第217話 食卓は常に戦場です
パーティと言ってもいるのはどうせいつもの面子。
なのでケーキをカットして各自に取り分けた後。
我先に食べ物を争う生存競争の場になってしまう訳だ。
「材料が同じでも料理する人によってやっぱりメニューが変わるのですよ」
詩織先輩が食べながらそんな事を言う。
「前はどんなメニューだったんですか」
「フライドチキンと七面鳥は同じ。寿司は各自が巻く手巻き寿司、ケーキはイチゴのショートケーキの巨大版だったね」
これは愛希先輩。
「なるほど、手巻き寿司は思いつきませんでしたね」
確かにそれも面白そうだな。
スティックサラダにいい材料が多かったのも、手巻き寿司を意図していた訳だ。
なるほど納得。
「でもあれは取り合いになったりして大変なのです」
確かに想像できる。
なお皆さんの服装はというと。
沙知先輩がサンタバニー。
つまり網タイツに肩出し尻尾有りサンタ色衣装にサンタ帽子ウサギ耳付き。
沙知先輩は全体的に線がスリムなので恐ろしい事に似合ってしまっている。
いやらしいとかそういうのでは無く、怪しい大人な格好良さという感じ。
ジェニー先輩がミニスカサンタコス。
ミニスカに白タイツ、肩出し。赤い長い手袋、サンタ帽子。
沙知先輩とは別の方向でまた似合っている。
ジェニー先輩は色白で金髪、かつ体型がメリハリ強くかつ童顔。
似合い方は言い方は悪いけれど性犯罪を助長しそうな方向。
理奈先輩と愛希先輩はさっき言った通りゴスロリメイド服とピンクのドレス。
美南先輩は黒のカクテルドレスという奴だろうか。
片方の肩を出したタイトな大人って感じの服。
詩織先輩がトナカイの着ぐるみ。
ソフィー先輩が赤色のチャイナ服。
僕とロビー先輩は置いておいて。
他はまあ、普通のワンピースなりスーツなりだ。
ん、青葉も若干怪しいような。
「青葉、その青い服、ひょっとしてそれもメイド服か?」
「あ、ばれたか。エプロン外して普通のドレスに仕立て直したんだけどね」
微妙にゴスロリ入ったデザインだったので何となく違和感を感じたのだ。
「というか、愛希先輩含めてどこでそんな服仕入れてくるんですか」
「理奈の知っている店だよ。この保養所の浴衣や羽織もそこで作って貰った」
「結構安いんですよ。宜しければ1着どうですか。冬休み前や夏休み前以外ならお安くしますわ」
「前に女子全員でメイド服作った時は1人4,000円でしたね。このチャイナ服もオーダーメイドで消費税込み6,000円です」
うーん、どういう店なのだろう。
言われてみれば確かに安いような気もするけれど。
しかし女子全員でメイド服作るってどういう状況だ。
でも深入りしない方がいいかもしれない。
そんな気がする。
取り敢えず統一感がまるで無いが、まあパーティだしいいのだろう。
「ケーキ、これは凄く美味しいです。これはロールケーキですか」
「一応ブッシュ・ド・ノエルです。まあ中身は自作ロールケーキですけれどね。外側だけチョコとココアパウダーでそれらしくしていますけれど。
詩織先輩がいいリキュール買ってきていたんで、これは大人な味に仕上げろという意味だと思って」
「あのリキュールは奈津希先輩に材料仕入れを相談したときにお勧めされたものなのですよ」
なるほど、道理でケーキにあったいい奴だと思った。
つまりプロ修業中の助言があった訳か。
「しかしこんなに大きなケーキ、どうやって焼いたんだ」
「料理用に置いてあったトロ舟使って平たい大きいスポンジを焼きました。まあ魔法で焼いたんですけれど。慣れるとオーブン使うより思い通りに焼けますしね。実はクリーム入れて巻く作業が一番大変でした」
巻く前は幅40センチ、長さ1メートルあった代物だ。
まあ巻いても長さは変わらないけれど。
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