第218話 プレゼントには裏工作?
さて、料理もほぼ無くなった。
実はケーキの量を考え、料理そのものの量は少し減らしている。
2次会用にはサンドイッチをすぐ作れるよう下準備済みだ。
「さあここで、プレゼント交換にまいります。
それではOBの方と現役の方、それぞれこちらに出てきて輪を作って下さい」
との事で空きスペースにOB8人、現役12人でそれぞれ輪をつくる。
輪になったところで名刺サイズの紙が配られた。
「ボールペンを回しますのでそれぞれ名前を書いて下さいね」
という事で名前を書く。
さあもう一度輪になってというところで、朱里先輩が現役の方にやってきた。
「差し出がましいようですけれど、ここだけ順番入れ替えさせて下さいね」
と言って、美雨先輩とルイス先輩の位置を入れ替える。
何だろう、プレゼント受取者操作行為だろうか。
でもまだカードに名前を書いただけの状態なのに。
沙知先輩が再びマイクを持つ。
「これから曲を流しますので、曲に入れられた手拍子の音とともにカードを自分の右の人に渡して左の人から受け取る作業を繰り返して下さい。曲の手拍子が終わったところで作業終了です。なお……」
あ、朱里先輩がマイクを奪った。
「補足説明ですわ。手拍子が終わったところで作業終了なので、その時に持っている紙を見て下さい。その紙に書かれている方があなたにプレゼントをくれる方です。
なお、今回は入れ替え無しです。つまり自分の名前が書いたカードが手元に残った場合は、自分のプレゼントを自分で受け取って下さい。交換は不可とします」
あ、朱里先輩と沙知先輩が視線でなにやら会話している。
何かあるのだろうか。
そして沙知先輩は何か了解したらしく、にやりと笑ってマイクを受け取った。
「さて、それでは曲を流します。曲はアリアナグランデの『サンタ・テルミー』です。手拍子がはじまる前に私が『さん、はい』とかけ声をかけますので宜しくお願いします」
沙知先輩がカラオケ装置の方へ走っていき何やら操作。
キンコンカンコンと曲が流れ始めた。
そして。
「さん、はい」
歌が流れ始めるとともにカード交換が始まる。
1分位だろうか。
「はい、終了です」
沙知先輩が宣言。
曲もフェイドアウトしていく。
僕は自分のカードをちらりと見る。
ロビー先輩だ。
ロビー先輩のプレゼントは大物過ぎるので正体はわかっている。
なかなか便利な一品だが、あれは5000円と言えるのだろうか。
かなり怪しいものではある。
「さあ、まずは現役の方から発表しましょうか。まずルイス会長、前に出て下さい」
ルイス先輩が前に出るとともに。
何故か朱里先輩が必死に笑いをこらえているのが見えた。
何だろう。
「さあ、ルイス先輩、カードを見せて下さい」
『理奈です。よろしくお願いします』と書かれているのが見える。
あ、理奈先輩の表情が……
「くっくっくくくく、ぎゃはははははは……」
理奈先輩、壊れた。
そして釣られるように朱里先輩も壊れた。
2人とも苦しい位に笑い転げている。
何が起ころうとしているのだろう。
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