第264話 この先も2人でこうやって

 温泉からの帰り、ふと思い立って愛希先輩と途中で車から降ろして貰う。

 ちょうどスーパーがあったからだ。


 愛希先輩と下ろして貰ったのはデートではない。

 帰りの足の確保のためだ。

 まあ完全にデートでないかと言われると微妙だけれど。

 それにしても沖縄のスーパーは営業終了時間が遅かったり24時間営業だったり。

 みんな夜型なんだろうか。


「何を買うの?」

「何でも。取り敢えず皆で食べたいものを色々買っていこう」

 という訳でカートを押して買い物開始。


 果物、野菜、豆腐、惣菜という感じで並んでいる。

 本土のスーパーと随分違うな。

 そして愛希先輩は遠慮無く色々入れまくる。

 でっかいフライドチキンとか。

 普通のサラダ作れという要求なのかトマトときゅうりとか。


 モーちゃんミルクというのは成分調整牛乳かな。

 あとフライドチキンではなく鶏天ぷらなんてのも入った。

 うす塩バージョンのスパム缶とか。

 袋入り中身汁とか。


 でもこうやって愛希先輩と買い物しているのも結構楽しいな。

 こんな感じでずっと過ごせるかなと思ってちょっと赤面。

 いやいやまだ早すぎるって。

 愛希先輩には気づかれずに済んだようだけれど。


 A1ソースとかホットソースなんてのも入れて。

 シークヮーサーポン酢もついでにGET。

 チョコメロンパンとかなかよしパンとかカロリーの化け物も入れてと。


 そんなこんなで2万円程お買い物。

 当然無茶苦茶重い。

 4袋ぎっしり。


 店内の影になる場所で魔法移動。

 部屋はまだ暗かった。

 車組より早く着いたらしい。


 電気を付けて戦利品を2人で整理する。

 そして愛希先輩が僕に真っ先に渡したのは豚の耳1キロパック。

「ごめん、どうしても食べてみたくてさ」

 入れたのをわかっているから別に大丈夫。

 これは煮込めば良いかな。


「サラダ位は私が作るよ。洗って切って並べるだけだけれど」

「ありがとう」

 素直にここは甘えておこう。


 さて、まずは豚の耳をガシガシと塩と魔法で掃除。

 毛も全部抜いておこう。

 そして1回高圧高温で下ゆで。

 そして今度はネギの青い部分を入れてやっぱりちょっと圧力かけて茹でて。

 魔法で千切りして、塩胡椒入れてかき混ぜごま油かけて更に混ぜて。


 さて、愛希先輩から僕への挑戦状第2弾は豚の足だ。

 というか良くこんなものまでスーパーで売っているな。

 沖縄恐るべし。

 まあこれもまずは洗って下ゆで。

 今度はさっきミミガーを2回目に茹でた汁を使おう。

 さっきの汁に砂糖と泡盛と醤油入れて甘辛く煮てやる。

 冷めた頃には味がしみているだろう。


「まさかテラガーはないよね」

「さすがにスーパーには無かった」

 左様で。

 つまりあったら買っていたと。


 豚耳豚足、そしてサラダに中身汁まで仕上がった頃。

 やっと自動車組が戻ってくる。

 時計を見ると8時ちょっと過ぎだ。

 車の返却には間に合ったらしい。


「いや、道が混んでいてさ」

「それにしても良い匂いがするのです。豚なのです」

 詩織先輩、早くも今日のメニューを把握済みの模様。

 そんな訳で今日も宴会が始まる……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る