第214話 新役員の決め方は

 12月22日水曜日放課後。

 学生会の現役幹部全員が学生会室に集合している。

 理由は簡単。

 本日が学生会新役員の募集締め切り日だからだ。


 本当の締め切りは先週金曜日。

 でも応募者がいないので締め切り延長。

 この辺りも毎年同様らしい。


 そして役職押しつけ合戦が現在展開中。

「会長はやっぱり男子よね」

「私は検知魔法担当なので監査デス」


「修先輩みたいな例もあるのじゃないかしら」

「あの時は4年生は1人しかいなかったデス」

 ロビー先輩の意志と守りは堅いようだ。


 2年の方はあっさり決まった。

「広報担当は私でいいかしら。カメラも今まで使っているし」

「そうですね。なら私、会計やるですから、美雨さん書記お願いです」

「わかりました」

 こんな感じだ。


 3年生の間で建設的で無い会話がずるずる流れ、流れ流れた結果。

 先生方の推挙が無い場合、会長は愛希先輩。

 副会長が理奈先輩。

 監査役がロビー先輩と決まった。


 まあロビー先輩が会長職から逃げた時点で。

 実は誰の目にもこうなるのは明らかだった。

 実技ならともかく口で愛希先輩が理奈先輩に勝てる訳が無い。

 新広報担当の沙知先輩が早速ある作業に入る。


 そして午後4時1分過ぎ。

「筑紫野先生接近中。あと20秒程ですわ」

 沙知先輩がそう告げる。


 そしてジャスト20秒後、ノック無しで学生会室の扉がドンと開く。

 学生会担当、筑紫野先生だ。


「先生、今年は結局応募者ありました?」

「例年通りですわね」

 無かった、という事だ。


「先生方からの役職の希望はありますか」

「無いわ。こちらで決めて頂戴」

 実はここまで全て予想通り。

 そんな訳で沙知先輩が作成した書類がルイス先輩経由で筑紫野先生へ。


「あら、やっぱりもう作ってあったのね。

 最近は話が早くて助かるわ。例によって告知及び不承認申し出受付のポスターはこっちで作って貼っておいて」


「わかりました」

 当然、沙知先輩がとっくに作成済みだ。

 先生の許可を貰ったのでプリンタにポスターを送信。

 レーザープリンタがジーコラジーコラ印刷を始める。


 こんな訳で会長が愛希先輩。

 副会長が理奈先輩。

 監査役がロビー先輩。

 会計がエイダ先輩。

 書記が美雨先輩。

 という感じに決まった。


 なお広報担当は学生会規定の正規の担当では無いので書かない。

 実は広報担当。

 ジェニー先輩が学生会のWebを始めた時からの便宜上の役職らしい。


「それでは今日は掲示板にこのポスターを貼って、それで解散ね」

 という事でそれぞれ印字されたポスターを手に。

 僕らはそれぞれ受け持ちの掲示板へ向かった。

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