第199話 魔法パーティ開催中

 魔法炊飯したところでまわりから歓声があがった。

 米がぐっと盛り上がって御飯になるのが見た目にわかりやすいからだろう。


 オムライスの中身を作ったら次はパエリアへ。

 パエリアを作っている間にオムライス用チキンライスを盛り付けてもらう。

 デイブは工作魔法が使えるので魔法でチキンライスの形を整えるのを実演。

 更にパエリアを盛り付けている間にオムライスの卵包み部分を実施。


 愛希先輩にはフライの加熱と保温をやってもらった。

 あとはケチャップかけてソースかけてサーブしての繰り返し。

 まあ総じてそつなく調理部分は終わったかなと言う印象。

 ちなみに空になったトロ舟や調理器具を魔法洗浄するところまでが実演だ。


「それではしばしお食事の時間となります。16時から次のショーが始まります。なお今まで実演した中でもう一度確かめたい魔法のリクエストがあれば遠慮なくお声をおかけ下さい」

 沙知先輩がそう言って食事時間に。


「どうする。帰るか?」

「というか、これは何の会なの?」

 そうか、僕以外は状況わからないよな。

 説明しようと思ったところで背後から声が。


「これは魔法工学科一般大学生向け『魔法らしい魔法を体験するパーティ』ですわ」

 声で理奈先輩だとわかる。


「要は色々な魔法に親しんでもらおうという有志の会です。

 魔法工学科で一般入学だといわゆる魔法らしい魔法を見る機会がほとんど無いじゃないですか。ですので身内中心にこういう機会を設けました。

 料理の前には火や氷といった典型的な魔法の実演と紹介、魔法を使ったショートコント等をやって、後はトークショーのコーナーと最後のおまけですわ」


「理奈ちゃん、気温調整で氷柱追加お願い」

 遠くの方で声がかかる。

「はいはい」

 理奈先輩はそう言って杖無しで軽く手を振り上げる。

 広い大実習室の6箇所にデデン、と氷柱がそびえ立った。

 おーっ!という声があちこちで響く。


「どうする。ついでだから見てみる?」

「僕はついでだから最後までいるよ」

 とりあえず宣言しておく。

「そうですね、もしいらっしゃるなら後の窓側テーブルがスタッフ用なので自由におかけになって下さいね。それでは失礼しますね」

 理奈先輩はそう言って前の方へ。


 よく見るとあちこちでグレムリンズの皆さんが乞われるままに魔法実演中。

 氷柱や炎柱なんてわかりやすいものから『絶対に負けないじゃんけん』なんて難解なものまで。

 ちなみに『絶対に負けないじゃんけん』とは未来予知魔法を使っているらしい。

 以前詩織先輩の最終魔法奥義とか聞いたけれど随分気軽に使っている。


 あと奥の席を廻っているのはオスカー先輩と修先輩というコンビ。

 何か怪しい歓声が起こっているが何をやっているのだろう。

 ちょっとのぞいてみる。

 テーブル内でジャンケン大会をやって、勝った女の子には景品が出るというイベントのようだ。


「赤と青どちらがよろしいですか?」

 オスカー先輩が勝ち残った女の子に聞いている。

「うーん、それじゃ青!」

「ならば錆びたアルミに鉄とチタンを混ぜてと、生成!」

 おーっ!

 銀玉鉄砲の弾くらいの青い石が手の中に現れる。


 錆びたアルミ原料というとサファイアか。

 赤というとルビーを作るんだろうな。

 主原料は同じだし。


「デザインはどうなさいますか?」

 修先輩がラミネート加工されたカタログのようなものを見せる。


「うーん、それじゃあリングB!、右手薬指で」

「それでは加工します」

 修先輩はテーブル上に金属棒2本とさっきの青い石を置く。

 もったいぶった姿勢で魔法杖を一振り。

 材料がすっと変形して指輪になる。

 石も四角くカット済みだ。

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