第65話 偏見たっぷりな日本のカレー
通称『強制労働』は結構みっちり午後6時までやった。
もちろん3時のお茶の時間の休憩はあったけれど。
やってて思ったのは、皆、魔法を無造作に使いすぎ!
梱包を解く作業は僕以外の2人はカッターでなく魔法でごく小さい炎の刃を出して梱包を解いている。
在庫管理は完全にジェニーさんの魔法と連動して動作。
そして作業台に並べる作業は詩織ちゃん先輩1人で担当。
それ魔法?テレキネシスじゃね?という感じでバネが自動的に作業台に飛んでいき並んでいる状況だ。
全員が手作業しているのは梱包・発送部隊くらい。
ただそんな感じなのでなかなか効率はいい。
おかげで魔法無しの僕は結構大変な状態だ。
だがバイト代はなかなかに高かった。
バイト代は終了後その場でデスクのジェニー先輩から受け取る形式。
封筒の中に入っていたのはなんと5万円。
時給1万円というデフレ何処行った、という感じの金額だ。
休憩時間もしっかり勤務時間内に含まれているし。
「これ以上出すと税務署に睨まれるので勘弁してくれ。他は食費や旅行に還元するから」
というのは修先輩の言である。
いやこれ以上の時給はさすがに不味いだろう。
色々な意味で。
「よし、これで明日は風遊美と買い物旅行よ!」
と由香里さん達最上級生一同が息巻いている。
そうか、風遊美先輩もかなり広範囲へ移動可能なんだよな。
他に目立つのは不敵に笑う広報班一同様。
広報班とはジェニー先輩筆頭にソフィー先輩、理奈先輩、美雨先輩、沙知先輩のグループで名誉顧問が月見野先輩だそうだ。
今はこの連中で合同広報誌を作成中とのこと。
なお広報班の実態は腐女子班で広報誌の実態は怪しい怪しい薄い本らしいけれど。
今年は夏コミの申し込みをしたらしいが通るかどうかは不明。
どうも全国的に腐ったファンがいるらしい。
春に作った第1回広報誌の委託販売が極めて順調だとか言っていたしな。
ちょっとだけ読ませて貰ったが色々とまあ目に痛かった。
何せ登場人物がほぼ全員学生会の住人だ。
一応フィクションとは書いてあるけれど。
困った事になかなか面白い。
微妙に実話臭い部分も混じっているし。
ルイス先輩が『目覚めてしまった』瞬間の大コマは大笑いしてしまった。
会長には大変申し訳ないけれど。
まあ他にも色々ルイス先輩が酷い事になっている。
夏コミ当選の暁にはルイス先輩に売り子としての出場を要請する予定だそうだ。
本人のコスプレをさせて。
なお今のところ本人からは色よい返事は出ていないとの事。
さて、保養所に着いたらここからは僕の戦場。
本日の夕食は既にお題が出ている。
『コテコテな日本風カレー』との事だ。
欧風でもインド風でも他の東南アジア風でもなく日本風。
宜しい、ならば独断と偏見による正しい日本のカレーを作ってやろうではないか。
まず肉は豚肉、それも細切れだ。
これを10キロ、寸胴もかくやというでかい圧力鍋にぶち込み、更にサラダオイル適当とカレー粉と唐辛子を入れて炒める。
何故細切れを使うか理由は簡単だ。
細切れならどんな感じに盛ってもどの皿にも肉が大量に感じられる程度に入る。
カレーの肉は正義だ。
薄いと出し殻になるとかブルジョアな事を言ってはいけない。
そんな贅沢は欧風カレーに任せておけば良いのだ!
で、その間に中華鍋も火にかけ、解凍した『飴色まで炒め済み冷凍タマネギ』500グラムを2袋ぶち込む。
他にチューブのショウガとニンニクを3本ずつ全部ぶち込み、気分よく炒める。
で、豚肉の方が気分良い感じに焦げ目がついてきたら人参とジャガイモ投入。
日本風のカレーならやっぱりこの2品は入れないとな。
そろそろ焦げそうな中華鍋は一度火を消して圧力鍋の方をじわじわ炒める。
まあこの辺にしておいたるわい、位に手が疲れたらカットトマト缶を3個投入して中華鍋側の材料も投入して牛乳を1パック入れ更に足りない分水を入れて圧力スタート!
時間が足りないので圧力鍋で無理矢理火を通し、最後にルーを入れる予定だ。
なおルーは市販のそこそこクラス中辛を1種類だけ。
へたに混ぜたりするよりこの方が美味しいというのが今までの僕の実験結果だ。
それにお題が『日本風カレー』だからルーで作るべきだよな。
圧力鍋が仕事するまでの間、サラダをダッシュで作成。
これも別方面から注文が来ている。
『本場タイ風ソムタム』だそうだ。
色々注文がうるさい。
あとパクチーつけないと一部方面から文句が出るし。
ひととおりサイドメニューを終えたら圧力鍋の火を止めて圧を抜く。
野菜にほどよく箸が通るのを確認してルー投入。
ついでにとろけるチーズも大量投入。
混ぜて混ぜて火を入れてルーがねっとりするまで混ぜ続ければ完成だ!
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