第213話 のんびりみんなで物作り

 ポケットツールの方は色々カタログを見た結果、薄くて小型のものを注文した。

 到着予定は金曜日の夕方。

 それまでは杖の制作に専念する。


 杖の回路設計は出来ている。

 でもリアルにそれを落とすとなるとそれはそれで一苦労。

 特に超微細系の加工、詩織先輩自慢の加工機が無いと辛かったりする。

 3Dプリンタも駆使して色々と細工。

 修先輩並みの工作魔法が使えれば簡単なのだろうけれど。


 今回の杖は許容魔力も詩織先輩&プログレスの組み合わせと互角以上が目安。

 入力も増幅も出力もハイパワー仕様だ。

 結果折りたたみ傘としてはちょっと柄が太く長くなってしまった。

 それでも標準的なハンドバックに入るサイズだし勘弁して貰おう。


 そんな訳でプレゼント作成のため、放課後は毎日工房の方で過ごしている。

 なお工房にいるのは詩織先輩、ロビー先輩、典明、青葉といった学生会魔法工学科一同だけではない。

 何故か沙知先輩と美雨先輩、エイダ先輩も工房へ来てなにやら作っている様子。


 特に沙知先輩と美雨先輩。

 僕や青葉の苦労は何だったんだ!

 そう言いたくなる位あっさりとCADの使い方をマスター。

 そして今は3Dプリンタ使用中。

 これもプレゼント関係だろうか。


 エイダ先輩は青葉と何やらやっているようだ。

 これは何を作っているのかわかりやすい。

 間違いなく宝飾品だ。

 ルビーやらサファイヤやらとおぼしき石を時々選んでいたりするし。


 この時期、学生会の仕事はほとんど残っていない。

 イベントもこの前の魚祭りで最後。

 残りは本年度の決算と来年度の予算案作成だけだけ。

 それすらも実は案が出来ている。


 そんな感じでプレゼント目的とは言え、趣味的工作に没頭できる期間がのんびり過ぎていく。


 僕も届いたポケットツールを分解。

  ○ 両側の柄をサファイアに変えたり

  ○ ナイフとはさみの刃に魔法銀加工をして切れ味を変えたり

  ○ メカ部分と境界板をより薄く加工したり

等々加工していく。


 そんな感じで1週間と数日後。


 傘偽装の魔法杖はほぼ完成。

 何気に柄の部分が宝石入りだったり魔法銀の飾り付きだったりする趣味仕様。

 動作は一応確認したが、僕の魔力では真価を確認出来ない。

 魔力の性質上、他の誰も確認が出来ない。

 それはまあしょうがない。

 これは愛希先輩がフルパワーで使うための杖だから。


 ポケットツールもいい感じで仕上がった。

 しれっとぶら下げればどう見てもペンダント。

 その中に、元のツールナイフ以上の性能に高めたツールが入っている。


 ペンダントに見えるようツール部分を薄く作るのに苦労した。

 なおルビーはどうしても気に入った色に作れなかったのでサファイア仕様だ。

 同じコランダムでもルビーの方が作りにくい。

 微量に混ぜる不純物の質と量が難しくて。


 なお飾りには小粒の酸化チタン結晶も追加。

 屈折の関係でガラスよりもダイヤに近く見えるのだ。

 この小ささなら事実上見分けるのは不可能。

 これもオスカー先輩から教わったのだけれども。


 典明は何か腕時計様のものを作っている。

 時々何かタブレットを見て確認したりしている。


 詩織先輩はミシンがけなんて事をしている。

 あれは一体何を作っているのだろう。

 というかそもそも工房にミシンなんてあっただろうか。


 ロビー先輩は大物らしい。

 パイプを組み立てたりしている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る