着ろっていつも言ってるのね?何でき着ないの?」

「だって、スカートスースーするし、なんか緊張しちゃて」

 と、照れながら昴が答えた。

「あと、抜け掛けは禁止ってのも忘れてるよね?」

「えぇ⁉︎」

「さっき、あんたの豊満のお、胸を触らせてたじゃない!あんた、絶対!あの時告白したよね!」

 あまりにも可哀想なので、助けて船を出した。

「いや別に、告白してないぞ」

「昴の胸触って、鼻の下伸ばしてた芽依に言われたって、信じるわけないでしょ!」

 すごく正論を、言われてしまった。異性の胸なんて触ったの昴が初めてなんだから、しょうがないだろ!すごく、柔らかかった。

「芽依くん、流石に思い出されるとボクも恥ずかしいよ。でも、芽依くんが揉みたいなら、今度は、サラシを取って触らせてあげる」

 と、めっちゃ照れて言われた。何この子めっちゃ可愛い!守りたくなる!

「二人で、話し合ってる所悪いけど、私もいるってこと忘れないでよね!」

 めっちゃ、怒られた。

「話を戻しましょう。昴、抜け掛けは絶対ダメよ」

「なぁ、何で俺なんかの彼女になりたいんだ?何処かであったことあったっけ?」

「やっぱりね。だと思った」

「やっぱりって何だよ?」

「芽依って私たち三人のこと覚えてる?」

「三人って?」

 そこで、一陣の風が吹いた。思わず、彩芽のを見ないように上を見たのだが、それが、間違いだった。こないだの金髪娘もそこにいたのだから。ここより人一人分高い位置に。しかもスカートには、手も当てず本をじっと読んでいた。おかげで、水色のドットの下着を見てしまって、体固まってしまった。

「芽依は、いつまでみてんのよ!」

 と、彩芽に目潰しを食らうまでは、


「あの子は、日比野ひびの あおいよ」

「日比野さんか、、、ごめんなこないだは、ここから追い出したみたいで」

「いい、別に気にしてない。それに、葵でいい。あと、今日のは、お気に入りの柄だからオススメ」

「?」

 俺が分からずにいると、昴と彩芽が葵に向かって、

「何を言ってるんだよ、葵さんわ!仮にも淑女なら、無闇にそう言うことは言っては、いけない!」

「そうよ!てか、何で私のは、目を逸らしたのに葵のはじっくりみたのよ!あんたってロリコンだったの⁉︎」

「別に、芽依にならみられてもいい。いずれ、夫婦になるから」

「ならないわよ!それだったら、芽依!私のも見せてあげるから!」

 と、言って何を血迷ったのか、本当にスカートをたくし上げやがった!健康的な眩い太ももの付け根部分まで全てがあらわになった状態だ。

「好きなだけみなさいよ!私だって、未来の夫にぱ、下着くらい見せられるわよ!」

 と、顔を真っ赤にして叫ぶのだった。

 彩芽の下着は、青と白のストライプだった、って何を実況してる!

「いやいや、おかしいだろ!やめろって彩芽!」

 そして、隣からカチャカチャとベルトの外す音がしてきた。待ったをかけようとしたが、時既に遅しだった。

「みんなずるい!それならボクだって!芽依くんみて!ボクの下着!男の子に見せるのは恥ずかしいけど、ボクの人生の、パートナーになら見せられるよ!」

 と、ズボンを下ろした。そこには、キメ細やかな絹のようなムッチリとした太ももがあらわになっていた。こいつ本当に女なんだな。そして、、、昴の下着は、その、少年には、些か過激なものだった。

「ちょっと昴!何ていやらしい下着を着けてんのよ!さっき淑女がどうたらって言ってたけど、昴こそ、そんな、え、エッチな下着を履いて何を考えてるのよ!」

 彩芽は、垢抜けた格好をしていたから、そういうのに、慣れてるのかと思ったら、俺と同じく初心だったらしい。きゃーと言いながら指の隙間から、下着を観察していた。

 なんだ、このカオスな現場は、一刻も早くこの場から離脱しなければ!

 と、思いその場から、俺は駆け出していた。

 彼女たちの太ももが、下着が頭から離れない!こんな、こんな青春間違ってるー!!

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