第215話 ドレスコードとは何ですか

 1日おいて12月24日金曜日。

 曜日の都合で今日が冬休み前最後の登校日だ。

 そんな訳で本日は放課後の学生会もさっさと切り上げる。


 さてクリスマスの会。

 勿論プレゼント持参だが、実はもう1つ条件があったらしい。

 それは『ドレスコードがあります』という内容。

 学生会室に貼られている『お知らせ』をよく見るとそう書かれていた。


 ただ、それを当日に気づいてももう遅い。

 それにドレスコードの内容が非常に不明確だ。

 『クリスマスのパーティにふさわしい衣装』としか記載されていない。


 まあ僕は正装も仮装も持っていないのだけれども。

 入学式用に作ったスーツは着ないので実家に送り返しているし。


 なお典明はスーツを持ってくるとの事。

 奴は一応持っているらしい。


 なお、ドレスコードにあわない場合の救済措置は一応あるらしい。

 『当方でも着替えを用意してございます』と記載があるからだ。

 万が一何か言われたら、向こうで着替えを借りればいいや。


 そんな訳で交換用のプレゼントと愛希先輩用のプレゼントを持って、昼過ぎには保養所へ。

 どうせ詩織先輩が『これを料理しろ』という材料を買い込んでいるだろう。

 だから早めに寮を出る。


 ◇◇◇


 そんな訳で保養所へと到着。

「待っていたのですよ。この日のために厳選した材料を買い込んでおいたのです」

 との詩織先輩の出迎えを受ける。


 なお他の面子はまだ姿が見えない。

 まあまだ13時前。

 パーティまで5時間以上ある。


 そんな訳で更衣室に荷物を置いてすぐキッチンへ。

 冷蔵庫には……

 うん、今日のメニューはケーキとチキン。

 あとは寿司を用意しろという事だな。

 海苔とかキュウリとかかんぴょうとかが入っている。


「何か作って欲しいものはありますか」

「材料は用意したのであとはお任せなのですよ」

 よし、それなら勝手に解釈させて貰おう。


 卵大量とかグラニュー糖とか生クリームとかはケーキを作れと言っていると解釈。

 七面鳥3匹はまあ、焼けという事だろう。

 その辺適当に解釈しながら料理に取りかかる。


 ◇◇◇


 ブッシュドノエル巨大版。

 七面鳥丸焼き。

 鶏手羽元のケン●ッキー風フライドチキン。

 巻き寿司、にぎり寿司、いなり寿司あわせた寿司セット。

 バーニャカウダ風スティックサラダ、ディップ3種類付。

 ついでにコーンクリームスープ。


 寿司部分を作り終わったところでちょうど30分前。

 まあそうなるように時間を調整しながら作ったのだけれども。


「料理の準備はいいれすか」

 これはジェニー先輩だな。


「あとは取り皿とかを並べるだけです。あとケーキはクリームが溶けると悲しいので直前まで冷やしたままでお願いします。寿司も鮮度的に同様で」


「了解なのですよ、では」

「服装チェックなのれす。着替え宜しくなのれす」

 出たな、ドレスコード!


「残念ながら僕はスーツを実家においたままなので、適当な服装が無いんです」

 あ、ジェニー先輩と詩織先輩がにやりと笑った。

 これは悪そうな方の笑みだ。


「理奈、着替え1号なのれすよ」

「朗人なので、料理は出来る服装で頼むのです」

 理奈先輩がにこにこ、いやにたにたしながら何か持ってやってくる。

 というか理奈先輩、その服装は!

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