第231話 冬休みの終わり
1月10日月曜日。
学生会一同の朝は共同集団ランニングから始まる。
この共同集団ランニング。
1月7日からはじまった。
理由は簡単。
皆さん体重が増えてしまったからだ。
だったら食べるのを控えろと思う。
でもトドにその発想は無い。
なのでこうやって少しでもカロリーを消費しようという訳だ。
「でもこれで露天風呂で汗流して、御飯を食べると美味しいのよね」
「そうそう、つい食べ過ぎてしまうんです」
僕の前を走る薊野姉妹の会話。
ランニングが逆効果になっている人もいる模様。
なお集団ランニングと言っても全員一緒に走る訳では無い。
体力差がかなり激しくあるからだ。
翠先輩、ルイス先輩、愛希先輩、理奈先輩、ロビー先輩、エイダ先輩、青葉。
このあたりの体力は異常なのでさっさと先へ消えてしまう。
遙か先の飛行場まで行って、飛行場神社にお参りして戻ってくるらしい。
坂あり谷あり山ありの往復10キロ超というハードコースだ。
そして朱里先輩、修先輩、ジェニー先輩、典明。
これに典明を気遣う美雨先輩も同行。
5人はのんびりペースで学校内の運動場を大きく周回。
それでも保養所に帰ってくる頃は一番疲れている感じだ。
ちなみに平坦な場所のみ1.5キロのコース。
残りの6人。
由香里先輩、風遊美先輩、香緒里先輩、ソフィー先輩、沙知先輩、そして僕。
コースは初寝の団地街をゆっくり南浜経由で廻って戻ってくる感じ。
上り下りありの3キロほどのコースだ。
なお詩織先輩は気分次第で何処にでも参加。
体力的には最強クラスと同じ程度らしい。
そんな訳で僕もまったりランニング。
大山の手前で右へ曲がり、
造成中の住宅地を通り、
南浜の横を通って、
急な坂を上って学校前。
あとはそのまま保養所のあるマンションまで走る。
慣れてしまえばなかなか気持ちがいい。
車にもまず出会わないし、景色は綺麗だし。
なお出る前に朝食の準備はある程度済ませてある。
だから僕もまあ楽だ。
朝の露天風呂は目の毒だけれども。
さて帰り着いて風呂の時間。
露天風呂を改良した結果、時間分けが廃止されてしまった。
あと改良の結果問題がまた発生。
「おーい朗人、何なら手伝うから柔軟しないか」
「いいですよ、外でやってきましたし」
「お湯で温めながらやると筋肉が良くほぐれるぞ」
これである。
ミストデッキだの寝湯スペース増大などして。
更に朝のランニングなど追加してしまった結果。
露天風呂内でストレッチや柔軟運動をやるのが流行ってしまったのだ。
理由も効果も確かにわかる。
でもはっきりいって正視出来ない状態。
酷すぎる。
胸チラとかそんなレベルじゃない。
もっとまずいのがチラですらない状態。
そんな訳で今日も修先輩、ルイス先輩、典明はたる湯の中に閉じこもっている。
たる湯の増強も本当はしたかった。
でもある程度水が多く負荷がかかる部分の増強は簡単ではない。
香緒里先輩の魔法等を使って負荷軽減措置をする必要があるとの事。
まあマンションの屋上だからしょうがない。
そんな訳で。
僕はいつものぬる湯で部屋の方を向いて目を瞑っている。
それでも色々声は聞こえてくるので大変青少年的に危険な状態だ。
「うーん、これ以上前に曲がらないれす」
「ジェニーは胸が邪魔だもんね。ここまで曲げると胸が足についちゃっている」
「この冬で太って危険なのれす。もう少しでお腹のお肉をつまめそうなのれす」
なんて声は聞いてはいけない。
あえぎ声そっくりの柔軟途中のうめき声もだ。
聞いてはいけない聞こえない。
目を瞑ってその呪文を唱え続ける。
そして。
水音ともにルイス先輩の声にならない悲鳴が聞こえた。
お約束の詩織先輩によるルイス先輩のたる湯への強襲だ。
という事はそろそろ露天風呂終了。
朝御飯の時間だ。
今日で休みは終わり。
だから今日の朝食と昼食はサービスメニュー。
そう言ってもまあ焼いた干物に刺身と漬けつけて、ポテトサラダと野菜という感じだけれど。
ちなみに昼は生ハムサンドに生ハム骨で取ったスープとサラダ予定。
そんな感じで冬休みは幕を閉じる。
明日からはまた学校だ。
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