第64話 GW後半1日目の午後

 第2回実験、つまり高度10キロも無事に終了した。

 なお典明自身の検定魔法だけで無く修先輩の検定魔法でも問題は無いとの事。

 ついでにパラシュート部分を新品同様に再生して貰い、学生会工房にしまい込む。


「いずれ次世代機を作ってラジコン付けてデジカメも付けるのですよ。そうすれば宇宙からの写真が撮り放題なのです」

「でもこれをもう1機作る気力は拙者には正直無いです。結構色々しんどいです」

「そういう面倒なのは修先輩にやらせるのですよ。複製魔法1発で作れるのです」

「本当ですか!」

 典明が修先輩に詰め寄る。


「材料があれば全く同じ物ならね。でもかなり魔力を使うな」

 そう言って修先輩は苦笑い。

「それに詩織の言うような改造するならかなり設計変更が必要だろ。なら結局は半分以上手作業だ。まあ原型があるからある程度は早く出来るだろうけれど、そんなに簡単には出来ないな」 

「でも2号機は本当は作りたいんです。そうすれば学校提出用以外に自由に使える機体が出来ますから」

 そんな事を言いながら保養所に歩いて行く。


 なお今日はご飯を食べたら午後は薊野魔法工業で強制労働らしい。 

 僕に関しては調理担当でいつも働いているから免除でも良いよと言われてはいる。

 でも後学の為にも参加してみるつもりだ。

 魔法部品の製造というのも興味があるし。


 その前にまずは昼食。

 冷蔵庫を見たところ詩織ちゃん先輩がまた色々面白いものを買い込んできている。

 そういう事もあってか学生会ここで料理するのはなかなか面白い。

 けっこう新奇な素材も味さえ良ければ皆結構簡単に受け入れてくれるし。


 例えば日本では苦手な人も多いパクチー、ここでは完全に受け入れられている。

 特にはまったのが美雨先輩と沙知先輩と香緒里先輩。

 うどんでもつけ麺でも味噌汁さえパクチーを盛って食べている。

 今ではどんな料理の時もパクチーを盛った皿を2つは必要とする状態だ。


 なお本日の昼食は既に下準備をしてある。

 具体的には手打ちうどんで、麺帯をすでに作って熟成中。

 なおめんつゆも昨日作って寝かしてある。


 というか、そもそもはめんつゆが原因でうどんが結果だ。

 詩織ちゃん先輩がトビウオのひものなんて買ってくるから、つい昨日時間をかけてあご出汁のつゆなんて物を作ってしまったのだ。

 なので今日の昼食は本格手打ちうどん。

 つゆはあご出汁で、天ぷら各種入れてかまぼこ載せて、人によってはネギやショウガやパクチーかけて。


 なお関西風出汁つゆより関東風が好みな方用に武蔵野風肉汁うどんのかけつゆも用意予定。

 まあ基本天ぷら揚げてうどんを切ってゆでるだけ。

 だから例によって30分程度で出来るだろう。

 他の細々はやっている最中の余った時間で出来るしさ。


  ◇◇◇


 今日の昼食は無事失格者が出ずに終了。

 そして午後1時。

 場所はスーパーや喫茶店や飲み屋やお役所等が入っているビルの1階にある工場スペース。

 そこで僕ら1年生3人にとって初めての強制労働が始まった。


 基本的な流れは、

  ① 工場から送られてきたバネの梱包を解く。

  ② バネを箱から出して作業台に並べる。

  ③ 作業台を香緒里先輩か修先輩の作業机に載せる。

  ④ 香緒里先輩か修先輩が作業台のバネに魔法をかける。

  ⑤ ロビー先輩や典明等検定魔法が使える学生が品質を確認する

  ⑥ 台帳を見ながら梱包する

  ⑦ 宛先ラベルを貼って箱を完成させる。

という感じ。

 完全に家内制手工業だ。


 なお台帳管理やラベル作成、在庫管理はジェニー先輩が主にやっている。

 僕は最初の梱包解き作業、典明は品質確認作業、青葉は梱包作業へ配属された。

 僕のところは他には鈴懸台先輩、愛希先輩の2人。

 そして作業が始まる。

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