第130話 怪談?『鬼畜桃太郎』R15指定
「それでも鬼達は桃太郎に立ち向かいます」
ギャー!
ドサッ、バタッ。
風が強いのだろうか。
物音は止まない。
「そして数十秒後、そこに立っているのは桃太郎ただ1人でした。
既にサルと犬も桃太郎の戦いに巻き込まれ、血だまりの一滴と化していました。
雉は逃げようと空へ飛び立ちます。
でも次の瞬間、雉は羽に強い衝撃を受けました。
桃太郎が投げた石が命中したのです」
バサッ、ババタバタバタ……
うんうん、こんな音が聞こえる事もあるよねきっと。
何かもうやばい雰囲気満々だけれど。
「桃太郎は雉に尋ねます。
『おい、他の鬼と宝物は何処だ!』
雉は助かりたい一心でつい教えてしまいます。
『あっちです。あっちに人影が見えました』
桃太郎はにやりと笑います。
『そうか、ありがとうよ。では最後に俺の役に立ってくれ』
桃太郎は右腕を一振り。
雉の首は跳ね飛びました。
そしてまだばたばた動いている胴体の羽をむしり取り。
桃太郎はその塊にかぶりつきました。
『やっぱきびだんごより肉の方が美味いな』」
それにしてもこの桃太郎、鬼畜すぎないか。
色々まずいだろうこれ。
そう考える事で僕は色々聞こえる説明不可解な音を無視しようとする。
「『雉に教えられた方向に向かうと、そこはまさに鬼達が船で島を脱出しようとしている現場でした。
勿論桃太郎は襲いかかります。
相手が女だろうと子供だろうと鬼なので容赦しません。
殴り、蹴り、踏み潰します。
最後の子供は人間だと3歳位の大きさでした。それでも桃太郎は容赦しません。
「鬼に産まれたのが悪かったな、あの世で幸せにな』」
ぐしゃ。
何かが潰れる音がした。
いや、気のせいだきっと。
「そうして桃太郎は船の中でついに財宝を見つけます。
しかしそこで桃太郎は気づきました。
宝や宝石がどれも村で見た事がないようなものばかりなのに。
金貨と思われるものも桃太郎の知っている長円系の物では無く、円形で厚みのあるいわゆるコインでした。
異国の言葉と思われる表記もあります。
桃太郎はそこで、ある事に気づいてしまいました。
ふと島を振り返ると、何か妖気のようなものが島を覆い始めていました。
それは殺された鬼達の怨念でした。
平和に暮らしたかっただけなのに何度も人間に襲われた。
挙げ句の果てには桃太郎に皆殺しにされてしまった鬼達の怨念でした」
あ、何か窓の向こうで何か紫色に光ったような。
気のせいだ。
そう、きっと。
「桃太郎はその船で海に出ました。
必死になって船をこぎ、ふるさとの村を目指します。
でも怨念の方が僅かに速い。
桃太郎は必死になって漕ぎます。
でもその時、海の中から無数の手が……」
「わあああっ」
ルイス先輩が急に叫ぶ。
理由は俺もわかった。
何かが俺の足を触ったような気がしたのだ。
これはきっと気のせいだよな。
そんな筈はないよな。
もし触れたのが本当でも誰かの足があたっただけだよな。
「そして桃太郎はとうとう怨念に捕まってしまいました」
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