雨を待ちながら
6月に生まれたばっかりに、雨が好きだと言ったら、君は静かに頷いたね。
「俺も嫌いじゃないよ」と重ねた唇。
流れ込む体温に心が震えた。
次の雨が降ったら、もう終わりにしようと、呟いたあなたに、私は静かに頷いたね。
「そういうと思ってた」と溢れ出した涙。
雨を待ちながら、いつも浮かぶのはあなたの横顔。
「明日は晴れるといいね」と言ったあなたの横顔。
今も私は変わってない。
あなたと出会った、あの雨の日を忘れてない。
雨を待ちながら、いつも浮かぶのはあなたの泣き顔。
「これ以上傷つけたくない」と言った泣き顔。
今も私は忘れていない。
あなたが涙したあの雨の音が聞こえてる。
もうすぐ、また雨の季節が来るよ。
二人が生まれた季節が、またやってくる。
雨が降ったら、あなたも思い出すのだろうか。
私と歩いたアスファルトの並木道を。
雨が降ったら、あなたも思い出すのだろうか。
さよならの代わりに交わしたキスを。
雨が降ったら思い出して。
雨の中で交わした、叶わなかった約束を。
雨が降ったら思い出して。
あなたと私が隣で笑っていた季節を。
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