第188話 スイーツ系の代用品

 見る限り甘味処の方は並んでも時間がかかりそうだ。

 なので愛希先輩を引っ張って移動。

「何処か行きたいところはありますか?」

「うーん、他になにか甘い物あるかな」

 まだ甘い物系妄想から抜け出しきれていないようだ。


 魔技大新聞部発行の学祭ガイドによれば次に評判がいいスイーツ系は大学側。

 歴史文化研究会がやっている『魔女のサンドイッチ屋さん』。

 サンドイッチ屋といいつつケーキ類がかなり美味しいらしい。

 でもどうせ混んでいるだろうな。

 そう思いつつ提案してみる。


「順当に行くと大学の魔女サンドだけれどもさ」

「あそこはここ以上に混んでいるよ。パン買い出す人もいるし」

 やっぱりそうか。

 仕方ない。


「なら雨だし手近に済ませますよ」

 多分大丈夫だろうという所へ。

 と言っても僕が知っている場所は大して無い。


 向かったのは例の屋台だ。

 少し売り上げに寄与してやろう。

 出口から出てすぐ右側。

 雨だけれど屋台の屋根はすぐ近く。


「ちょっと外なんでここで待っていて下さい。すぐそこなんで買ってきます」

「一緒に行こ。これくらいの雨なら大丈夫」

 との事なのでダッシュで屋台まで。

 せいぜい5歩程度の距離だけれどそこそこ濡れた。

 南国の雨は結構激しい。


「いらっしゃいま……あれ、三輪君?」

 うちのクラスのリュビカとドナが店番をやっていた。。

「知り合い?」

 愛希先輩が小さい声で尋ねる。


「ああ、うちのクラスで、この屋台が僕が手伝っているところ」

「でも甘い物じゃないじゃない」

「まあ見てなって」

 愛希先輩にそう言っておいてから取り敢えず2人に挨拶。


「店番お疲れ様。でもこの雨じゃ売れないよな」

「ううん、結構出前の注文出ているから大丈夫。今はデイブが配達しに行っている。で、今回は彼女さん連れて冷やかし?」

 おいおいおい。


「今回は客だよ。バナナ4本と鶏2本。バナナと鶏は別の入れ物で。全部串ありで」

「はいはいっと」

 ドナが冷蔵庫と冷凍庫からそれぞれ具材を出して串に刺す。

 そしてそのままフライヤーへ。

 まもなくフライヤーの中から浮いてくるバナナ。

 うん、油温も規定通りでいい感じだな。


「ソースはどうする」

「それは自分でやるよ」

 何せ勝手知ったる自分の屋台だ。

 最初のバナナはメイプルシロップ味で、次のは粉糖をかけただけで。


 そうこうしているうちに鶏も揚がってきた。

 こっちは普通にすっぱ辛いソースをかける。


「それじゃ、どーも」

「焼飯足りなくなったら呼ぶからね」

 という感じで店を出て、またダッシュで校舎内へ。


「場所無いから学生会室で食べようか」

「そうだね」

 という事で階段を上り廊下を歩いて学生会室へ。

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