第255話 飲食店探知魔法?

 調理していると思えない早さで料理がやってきた。


 丼に汁とおぼろ豆腐っぽいのが入っているのがゆし豆腐だろうか。

 それに野菜千切りとマカロニサラダがついたチキンカツらしきカツの皿。

 カジキ系と思われる刺身3きれとツマ。

 それに丼に近い大きさのお茶碗たっぷりの御飯。

 おいおい600円の定食にしては多いだろこれ。


 愛希先輩の前に置かれたのは野菜や豆腐と一緒に煮込まれた骨付き肉、本土サイズの味噌汁、沢庵、それと僕のと同量の御飯。

 そしてこれまた多い単品のゴーヤチャンプル。

 小とは言ったけれど普通サイズの沖縄そば。

 おいおいおいおい。

 食べられるのかこれ。


「おかずは相手のも含めて一緒に食べようぜ」

 という愛希先輩の言葉にちょっと安心。

 これは定食だけでも僕1人では無理だ。

 というわけでまずはメインとおぼしきゆし豆腐から。


 うん、美味しい。

 汁はメインはかつおだし。

 それにほろほろとしたおぼろ豆腐。

 うん、これは僕好みだな。

 いくらでも食べられそう。


 チキンカツは薄めだけれどちょっとソースの味が独特。

 何というか優しい味。

 そしてチキンカツの横のマカロニサラダ、これはウコンかな、ちょい独特の風味。

 この1皿だけで色々勉強になるなあ。


 最近使えるようになった料理専用検定魔法なんて使って材料分析。

 ついでに他の人が食べているのもちゃっかり分析。

 普通の検定魔法は杖を使わないとまだ僕には無理。

 でも料理分析用の検定魔法なら杖無しでも使える。

 多分実践回数の圧倒的な差によるものだろう。

 魔法工学科として間違っているけれど気にしてはいけない。

 別に魔法料理学を究める気は無いのだけれど。


「こっちのてびちも遠慮無く取っていいからさ。あとそばやゴーヤチャンプルも」

 というので遠慮せずてびちをいただく。

 思ったよりあっさりした味付け。

 確かにこれは食べられるな。

 野菜や豆腐も大雑把な切り方だけれど何か優しい味。


 無くなる前にそばもいただく。

 あ、さすがに店のそばはつゆの味が違う。

 正しく出汁がきいている。

 そして醤油では無く塩味なのか。

 ちょっと鶏系の出汁も入っているかな。

 なるほど。

 そしてゴーヤチャンプルはもう安定の美味しさだ。

 わざわざ愛希先輩がここに連れてきた理由がよくわかる。


「よくこんないい店知っていましたね」

「去年理奈と来たんだ。やっぱり首里城に行った時だな。あの時はモノレール使ったんだけれどさ。駅から適当に歩いたらここが美味しそうな気配を発していたんだ」

 おいおいおい。

 飲食店探知魔法なんて存在しないよな。

 それともよく食べる人はそういう魔法が使えるのか。


 食べる早さは僕が1とすると愛希先輩は3か4。

 僕がゆし豆腐とその汁をおかずに必死に御飯を最後まで食べた時。

 愛希先輩は僕の定食の他のおかずを含めて、全てクリア状態にしてくれていた。

 強すぎる。

 これでもトドにならないのだから、トド時にはどれ位食べているのだろう。

 考えるだに恐ろしい。


 店を出て右に行くとすぐにスーパーがある。

「あらこんなところにスーパーが、なんちて」

 うんうん。

 言いたい事はわかったぞ。


「つまり今の食堂のおかずを参考に、今晩の材料を買いましょうという事ですね」

「正解!だから朗人は好きなんだ」

「はいはい」

 そんな訳で2人でスーパーに入る。

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