第23話 魔女の集会とはサバトです(2)
不意に掃き出し窓がガラガラと開く。
「洗い場は空いたのですよ。あまり遅いとこの部屋にマイナス30度の寒気団作るぞと理奈が言っているのですよ」
詩織ちゃん先輩だ。
そして窓ガラス越しに見る限り、詩織ちゃん先輩は全裸だ。
おいおいおいおい。
「わかった。用意次第行く」
「今のは脅迫ですか?」
「冗談だろうが、理奈は冗談でも本当に実行するからな」
流石魔法使い、文字通り洒落にならない。
「まあ理奈の魔法だけなら何とか中和できるけれど、他の連中もお祭り騒ぎを始めたら目も当てられない。行くぞ」
というルイス先輩の言葉に従い、僕らも服を脱く。
一応タオルで前を隠して、ルイス先輩に続き外へ。
確かにまごう事なき露天風呂が目の前に広がっていた。
ただの露天風呂と言うよりむしろスーパー銭湯か。
洗い場に浴槽3つに樽湯に……まあ色々施設がある。
それを全部確認できないのは、そこここに全裸女子高専生がいるからだ。
ここまでいるともはやエロいという感覚は無い。
数の暴力だ。
できるだけ見ないように洗い場へ移動し身体を洗い、取り敢えず近場で誰も入っていない一番手前の浴槽へ。
すこしぬるめの浴槽だ。
なおルイス先輩は手前左奥の樽の形をした浴槽へと消えた。
なるほど、確かにあそこの浴槽に深めに入れば外を気にしなくていい訳か。
典明もそれに倣っている。
一方ロビー先輩はまったりと中央のジェットバスで伸びている。
あの辺りは女子がうろうろしているのだが、ロビー先輩は全くそれを気にしている様子は無い。
チラリズムとかエロとかを全く考えていないというか気にしていないようだ。
強すぎる。真似できない。
でも前は隠した方がいいと思う。
という訳で僕は出来るだけ露天風呂中央方面を見ないように手前の浴槽で足を伸ばす。
周りが周りだけに大変落ち着かないが、風呂そのものは良く出来ている。
若干浅めだが、これはきっと女子の体格に合わせているのだろう。
お湯もぬるめだが悪くない。
きっと他の浴槽は温度が違うのだろうし。
お湯そのものも入浴剤入りか何か、白く濁っていて硫黄系の香りがしている。
それに雰囲気も悪くは無い。
浴槽も木製だったり所々に自然石っぽいのを配置していたり。
たしかに温泉だな、これは。
しかしこの温泉というか露天風呂、こんな物マンションの標準装備の筈は無いよな。
いかに高級マンションといっても。
とすると、誰かが作ったのだろうけれど、本土の業者を呼んだのだろうか。
それとも魔法で作れる物なのだろうか。
でもまあ寸法取りして工房で切りそろえれば、組み立てなら一応出来ない事も無いか。
そんな事を考えていると。
「どうだい。ここの風呂には慣れたか?」
いきなり真横で声がする。
これは確か。
「愛希先輩ですか」
僕はそちらを向かないで尋ねる。
何せ間近で声がするだけでドキリとしてしまうのだ。
相手がフルヌードだとわかっているから。
「ああ。あまり無理しないでいいぞ。私も最初は慣れなかったから。まあルイス先輩はまだ慣れていないようだけれどさ」
というか慣れるものなのだろうかこれは。
お湯が白濁しているから大丈夫だけれど、僕も今は上がれる状態じゃ無いぞ。
既に下半身に問題が発生している。
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