第177話 いい使用感と不安感と
回路そのものは簡単に作成できた。
僕の腕じゃ無くて魔法ブロックの設計の優秀さ故なのだけれど。
さて、手に取って構えて見る。
ちょっと変わっているけれどなかなか使えそうだ。
立ち上がりは若干遅い。
ただ立ち上がった後はいい感じに強力。
モノセロス単体より強力な感じ。
でもモノセロスとプログレスの掛け合わせの力が無限に増えていく感じは無い。
それでもその気になれば結構色々見えるし感じられる。
大体射程は100メートル位までだけれども。
魔法そのものは非常に使いやすい。
常に一定の力が蓄えられていて、それを絞って出す感じ。
最初だけちょっと立ち上がりに時間がかかるが、その後は連続して魔法を使っても発動時間は変わらない。
むしろ他の杖より若干早い位。
ただ……
何故だろう。
この杖には理由がわからない不安感を感じる。
特性上は一切そんな兆候が無いのに。
使い続けてはいけない。
そんな気配を感じるのだ。
うん、わからない事は相談だ!
という訳で開発者のところへ。
部屋を出ると、ちょうどOBが露天風呂からあがってきたところだった。
修先輩も男子更衣室から出てくる。
あの部屋、詩織先輩が使っているんじゃと思う人は学生会初級者。
詩織先輩がつかっていようと更衣室は更衣室で機能している。
要は深く考えるなという事だ。
皆妙に変な所で慣れすぎているから。
「修先輩、何か不安な予感をこの組み合わせに感じるのですけれど、理由はわかりますか」
そういう事で浴衣姿の修先輩に投げてみる。
「うーん、これは使い勝手としてはどうだった」
「使い勝手は凄くいいです。最初の立ち上がり以外は完璧で威力もあるし、出力の安定化機能があるのか魔法の効果が安定する感じです」
修先輩は魔法ブロックを持って色々考えている感じ。
「どんな不安感なんだい」
「何というか、このまま使い続けてはいけない、そんな感じがするんです」
修先輩は頷く。
「そういう感覚は信用した方がいい。検定魔法でも知らない構造体の危険性はそんな感じに出るからね。ただ今は僕の検定魔法でもちょっとわからないな。
ちょっとこれ、借りていいかな。今まで試行していない組み合わせだから特性を見たい。明日研究室で魔力電池をつないで試してみる。勿論充分に注意はするから」
「勿論いいですよ」
何せ元々修先輩から貰った物だ。
寝る前の魔法訓練はモノセロス改でやればいい。
そんな訳で僕は魔法ブロックを修先輩に渡し、部屋へ戻る。
さて、魔法ブロックが無くなって時間が少し余ってしまった。
それなら今日は論文探しをやってみるか。
今回のと同じ位有望な組み合わせが他にもあるかもしれない。
そう思いながら部屋のパソコンを開く。
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