第158話 試作品の組み立て開始
工作用の若干広い机を展開して、そして箱を開ける。
うん、思った以上にプラモデルな感じだ。
プラスチックのランナーに付けられた部品類。
別パックで入っている金属製品。
イラスト入りの組み立て説明書。
このイラスト、よく見るとジェニー先輩の絵だな。
なるほど、これも家庭内手工業的な製品の訳だ。
工作魔法のせいか造りはプラモデル屋で売っている市販品と遜色ないけれど。
それにしても試作品でここまで作り込む意味がよくわからない。
単なる修先輩の趣味とか性格なのだろうか。
さて、説明書を見ると、どうもこの製品は組み立て難易度を選べるようだ。
難易度は3段階で、易しいが小学6年生以上、普通が中学2年生以上、難しいが工作魔法を使える大学生・高専生以上とある。
本当は難しいで挑戦したいが自分の実力は充分わかっている。
普通モードで挑戦だ!
組み立てに入ると邪魔者もやってくる。
最初に出てきたのは愛希先輩だ。
実は今朝も若干トド化している。
昨日露天風呂の会話を聞いた詩織先輩が朝食用のパンと肉塊を用意したからだ。
つまりロースト肉サンドを作れと。
挑発行為にはそれなりの対応で応える。
結果、朝食メニューはローストビーフサンドとローストポークサンド。
ついでにケバブサンド風も作ってみた。
それで何人かが危ない状況になった訳だ。
「今度は何を作っているんだ」
「プラモデルみたいなものですよ。ちょっと魔法工作力を鍛えようと思って」
「ふーん」
これにはあまり興味は無いようだ。
「暇なら魔法の訓練でもしようと思ったんだけどな。腹ごなしを兼ねてさ」
「そうですね。何なら午後にちょっと出かけましょうか。おやつ持って」
「お、いいなそれ。じゃあ昼食後待っているな」
あれ、腹ごなしにおやつ持っていくのってアリかな。
まあいいや、愛希先輩もそれで良さそうだし。
代わりにやってきたのは典明だ。
「何か本格的なプラモデルっぽいな」
「ここの自製らしいけどさ」
説明書の最後、会社名が入っている処を見せる。
「ここか……何か色々やっているな」
典明がなんとも言えない表情にあった。
その気持ちは大変よくわかる。
「修先輩の趣味なのですよ」
あ、毎度お馴染み
「このシリーズは修先輩が高専生への費用助成と自分の趣味を兼ねて作ったブランドなのです。商品化する製品の選択とモデル化はオスカーちゃんが、解説用イラスト作成にはジェニー先輩がそれぞれ協力しているのです。先月は売り上げが30万円を越えたそれなりのヒット商品なのです。
ただしこの製品は確か禁制品扱いでお蔵入りした筈なのです」
さすが
「本人に貰ったんです。楽しい魔法工作シリーズを注文しようと思ったら」
「なら納得なのです。うちの親父も時々それで遊んだりするのです。オプションブロックも確か自己開発していくつか作っていたのです」
あの田奈先生が自分でオプションを作る程はまっているとは……
うん、なかなか楽しみになってきたぞ。
「とりあえず工作魔法が身につくように、出来るだけ魔法で組み立ててみるつもりです。所要1時間だからゆっくり作っても昼食前には完成するでしょう」
今日の昼ご飯担当は広報部、パスタファリアンの皆さんだ。
だからぎりぎりまで時間を使っても大丈夫。
「どうでしょう。そのブロックは完成してからが問題なのですよ」
詩織先輩がちょっと気になる事を言ったが気にしてはいけない。
まだ作りはじめてもいない今の段階では。
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