第67話 宇宙からの帰還、そして買い物への旅立ち

 午前10時、学生会工房付近の校庭。

 今回は無事全員総出で来ている。

 ここで無事宇宙から実証模型1号が帰投するのを皆で確認。

 その後それぞれお買い物に出かける予定だ。


 風遊美先輩引率のデパート・ファッションビル行きと詩織ちゃん先輩引率の秋葉原組。

 なお秋葉原組は広報班という名の腐女子班と電気街班だ。

 実は秋葉原組の一部は実は更にとんでもない計画を裏でたてている。


 この分け方だとルイス先輩の行き場が無いようだが、今回は電気街班だ。

 前にファッション班で酷い目に遭い、更に腐女子班でもっと酷い目に遭ったらしい。

 相変わらず気の毒な人だ。

 イケメンなのに。


「来たですよ。もう見えているです」

 詩織ちゃん先輩の視力は5.0超えだと修先輩は言っていた。

 なので常人ではまだ見えない。

 でも例の魔法によって感覚では既にわかっている。   

 南方の空を大きく円を描きながら降下中。

 10キロの時と差はあまりないようだ。

 

 お、校庭への進路に乗ったぞ。

 そこからはもう一直線。

 空に小さな点が現れて一気に大きくなる。

 校庭の上でパラシュートを開いて急停止、落下。

 前回と同様に地上へと落ちる。


「撮影はばっちりれすよ」

 今度はジェニー先輩がビデオを撮ってくれていた。

 そして僕ら全員で回収に向かう。


「今度は大分表面が焼けてますね」

 僕の目だと良くわからないが検定魔法を使える典明にはそう見えるらしい。


「ああ、あと電撃も数回喰らっているようだ。機能そのものにはほぼ異常は無い。

 強いて言えば左主翼フラップが若干悪いな。ベアリングが数個焼けている。

 もし飛ばすなら可動部はバラして再調整が必要だ。でもあえてこのまま残して提出した方がいいだろう。この損傷状況もデータだ」

 と修先輩。

 まあいずれにせよ成功だ。


 ベースに再固定して学生会工房へ入れる。

「データはどうする」

「後にします。ある程度ばらさないとカードが取り出せないんで」

「なら買い出しか」

「ええ」


「じゃあファッション班、集合!」

 由香里先輩、鈴懸台先輩、月見野先輩、風遊美先輩、世田谷先輩、香緒里先輩がそっちだ。

 あとは取り敢えず秋葉原行き。


「ではうちも行くですよ」

 との詩織ちゃん先輩の声とともにふわっと浮遊感覚が襲う。

 着地したのは小さな公園だ。


「毎度おなじみ湯島聖堂横の公園なのですよ。秋葉原なら後ろの階段から降りて坂を下りる、池袋なら前の出口から出て御茶ノ水駅から丸ノ内線なのです。

 帰りは17時以降にSNSで連絡をくれればその場所へ行くです」


「なら今日は……取り敢えず秋葉に出て考えるれすか」

「そうですね」

「了解!」

 腐女一同は背後の方へ消えていく。

 そして。


「さて、ここからはオプショナルツアーなのですよ。

 今回は国外脱出第2弾、台湾は台北市の光華商場へご案内なのです」

 完全に違法出国だが、詩織ちゃん先輩にとっては日常らしい。

 でなければ青いパパイヤとか青いバナナとか、本場のハムやチーズ等買い出しは出来ないだろうし。


 言葉は詩織ちゃん先輩が英語と中国語、ルイス先輩とロビー先輩が英語を話せる。

 なのでどんな場合でもまあ、詩織ちゃん先輩がいれば大丈夫だ。

 というか意外に詩織ちゃん先輩、万能だな。

 そんな訳で一行は再度、別空間で台湾を目指す。

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