第200話 スタッフ席で雑談中
様子はわかったのでとりあえずスタッフ席と言われたテーブルへ。
ドナやリュビカ、デイブも結局残る事を選択したらしい。
「なかなか盛況ですね」
僕は先に座っていた三田先輩に声をかけた。
「おかげさまで、ってところですね。まあ私達がやるのは参加者募集と場所の借り上げ、軽食の手配。ショー等の内容は司会も含め全部、研究室の知り合いを通じて高専の学生会関係者にやってもらっているんです。あのテーブルを廻っているイベントもそうですね」
「学生会って、三輪の知り合い?」
あ、ドナに気づかれた。
しょうが無いので頷く。
「2人程学生会と関係ない先輩もいるけれど、それ含めて全員顔見知り」
美南先輩とオスカー先輩は学生会とは関係ないよな。
あれは修先輩との個人的繋がりだ、きっと。
待てよ、オスカー先輩は詩織先輩ラインの可能性もあるのか。
まあいいや、似たようなものだ。
そして今の会話、三田さんに聞かれたようだ。
「そうだったんですか」
「まさかここに出前に来る羽目になるとは思いませんでしたけれどね」
「食べ物の注文は私達の方で手配したので伝わっていなかったと思います」
なるほど、つまりグレムリンズの皆さんも僕が来る事は知らなかった訳か。
「それじゃあ料理の時に使っていた見慣れないタイプの杖、長津田君の」
「ええ、つい先日作ったばかりのものです」
「とすると、ひょっとしてこの前、新しい増幅システムを長津田君と共同設計したというのは」
もうそこまで話がいっているのか。
でもまあ、同じ研究室だしな。
「実際はほとんど長津田先輩がやっているんですけどね。僕は組み合わせを見つけただけで」
「あのペースで論文やら知的権利申請やらされると先輩として立つ瀬無いですわ。
まあ学科全体でも長津田君の論文本数、院生や研究生含めて断トツで多いのですけれども」
「やっぱりあれは異常なんですか。長津田先輩はこれくらい1晩ちょっとで書けるって言っていましたけれど」
「そんなの長津田君だけですわ。あるいはうちの先生あたりなら。あの2人は魔力操作の分野、ほぼ全部記憶しているようですし」
うん、やっぱり修先輩が特殊なんだな。
わかっていたけれど確認出来た。
「じゃあ長津田君が研究室を爆破したって噂、本当か知っている?」
三田先輩の向こう隣の女性の先輩が話しかけてくる。
「爆破というか、増幅装置の性能試験で限界まで確認した結果らしいですけれどね。研究室でももう噂になっているんですか」
「気づいたのは先生と魔法持ちだけね。私達は見てもわからなかったわ」
「じゃあ先々週の日曜日、学校で爆発音がしたのってひょっとしてその件?てっきり魔法攻撃科の誰かが力試ししたんじゃ無いかと思ったけれど」
「窓ガラス全滅、ディスプレイに大穴と結構酷い状態だったんですよ。全部その場で直して証拠隠滅していましたけれど」
「あの工作魔法は反則よね。完全に修理できるし掃除も出来るし。ひょっとして君もあの魔法を使えるの」
「あれは無理。工作魔法であそこまで好き勝手出来るのは長津田先輩だけですね」
「じゃあ炎の魔法を使う子がやっていた、燃やして部屋中のゴミ片付けるのは?」
「杖を使えば何とか。この広さの部屋だと魔力切れすると思いますけれど」
「魔法を使えるならあの片付け魔法とゴミ焼却魔法はマスターしたいのよね」
「でも私達は魔法使えないしね」
更にその向こう隣の女子学生が加わったところで。
「そうでもないでのですよ」
あ、グレムリンズの親玉が登場した。
「三田先輩も目黒先輩も春日先輩も、去年と違って今年は魔力が確認出来るのですよ。気づいて無いだけなのです」
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