第47話 仮面ライダー対ウルトラマン
「術式学園中等部時代、理奈さんは女子のみの攻撃魔法同好会『青い薔薇』の副会長で、そこに青葉さんもいたんですね」
金井さん、今は青葉と呼ぼうか、は頷く。
「理奈先輩は魔法も強いし勉強も出来るし優しいしで皆の憧れだったんですよ。でも3年の時に急に同好会を辞めて……」
「あの同好会は昔は色々トレーニングをしたり研究したりもしていたのですけれどね。私の頃はもうサロン的な仲良し会になってしまって面白く無くなったのですわ。で、その時私の目にとまったのが一匹狼の愛希だった訳です」
「理奈先輩が辞めて同好会も面白く無くなってね。攻撃魔法を練習するにもクラスの他の連中とだとレベルが違いすぎるし。ある程度自分でもトレーニングはしていたんだけれども攻撃魔法にあまり魅力を感じなくなっちゃって。
学校自体も面白く無くなって、それで畑違いだけれど魔技高専を魔法工学科で受験したの。まさか通るとは思わなかったけれど」
僕にもやっと大体の状況はわかってきた。
「でも青葉、やっぱり攻撃魔法を捨ててはいなかったんですね」
「まあね。結局私が他と違うのはやっぱり魔法だし。色々教本を読んだりコントロールの練習をしたりはしていたんだ」
「という訳で、最後に面白い遊びを一つ提案したいんだけどさ」
愛希先輩がとっても悪そうな顔で言う。
「ここに現4年最強と言われるルイス先輩がいる。
更に消し炭になっても心臓が止まっていなければ完全蘇生できるという組み合わせの先輩も大学から出張して貰っている。
ここでひとつ攻撃魔法がどれくらい奥深い物か試してみないか。学生会長の胸を借りて?」
あ、理奈先輩も悪そうな顔になった。
「だから愛希とつるむと飽きないのですわ。そういう訳で青葉も一緒にどうぞ。
大丈夫、ルイス先輩は強いから全力で最強攻撃を3人で叩き込んでもそう簡単に倒れないですわ」
「いいんですか、本当に」
そう言いながらも青葉が杖を構えだしている。
不意に風遊美先輩がすっと腕を振るったかと思うと景色が一変。
僕、典明、修先輩、そして風遊美先輩は先程のところから100メートル以上離れた場所に移動していた。
そして直後にルイス先輩がいたとおぼしき場所で爆炎があがる。
だが爆炎よりわずかに早く、何かが空へと飛び立った。
「逃げたぞ!」
「追えー!」
「すみません、でも!」
熱線や氷柱攻撃や炎の濁流を、それでも空中に浮いている何かは器用に避けている。
でも3人に一斉攻撃されたりして、余り余裕は無さそうだ。
なお詩織ちゃん先輩は全て無視して独自にうろうろと観戦している。
「大丈夫なんですか、ルイス先輩」
僕の質問に大先輩方は答える。
「まあルイスはなんやかんや言っても強いしね。心配はいらないな」
「その気になれば炎も氷も風も水も相殺魔法で消せますしね、ルイスでしたら」
大先輩方と後輩の絶大なる信頼の元、ルイス先輩は攻撃を避け続ける。
逃げて逃げて避けて、それでも決して攻撃はしない。
「攻撃魔法科筆頭って、大変なんだな」
「というかルイス先輩が苦労を背負い込む性質なんだろう、きっと」
典明の分析に僕も思わず頷く。
「それにしても金井、魔力大分隠していたんだな。今見ると十分仮面ライダー級だ」
確かにあの炎の濁流を生み出す魔法は人間業とは思えない。
「でもあれは杖の力を使っているんじゃ無いか」
「いや、さっきの決闘でも杖の増幅力を使ったのは最後の特攻攻撃だけだ。あの炎の濁流は増幅無しで使っている」
そう言っている間にもルイス先輩が疲れてきている感じだ。
空中での身体のキレが悪くなっている。
「そろそろ終わりかな」
「そうですね」
大先輩方がそう言った直後。
思う存分攻めていた女子3人の動きがいきなり止まった。
止まっただけ無く何か苦しみだしたぞ。
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