第252話 材料どんどん搬入中

 理奈先輩と沙知先輩の2人組である。

 2人ともこれでもかという感じで買い物袋を膨らませている。


「まずはアイスを冷凍庫にしまいまして……」

「あ、ブルーシールなのですよ」

「お約束ですからね」


 そしてパイナップルとパパイヤ。

「季節が季節だからフルーツは少ないですよね」


 更にエビが大量に出てくる。

 魚も金魚の赤色を青と黒中間の色に置き換えたような30センチ級の魚2匹。

 あとでっかい魚の切り身。


「切り身の方はマンボウと書いてありますが赤マンボウだと思われます。どっちの魚も刺身でお願いできますか。エビは焼いてお願いします」

 はい、調理要望来ました。

 これがあると思ったから自分では魚を買わなかったのだ。


 さて、といつものディパックからデュオコーンを取り出す。

 秘技!魚解体魔法!

 単なる工作魔法のバリエーションなのだがこの魔法は便利だ。

 僕の思った通りに魚を捌いてくれる。


 さくを切った刺身状態まで一気に解体。

 ちゃんと頭部分を割って脳天と頬肉を出すあたり我ながら完璧!

 皿に赤マンボウと一緒に盛り付け、ついでに頭と尾をお造りみたいに置いて出す。

 エビは皿の上に置いて魔法焼き。

 簡単確実で出汁も逃げない。


 皿を持って行くと刺身醤油とわさびとシークヮーサー汁の瓶が用意してあった。

 さすが高IQコンビ、色々完璧だ。


「参考までにどこで買ってこられたんですか」

「空港からモノレールでちょっと行った所にそこそこ大きなイオンがありますの。そこでじっくりと吟味してきましたわ」

「ここまで歩いて40分はちょっと遠かったですけれどね」


 愛希先輩は相変わらず無言で食に集中している。

 今はエビの殻を剥いている最中。

 種類としては車エビなのだけれど普通に見るのより大きい感じ。


 そして更に注文が。

 詩織先輩が米袋をどこからか取り出す。

 ブランドからみていつも保養所で使っている奴だ。


「朗人。ここまできたら飯が欲しいです」

 買ってきた弁当は既に全滅している。


「はいはい」

 米袋をキッチンに持って行き、備え付けの炊飯器の釜を洗って米を入れる。

 例によって魔法炊飯で一気に炊き上げ。

 愛希先輩と詩織先輩がささっと動いて茶碗を準備。

 愛希先輩も御飯が食べたかったという事か。

 うんうん。


 とりあえず御飯をどんどん盛っていく。

 盛ったそばから誰かが取るので。

 結局僕を含め8人全員分の御飯を盛ったところでまた到着者が。


 こんどは一気に2組だ。

 ジェニー先輩ソフィー先輩ロビー先輩の北米トリオとエイダ先輩青葉組。

 エイダ先輩と青葉は、これもブルーシールのアイス大量とサーターアンダギー大量、そしてドンキ1階にあったチーズタルト専門店の袋を持っている。


「しまった。もう始まっていたか」

 そう言ってそれぞれを冷蔵庫にしまうと食卓に加わった。

 そしてジェニー先輩は僕にスーパーのビニール袋を押しつける。

 中身は生麺、出汁、沖縄かまぼこ、三枚肉のパック。


「ソーキそば頼むれすよ」

 完全に厨房番になってしまったが、まあいいだろう。

 知らない食材を扱うのは楽しいし。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る