第136話 深夜の野生露天風呂
山の中の、川の中の、滝壺部分。
僕らがいるのはそんな場所だった。
すぐ上が滝。
そして下流10メートル先も滝。
川全体が温泉で温度も適温。
ただ酸性がきつそうだけれども。
僕の横には理奈先輩と愛希先輩。
とするとさっきのは……
「うふふっ、愛希より先に朗人君に胸を揉まれてしまいましたわ」
あ、さっきの感触はやっぱり……
「朗人、気にするなよ。この状況じゃしょうが無い」
そう愛希先輩は言ってくれる。
でも確かにもろ触ってしまったような……
しかも見ると愛希先輩、思った以上にボリュームある体型だ。
太いという意味では無い。
細いところは細く出ているところは出ているという……
浴衣がびしょ濡れで肌にくっついているのでよくわかる。
あ、いかんいかん。
見てはいけない。
そう思った時だ。
「ここは酸性が強いのでシャンプー無しでも髪がしっかり洗えますし、身体もさっぱりしますわよ」
おい理奈先輩、いきなり目の前で浴衣を脱がないでくれ。
そして愛希先輩も。
「ここは酸性が強いからさ、最初に浴衣を脱いで絞っておいて、身体と髪を洗った後絞った浴衣で髪と顔の水分を取るとちょうどいいんだ。タオルがあればいいんだけれど落としそうでさ」
おいおい僕はどうすればいいんだ。
暗くて裸がうっすら白くしか見えないのが救いなのか。
でも逆にエロい気もするぞ。
そして愛希先輩や理奈先輩だけで無く他の面々も同じ事をやっている。
いかんだろうこの風景は。
思いっきり野外で上は星空だし。
「他の人は絶対来ないから大丈夫だぜ。この下の滝の下までは日中は観光客がくるけれどさ。夜は交通手段が無いし万が一の為に沙知が魔法で見張っているしさ」
「ヒグマはいるらしいですけれどね」
理奈先輩が怖い事を言う。
すると向こうから別の声が。
「300メートル以内に2匹いるけれど寝ているみたいですわ。動きはありません」
沙知先輩、リアルに恐いから脅さないでくれ。
脅しでは無く事実なんだろうけれど。
「それにしても、ここはいったい何処なんですか」
「それは聞いてはいけないのですよ」
詩織先輩がそんな事を言っている。
「北海道の何処かとしかお知らせは出来ないのです。自然保護区域で、かつ自然遺産で有名になって観光客が入り込んで滑落する人が相次いで立ち入り禁止になった場所なのです。だから知っているのは移動担当者だけでいいのです」
その自然保護区域で自然遺産な場所で全裸女子高専生が混浴中か。
なんと言っていいかわからない。
常識とか良識とかが麻痺してくる。
これで本能も麻痺していればいいのだがそうもいかないのが悩ましい。
全裸の白い姿がその辺を闊歩しているし。
色々辛い。
「さて、ここの湯は長湯向きではないのです。あと10分で次へ移動するので身体と髪は洗っといて欲しいのですよ」
そして詩織先輩からそんな発言。
典明とかはどうしているんだろう。
暗くてよくわからない。
ルイス先輩は中心部には見えない。
どこかへ移動したようだ。
ロビー先輩はまあ、今回も何も気にしていないんだろうな。
参考にはならない。
そんな感じなので僕も諦め、浴衣を脱いで絞る。
せめて髪だけは流しておこう。
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