第233話 帰還パーティ開催中

 翌週の日曜日こと1月23日。


 いつもなら日曜の昼には寮に帰るのだが今日は特別。

 奈津希先輩が帰るというので学生会が全員揃っている。

 現役だけでは無くOBも含めてだ。

 なお歓迎料理も作ってある。


 今回のメニューは詩織先輩が色々と細かく指示。

 まずはキハダマグロ、カンパチ、アジの刺身の他、グルクンの唐揚げと干物。

 これは土曜日に詩織先輩と愛希先輩で再び魔法漁業して捕ったものだ。

 向こうで奈津希先輩が『魚料理があまり無い』と言っていたから用意したそうだ。

 普通の刺身の他に手巻き寿司セット用に長く切った刺身や野菜も準備。


 他に鶏唐揚げの他に鶏のスペアリブ名古屋風なんてのも用意。

 更にパーティなので生ハム大量載せピザもいつでも焼けるようスタンバイ。

 あとは詩織先輩が厳選した店でおやつ用ケーキを買ってきているとの事。

 他にはサングリアというワイン系の飲み物のボトルが5本。


 さて1月11日から飛行機の時間が変わった。

 ついに羽田聟島線にジェット機が導入されたからだ。

 飛行機の座席数も72席から90席へとちょっとだけ増加。

 更に1日3往復になり時間も変わった。


 そして奈津希先輩の到着予定は第2便、13:30到着。

 飛行場へは由香里先輩運転のキャンピングバスが迎えに行っている。

 お供に風遊美先輩と修先輩を従えて。

 予定はマンションについた後、一度実家で落ち着いてからここへ顔を出すそうだ。


「車は下に到着しましたれすよ」

 ジェニー先輩がそう告げる。


 更に。

「エレベーター搭乗中、8階で奈津希先輩下車れす。

 あ、エレベーター止めたまま奈津希先輩走って実家に行っているれす。


 おいおいおい。

 僕は急いでピザ焼きにかかる。

 中まで綺麗にこんがり焼くには魔法でも1分はかかるのだ。


「エレベーターに奈津希先輩合流れす。そのままあがってくるれす」

 実況は続く。

 そして。


「ただいまー、っと何だこりゃ、随分変わったな、ここ」

 快活そうな声が聞こえる。

 大広間の方から聞こえる歓声。

 ショートカットのいかにも快活、という感じの女性がやってきた。

 大広間ののれんをくぐったところで一礼する。


「どうも初めまして。宮崎台奈津希と申します。修君の前の代の学生会副会長で、卒業後しばらくフランスでパンと菓子の修行をしていました。どうぞよろしく」

「さあどうぞどうぞですよ」

 詩織先輩が問答無用という感じで奈津希先輩をテーブル中央へと引っ張っていく。


 愛希先輩が僕の方をのぞきに来た。

「あとどれ位」

「そろそろいいです」

 その言葉で愛希先輩と理奈先輩、沙知先輩がささっと来てピザを運んでいく。

 僕も最後の1枚を持って左側の末席へ。


「さあ、まずは歓迎会なのです。ルイス、なにはともあれ乾杯なのです!」

 詩織先輩、仕切りまくる。

 そんな訳で各自オレンジジュースやらワインやらサングリアやらをそそいで。


「それでは奈津希先輩の帰還を祝って、乾杯!」

 とともに宴会は始まる。

「これ、ここが和室になったのも驚きだけれど料理も凄いな。全部作ったのかい」

「奈津希先輩が留学に出て苦節1年、やっと新たな料理担当が来たのですよ」


「今思えば料理担当無しの1年、暗黒時代だったよね。麺類以外の料理は今いちで」

「カフェテリアと比べれば悪い訳じゃ無いけれどね。奈津希さんのと比べるとやっぱり落ちるし量も普通だし」

「色々頑張ったんですけれどね。何かもう朗人君が来たらどうでもよくなって」

 何か色々話しているのが聞こえる。

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