第133話 札幌ダブルデート(トド同伴)
「でもそろそろ行くぞ、時間が惜しい」
「どこ行くんだ?」
今回の予定は何も聞いていない。
「本来だったら歩いて旧北海道庁の建物を見て、同じく歩いて札幌時計台をお約束として見て、大通公園に足を伸ばしテレビ塔へ。それから何か美味いものを食べる予定だった」
うん、ベタベタな札幌徒歩観光ルートだな。
僕が考えた当初案と全く同じだ。
「もし気分がお約束な状態で無ければ、北海道開拓の村なんて行ってみてもいいかと思っていた。
でも吾輩にはあの広大な開拓の村を歩く気力は既に無い。
正直なところ徒歩観光するには我々は食べ過ぎている」
「同意!」
愛希先輩がそんな事を言っている。
「そこで腹ごなしに郊外までバスで移動し、名物の工場見学に行こうと思う。
なお現地にはなかなか評判のいいスイーツの店もあるらしい」
「乗った!」
完全に典明と愛希先輩で話が進んでいる。
このパターンは初めてだ。
僕と美雨先輩は顔を見合わせる。
「こういう場合はどういう表情をするべきでしょうか?」
「単に愛希先輩と典明は喰意地で繋がっているだけなので無視して結構です。何なら苦笑する位がちょうどいいかなと」
「なるほど、そうなんですね」
そういう訳で僕達4人はまず札幌駅のバスターミナルを目指す。
いや、目指そうとした。
そしてホテルのフロント付近で早くも挫折した。
トド、歩くのが苦しいらしい。
「予定変更、タクシーだ」
「御意!」
完全に典明と愛希先輩ペースだ。
そしてホテルの目の前の道は悲しいかなタクシーがうじゃうじゃいた。
あっさりタクシーをゲットだ。
「このタクシー、今、道の反対方向を向いていますけれどいいですか」
運転手さんにそんな事を聞かれる。
でもトドには道の反対側でタクシーを捕まえる気力と体力は無い。
だからこれでOKだ。
タクシーで気持ちよく走って約20分。
気恥ずかしい名称の工場兼お菓子展示場系テーマパークに到着だ。
まあこの名前、北海道を代表するお土産にしてこのメーカーの代表製品の名称なのだけれども。
そして20分の休憩時間でトドも少し復活。
西洋の城を模したちょっと恥ずかしい外見の工場兼テーマパークに入る。
「よし、今ならパフェ1つ位なら入るな」
愛希先輩には反省の色が見えない。
「まあ待て。実は特別なカフェが工場見学の途中にある。だからまずは工場見学だ」
「わかった!」
トド同士の意思疎通は早い。
「あれはきっと自分に言い聞かせているんですよね」
「僕もそう思います」
美雨先輩と僕の意見が一致した。
そんな感じで銘菓工場の工場見学を始める。
工場見学そのものは楽しい。
所々気恥ずかしい名称のモニュメント等があるけれど。
今日は夏休み中の平日だから子供連れが多い。
でも休日は名称の通り男女2人ペアが多いのだろうか。
そんな事を思いながらチョコレート工場を見学。
子供連れが群れている体験コーナーは飛ばす。
あと自社製品の優位性についての説明は話半分で見る。
それでもチョコレートをコーティングするところや包装の過程とかは面白い。
そして工場の最上階、お待ちかねのラウンジに到着。
アンティークというかデコデコな感じの喫茶室で、テーブル上のメニューを真剣に眺める愛希先輩。
「このオリジナルティーセットにしようかな、でもパフェも捨てがたい」
オリジナリティーセットはドリンク2杯にオリジナルソフトクリーム、バームクーヘン、生ケーキ、他小物色々付いてくるセットだ。
ドリンク2杯ついてくるところから見て2人でシェアして食べる事前提だろう。
愛希先輩は1人で食べる気満々だけれど。
指摘してもしょうが無いので妥協案を提示。
「ならそのティーセットを2人で頼む事にして、パフェ1個追加していい」
「なら、ジャンボイチゴパフェ」
来ると思った。
なお典明側も同じようにティーセットとパフェにする模様。
「どうせならこっちはジャンボチョコパフェ頼んで、4人でパフェ2種類をシェアしませんか」
「いいね。乗った!」
そんな感じで懲りないお茶会が始まる。
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