第184話 スパモン教徒、布教中
その後愛希先輩に起こされて校庭で実施されているエアスケーター実演会場へ。
開発者として当たり障り無い挨拶をした後は僕はお偉いさんと座っているだけ。
そして愛希先輩が模範演技を披露。
それぞれ市販版エアスケーターと超改造版の専用エアスケーターで実演。
市販版の方でも垂直2回転とか3回転ひねりターンとか高難易度の技を爆発。
更にいつも使っている超改造版で背面飛行とかもうやりたい放題。
スカート短いし空中で両手離して観客に手を振ったりするし。
僕はそんな愛希先輩をひやひやしながら見ている。
まあスカートの下に短いスパッツはいているのも知っているけれど。
愛希先輩やっぱり可愛いしさ。
何かファンみたいな集団もいたし。
終わった後愛希先輩とぶらぶら見物しながら歩いて、ついでに食べ損ねた昼食を兼ねて『ラーメン』とのれんのある模擬店へ。
「いらっしゃいませ」
聞き覚えのある声だなと思って見てみると、ソフィー先輩とジェニー先輩だ。
3時近くという時間のせいか客は他に2人だけでカウンターが空いている。
なので愛希先輩とカウンター席に陣取った。
「今日は札幌味噌ラーメンの日なのれすよ」
という事でメニューは札幌味噌ラーメン、量とトッピング違いだけとシンプルだ。
僕は札幌味噌バターコーンラーメン普通。
愛希先輩は札幌味噌ラーメン大チャーシュー追加を注文する。
「この店は学内のスパモン教徒が日々の研究成果を発表する場所なのれす。今日は私とソフィーによる札幌ラーメンの研究成果の披露なのれす」
「スープの他に麺も夏にたくさん食べて買って研究したんですよ。成分も研究して自分で製麺機で作って。このために小野式という製麺機を買ったんです」
と先輩2人がそれぞれ説明。
なかなかに拘っているようだ。
「さて、お待ちどうなのれす」
ジェニー先輩が丼を2個、僕達の前に置く。
アツアツのスープとちょっと太めの縮れ麺。
うん、美味しい。
無茶苦茶美味しい。
普通のラーメン店よりよっぽど美味しい。
というか前に保養所で同じメニューを食べたけれどあの時より美味しくなっているような。
特に麺が大分良くなっている。
流石麺類の使徒。
「感想はいいので伸びる前に食べて下さいね」
とソフィー先輩に言われなくても美味しいので一気に食べてしまう。
熱いので顔に汗が浮かぶけれど。
健康に悪いと思いつつスープまで全部飲み干して。
「無茶苦茶美味しかったです。下手な本場の店よりよっぽど美味しいです」
横で愛希先輩もうんうん頷いている。
「明日は東池袋某店風つけ麺、明後日は偽二郎の予定れす」
なるほど、色々な研究成果がある訳か。
ふとある事に気づいた。
学生会の予定表欄。
ソフィー先輩のところに『布教活動』とあったのはこの事だったのか。
確かにいまのラーメン、コスト高そうだったしな。
1杯500円だと儲けはほとんど出ないだろう。
でも布教活動なら納得だ。
人々を麺類好きにする布教活動。
うん、これなら宗教に厳しい特区でも文句は言われないな。
まあスパモン教自体が他の宗教への異議として始まったようなものだけれども。
「ごちそうさまでした」
「良ければまたおねがいします」
結構機嫌良く店を出る。
だがそこでスマホに悪魔の通知が。
僕の方の屋台からの応援要請だ。
「ごめん愛希先輩、何かうちの屋台の方にあったみたいだ」
「じゃあしょうがないな。なら後でまた学生会室で」
という事で屋台へ急ぐ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます