第190話 3時はおやつの時間です

 その後。

 焼き飯の追加調理に出向いたりスパモン教徒からラーメンの出前とったり。

 出前を持って来たのは北米系の知らない先輩らしき男子学生だった。

 ジェニー先輩とソフィー先輩以外にも学内にスパモン教徒はいるらしい。


 他にもさっき食べそびれた揚げバナナを含め揚げ物を買い足して帰ったり。

 折角買い出した揚げバナナを今度は理奈先輩に食べられたりしながら。

 学生会室当番の愛希先輩に付き合ってのんびり学生会室で過ごしていた。


 そして何故か14時50分頃から学生会室内の人数が急激に増えてくる。

 というか、15時1分前の現在、現役学生会員でいないのはルイス先輩だけだな。

 ラーメン屋にいたはずのソフィー先輩にジェニー先輩。

 更に本来は学生会には関係がないらしい美南先輩までいる。


「何か集合かかっているんですか」

 こっそり愛希先輩に聞いたところ、

「3時のおやつに来ているんだよ」

というよくわからない回答。


 そしてほぼ15時ちょうど。

 修先輩と香緒里先輩が現れた。

 双方紙袋を持っている。


「今日は何なのですか」

「どら焼き。生ドラと栗ドラがあるからうまく分けて下さいね」

 香緒里先輩がそう言って、修先輩とともに持ってきた紙袋の中から箱を出す。

 中にはぎっちりとどら焼きが入っていた。

 遅ればせながら僕はさっきの愛希先輩の言葉と、そして学生会室大集合の意味を理解する。

 皆、3時のおやつに餌付けされて集まってきた訳だ。


 愛希先輩がささっとどら焼き2個を持って戻ってくる。

「2種類を半分ずつ食べようぜ。そうすれば両方楽しめる」

 という事でまず僕は栗ドラから。

 しっとりした皮の中に粒あんと粒々状態の栗が入っているタイプだ。


 うーむ、これも確かに美味しい。

 店があれだけ混んでいるのもわかるな。

 納得したところで愛希先輩の生ドラと交換。


 思い切り間接キスだけれどもう気にしない事にした。

 典明と美雨先輩も同じ事をやっているし。

 修先輩と香緒里先輩は食べかけの交換ではなく手で割って分けているけれど。


 生ドラの方は生クリーム入り。

 うん、やっぱりこっちもとっても美味しい。

 でもどっちを選ぶかと言えば、難しいけれど僕は栗ドラ派かな。

 両方とも本当に美味しいけれど。


 食べ終わった頃、修先輩が僕に声をかける。

「朗人、時間があるときでいいから後で僕の研究室に来てくれないか」

 何だろう。


「特に用事が無いから大丈夫ですよ」

「ならこの後でいいかな。ちょっと見せたい物があってさ」


「また爆発させたりはしないのですよね」

 詩織先輩が茶々を入れる。


「なんだ、爆発って」

「前の前の日曜に風遊美先輩に絞られていた件ですわね、おそらく」

「そんな事があったのか」

 愛希先輩は全く知らなかったらしい。

 理奈先輩は気づいていたらしいけれど。


「さすがにあの件は反省したからさ。もうバイパス回路をつけたから大丈夫だよ」

 あ、香緒里先輩の目がちょっと何か言いたげだ。

 反省するのはそっちじゃ無いでしょって言っている気がする。

 修先輩は全く気づいていないけれど。

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