第246話 これで快適の筈だけれども

 時計やシャワーヘッド等の日用品程度ならハツネスーパーで売っている。

 小さいホームセンターが撤退したのでスーパーで何でも扱っているのだ。

 水栓の在庫は買わなくても確かあったよな。

 そんな訳で修先輩と相談してシャワーヘッドを5つ購入。

 昼食のタイ風焼き飯とサラダを食べた後、露天風呂改造に取りかかる。


 内容は僕以外の要望も色々取り入れて

  ○ クールミストデッキの前の広い場所にポールを立ててシャワーを2基設置

  ○ サウナに時計設置

  ○ ミストシャワー内にシャワー3基設置

  ○ 寝湯の1人1人分を独立させて水位を調整可能に

  ○ 歩行湯の流速も調整可能に

の5点だ。


 材料が揃って工事を始めれば作業は早い。

 何せ僕以外の2人は工作魔法を自在に使える。

 僕ならデッキユニットを外して上水側のパイプを分岐させて……となるところを、工作魔法でガシガシと自動分岐とかさせたりする。

 僕も一応工作魔法を使ってパイプのネジをあわせたりとかはしたけれど。

 ルイス先輩にも板を支えて貰ったりとか協力して貰った。

 そんな訳で露天風呂改良は1時間程度であっさり完了。


 4人で作業の汗を流しつつ使い心地を確認。

 うーん、いい仕事をした。

 特にミストサウナ。


 温度調整可能なシャワーヘッドを3つ入れたので、

  ① ミストサウナとして暖まる。

  ② 熱めのシャワーで汗を流す。

  ③ シャワーを冷たくして体を少し冷やす。

  ④ ①に戻る。

の無限ループが使用可能。


 これが人間がダメになりそうな程気持ちいい。

 身体ふにゃふにゃになった頃、気分に応じてミストデッキか寝湯に転がれば最高。

 そんな訳で自信を持って完成したのだけれど……


 

 翌日朝10時。

 詩織先輩と風遊美先輩と愛希先輩の3人で大規模買い出しを決行。

 OB含む男子魔法工学科4人と付加魔法担当の香緒里先輩で風呂改修工事をするハメになった。


 理由の発端は非常に理不尽というかなんというか……

「シャワー付きミストサウナが狭い!」

 というものである。

 昨日スイーツ漬けでカロリー超過を自覚した女性陣は帰るなり露天風呂へ直行。

 そこで改良点に気づき、存分に試してしまったのだ。


「最低でも10人位リラックスできる広さが欲しいのです」

 この場合のリラックスできるというのは横になれるという意味だ。

 でも今のままでは増設するようなスペースは無い。

 そのため昨日夜、露天風呂増築対策委員会会議なるものが開かれてしまった。


「最低でも10人は横になれるスペースが欲しいのですよ。そして10人分のシャワーも」

 いきなり詩織先輩から強硬意見が出る。


「でもそんな場所はもう無いぞ」

「たる湯の後が1メートル開いているのです。あそこを詰めれば少し広くなるのです。それで足りない分はたる湯を1つ潰せばいいのです」


「たる湯はいつも満員なんだけどな」

「ぬる湯を広げてスーパーぬる湯も作るのです。そっちに入ればいいのです」


「ミストサウナを快適かつ広くしたら、健康上の問題が起きる事はないのかな」

「補助魔法科がいれば、危ない時には魔法を使わなくても気づくとは思います」


「他のお湯はどうする。ジェットと寝湯はあの広さを減らしたくないわ」

「クールミストデッキも夏になれば気持ちいいだろうと思います」

「サウナも最低あれくらいは必要ね」


 意見出まくり。

 詩織先輩が何度も図面を書き直した結果。

 何とかスペック的には全員の満足する結果が出たのだけれど……

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