第127話 寿司と海鮮と甘味とガラス工芸と……
朝食のバイキングというのは良くない制度だ。
いや、僕1人の個人旅行なら大いに満喫することだろう。
しかし今回の社員旅行?には問題児が何人もいる。
あればあるだけ欲望のままに食べる問題児が。
チェックアウトの限界時間10時まで粘ったのはそのせいだ。
ただおかげで僕も温泉でのんびりとさせて貰った。
うん、この宿はなかなかいい。
昨日の宿と比べ、温泉が混浴でないところとか。
まあ当たり前か。
そんな冗談はともかく、風呂も広くて色々趣向を凝らしてあって快適だった。
そして温泉で復活した由香里大先輩が運転席に座り、次の移動が始まる。
「今回は直接小樽へと向かいます。なお、このバスは駐車場に午後6時まで停車している予定です。その頃帰られる方はバスへ、それと異なる方は各自で宿まで移動をお願いします。
宿の方は既に名簿を提出してお金も払っているので、うちの会社名を言えば鍵を渡してくれる事になっています。
なお宿は朝食以外は用意していません。各自買うなり食べて帰る等してください」
例によって沙知先輩がそんなアナウンスをする。
そして横から典明が。
「愛希先輩、今回もご一緒していいですか」
「うん、いいけれど観光より食べ物中心になるよ」
「大丈夫、典明もそうです」
あ、美雨先輩がそんな事を言っている。
確かに典明も喰意地が張っているな。
「じゃあ一緒に行こうぜ」
「宜しくお願いします」
とまたも自動的にダブルデート形式になった。
僕の意見は全く聞かれないまま。
まあ別に不満は無いけれどさ。
◇◇◇
ケーキを食べて、寿司を食べ。
さつま揚げを食べ海鮮丼も食べ。
更にアイスを食べながら……
そんな感じで食べ歩き、一応ガラス屋さん等も観光して、そして色々買いあさって無事バスに乗り本日の宿へ。
何かバスの中で修先輩が俺達以上の大荷物を持っていたのが気になる。
修先輩は魔女達と比べると比較的常識人だけど、何の荷物だろうか。
そして宿には先客がいた。
ジェニー先輩、ソフィー先輩、ロビー先輩の北米組と風遊美先輩だだ。
そしてジェニー先輩とソフィー先輩は既に布団を敷いて伸びている。
「すみません風遊美さん」
修先輩が頭を下げながら風遊美先輩の方へ。
そして荷物から色々と取り出す。
「回れなかった分の差し入れです」
ルタオの箱、北菓楼の箱、ワイン3本、ハスカップの炭酸飲料ペットボトル、そして持ち帰りの寿司セットが5パック。
「状態は?」
「本人の申告通り、食べ過ぎですね」
話を聞いているとおおまかな状況は理解できた。
要は北米グループ、俺達以上の食べ歩きを決行して動けなくなったらしい。
仕方なくロビー先輩が修先輩にヘルプの連絡。
修先輩は万一の事も考え医療魔法が使える風遊美先輩に頼み、一同を宿に連れてきてもらった訳だ。
そして……
「ん、食べ物の匂いれす」
倒れていたジェニー先輩、そしてソフィー先輩がふらふらと復活する。
どれだけ喰意地が張っているんですか先輩方は。
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