第197話 右も左も準備中
話を聞くところによると、このおやつ劇場。
元々は修先輩の研究室内とその知り合いで内輪向けにやった会だったそうだ。
噂を聞いた大学生で参加したいという声が結構あったため、今回は非公式ながらそれなりの人数で実施する事になったらしい。
内容は
○ 主な魔法の紹介と実演
○ コント形式の簡単なショー
○ 軽食を食べながら歓談しながらの魔法実演
○ 世田谷美南によるホラートークショー
○ ちょっとしたおまけ
となっている。
会費は1000円。
軽食付きと思えば高くはない。
でも出前の時間とかぶるから僕が見に行くのは無理。
なかなか面白そうだし暇なら見てみたかったのだけれど。
でも美南先輩のホラートークショーって、きっと夏の旅行の時やった怪談だよな。
大丈夫かな、あれ。
知らないと洒落にならない怖さだけれども。
さて、それはともかく。
僕はスマホのアラームを14時50分にセットする。
「魔力充填のためにちょっと一眠りさせて下さい」
そうまわりに声をかけてから机に突っ伏す。
新型の杖を使ったから魔力の限界という程でもない。
でも少しでも魔力を復活させておかないと。
大量注文の出前というのがどれくらいだかわからないし。
◇◇◇
アラームが鳴ったのを右手で止める。
時計を見ると14時50分。
思った以上にきっちり眠れたようだ。
さて、行くか。
いつものディパックを背負う。
「行ってきます」
「お疲れサマ」
今の当番はロビー先輩だ。
出てみると屋台は揚げ物作成モード。
多分これが大量注文用だろう。
「僕は何を用意すればいいんだ」
番頭然として屋台に居座っている能ヶ谷に尋ねる。
能ヶ谷はまた怪しい紙を屋台上から取って僕に渡した。
「今度の出前は出張調理だ。現場でパエリア30人前とチーズオムライス30人前をつくる。ただ現場で半人前ずつ盛り付ける予定だから実際の手間は120人前だけどな。揚げ物含めて3万円也の上得意様だから頼むな。詳細はその紙の通り」
おいおい。
僕は紙を見てみる。
○ 時間 15:30に会場入り、現地解散
○ スタッフ 三輪(調理担当)、デイブ(オムライス整形、サーブ担当)
ドナ(サーブ、ケチャップ担当)
リュビカ(サーブ、ケチャップ担当)
○ 注文内容
・ パエリア半人前×60
・ チーズオムライス半人前×60
・ フライセット(揚鶏、揚げバナナ2)×60
○ 注意事項
・ 魔法調理の実演が主な目的です。魔法を使用した調理がお客様に
わかりますように、随時説明を加えながら調理願います。
ゆっくりで結構です。
・ 魔法調理実演用のテーブルは会場後方へ用意してあります。こち
らで実演及びサーブの方お願い致します。
・ 60人に盛り付けお渡しするところまでお願い致します。なお
サーブの方法はお客様に並んでいただき、1人1人に盛り付けた
プレートをお渡しする形です。
・ 60人分の皿(ワンプレート、アルミ製使い捨て)は注文主の方
で用意します。
・ 60人分の使い捨て食器類も同様です
・ 終了後は退席されてもそのまま会場に残っていただいても構いません。
・ 持ち込まれた調理器具等は洗浄の上学生会工房へお返しします。
内容はこんな感じだ。
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