第262話 飲食店探知魔法?(2)

 美ら海水族館は確かに良かった。

 10時過ぎには入館して、途中カフェで一服して。

 お土産物コーナーまで見てから外に出るともう14時近い。


「お腹空いたね」

「そうですね」


「どんな系統?インスタ系?がっつり系?」

 ソフィー先輩の問いに青葉が迷わず答える。

「もちろんがっつり系よね」

「当然!」

 愛希先輩と青葉、息が合っている。


 2人は何か目標があるらしく歩いて行く。

 車を止めてある方向とは微妙に違う。


「何処行くんだ、2人とも」

「こっちに食堂がある予感がする」

「私も」


 おいおいおい。

 本当に飲食店探知魔法かよ。

 そう思いつつも皆でついていくと、道路を渡り、更に反対側のあらぬ方角へ……


 本当かよと思いつつもついていく。

 草っ原やサトウキビ畑の中に家々が点在する、典型的な沖縄の集落。

 どう見ても食堂などありそうに無い。

 しかし。


「GET A GRIP!」

 愛希先輩は見つけたようだ。

 よく見ると普通の民家にしか見えないところに、木の看板が出ている。


 おいおいおい。

 大丈夫かこんなの。

 でも愛希先輩と青葉は迷わず入っていく。

 なので僕達も顔を見合わせ、そして後へと続いた。


 入ると確かに食堂だ。

 テラス席もある。

 でも薊野魔法工業うちの全員はこの店の大きさ的に無理だな。

 今日は車ごとの移動だから大丈夫だけれど。


 メニューはふーちゃんぷる定食とかポークたまご定食とか沖縄そばとか。

 いかにもという感じ。

 ちょっとよれているけれど写真付きのメニューもある。

 これは期待できるかもしれない。


 僕はふーちゃんぷる定食をオーダー。

 微妙に頼んだ数と人数があっていないのは。

「すみません。うちは大食いが何人かいるんです」

とさらっと修先輩が言ってごまかしてくれた。


 大食いとは愛希先輩とエイダ先輩と青葉の3人だ。

 この3人が定食と沖縄そばとか定食と焼きそばとか頼んだせい。 

 愛希先輩は更にみそ汁追加しているし。


 みそ汁と言っても油断は出来ない。

 沖縄のみそ汁は基本的に一品料理扱い。

 具沢山の大盛りだ。


 1人で作っているのかちょっと時間はかかる。

 でも順番に料理は到着してくる。

 どれも量は結構多い。

 沖縄の定食屋はどこもそうなのだろうか。


 遠慮無く先着順でどんどん食べ始める。

 大食い3人のそばが早くも残り半分になる頃。

 僕と修先輩とエイダ先輩が頼んだふーちゃんぷる定食が到着した。


「いただきます」

 ちなみに一番最後だ。

 見た感じはいかにも沖縄の家庭料理という感じ。

 うんうん、期待度UP。


 食べてみると期待を裏切らない。

 野菜の味がしみこんだ麩の味がなんとも言えない感じ。

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