第22話 魔女の集会とはサバトです(1)
大量の皿や巨大鍋も人数でかかればあっという間に片付く。
「じゃあ次は露天風呂ですよ」
そう言った瞬間、ルイス先輩の顔に緊張が走った気がした。
「今日は最初だし、去年のように分けないか」
ん、どういう意味だろう。
「男子2人だし問題ないのですよ。慣れが肝心なのです」
「いや、慣れるのもむしろ問題が……」
「ここで副会長権限で多数決を取ります」
ソフィー先輩の聞き覚えのある台詞が聞こえた。
これはつい今日の昼にも見た事のある状況だ。
「ここで露天風呂についていつも通りでいいか決議を行います。いつも通りでいいと思う人は挙手!」
うーん、手を挙げていない人の方が少ない。
挙げていないのはルイス先輩、香緒里先輩、愛希先輩。
そして何が何だかわからない僕と典明だ。
「賛成多数により本日もいつも通りとなりました」
ソフィー先輩がそう言って無理矢理その場を仕切り終えた。
一体何なんだろう。
それにそもそも露天風呂とは何だ。
いくらここのマンションが大きいからってそんな物……
まあ2~3人用ならベランダに作れない事も無いだろうけれどさ。
でも強度的に辛いかな。
と、愛希先輩が近づいてくる。
「いきなりだし最初位はと思ったんだけどな。まあ慣れれば大丈夫だから、ロビー程度に大雑把になれば」
それだけ言って向こうの部屋に消えていく。
何だろう。
何が起こるのだろう。
「こっちだ」
ルイス先輩はため息を1つついて僕らを一番南側の部屋に案内する。
この部屋は畳敷きではなくフローリングだ。
パイプ椅子と長机2つとホワイトボードがあり、会議にでも使えるような感じになっている。
「まず説明するとこの奥、掃き出し窓の先は露天風呂だ。混浴のな」
え、今ルイス先輩は何と言った?
耳がエロい聞き間違いでもしたか。
「混浴の露天風呂、ですか?」
典明がそう聞き返した。
どうも僕の聞いた単語は間違っていなかったらしい。
ルイス先輩は頷く。
「そうだ。20人以上収容可能な露天風呂、それも混浴だ」
「何でそんな物がこんな処にあるんですか」
典明の疑問は僕の疑問でもある。
「長くなるから省略する。後に張本人に直接聞いてくれ」
ルイス先輩が苦い顔でそう言う。
でも……
僕は更に尋ねる。
「何故混浴なんですか」
健全な高校生や大学生相当の男女だし、どう考えても問題だろう。
「昨年の春に時間別になったんだ。でもあっという間に混浴に戻った。入れる時は入りたい。それが理由らしい」
「それで問題は無いんですか」
更に尋ねる僕にルイス先輩は苦い苦い表情で言う。
「この面子であの相手で問題が起こせると思うか」
あ……。
向こうにいるのはゼットンとかウルトラマンとか仮面ライダー。
こっちはウルトラマン1人に中学生に幼児に問題外。
少なくとも男性側からの問題は物理的に起こせない。
間違いなく。
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