第147話 こういう時は責任者!
「ちょっと待って下さい」
魔力を魔力のまま放出する魔法使いしか使えない筈の杖。
そしてそんな魔法使いは滅多にいないって聞いた筈。
うん、こういう時は責任者を呼ぼう。
保養所経由で隣の部屋へ。
幸い修先輩は隣の部屋のリビングにいた。
パソコンを使って何かCADで設計している。
「修先輩、ちょっとよろしいでしょうか」
「うん、何だい?」
「午前中にいただいた杖、僕以上に愛希先輩が使いこなしているんですが」
「えっ、あのモノセロスをかい」
修先輩も驚いた表情で顔を上げる。
「あれって普通に使える杖では無いんだけれどな」
「取り敢えず今試してみている最中です」
「どれ」
という訳で修先輩を現場の駐機場所へ。
戻ってみると愛希先輩は更にヒートアップしていた。
ルイス先輩がやるように風魔法で浮いている。
「修先輩、この杖凄い!使えなかったはずの魔法が色々使える!」
修先輩、硬直。
そして愛希先輩は更に悪乗り。
「うん、今なら出来そうな気がする。必殺、瞬間移動!」
変化無し。
「う、やっぱり無理だったか。残念!なら代わりに」
空中から屋上に下りてきて、今度は保養所の方へ向かって杖を向ける。
「必殺・レーダー魔法アンド音声中継『ベントラー・ベントラー・スペースピーポー』」
あ、保養所の方から窓を開ける音がした。
い草サンダルでパタパタと誰かがやってくる。
理奈先輩だ。
「やっぱり今の愛希なの。何かと思ったじゃない」
あ、愛希先輩、やっと自分が悪乗りしすぎたのに気づいたらしい。
ちょっと表情が変わる。
「ごめん、ついつい色々出来るから……」
ちょっと反省している様子だ。
「でも愛希って伝声魔法とか使えたかしら?」
「いや、全部この杖の威力」
そう言って杖を理奈先輩に渡す。
理奈先輩は持ってみて、そして構えて首を横に振る。
「うーん、とてもそうとは思えないわ。むしろ魔力の通りが悪い」
「そうだよな、その筈なんだ!」
あ、修先輩が生き返った。
「普通に魔法が使える本来の魔法使いならこの杖は使えない筈なんだ。それなのに……」
「愛希の魔法は中学2年からで、練習で使えるようになったものよ。それが関係あるかしら」
「それかー!」
修先輩、がっくりとうなだれる。
「わかった、納得いった。でもまさか攻撃魔法科の魔法使いにこんな魔法の使い方をしている人間が、しかも身近にいたとは思わなかったんだ」
修先輩が何か一人で納得している。
そして。
「まあ色々説明するよ。とりあえず中に入ろう」
という事で保養所へ。
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