第15話 無手格闘の武器破壊専門家
猫目様がいらっしゃった翌日、俺はようやくカザマの学園に通うこととなり、俺にしては随分と久しぶりに朝っぱらから、まだ登校時間より早く、学生会室の隣にある空き教室――というには小さいが――に来ていた。
既に待っていた小柄な女性は教員だろうが、どういうわけか。
「ええと、初めまして。りり・コノアメで、スズシロくんの担任になります」
「そりゃどーも。ところであんた、あー……略称を作りにくい名前だな、まあいいか」
「略称?」
「俺は俺の名前を、んで野郎もフルネームで呼ばれるのは嫌うし、できるだけ明かさないようにしてるから、略称くらいが丁度良いんだよ」
というかそれで一度、手ひどい失敗をしたことがあるので、予防線を張っているのだ。
それが俺の本来の名であり、普段は十三・スズシロで済ましている。なにせ、名前というのは核心でもあり、掴まれると本当に面倒なのである。
「そんなことよりも、何を落ち込んでるんだ、あんたは」
「……あれ、顔に出てますか?」
「丸っこくて、俺から見れば充分に可愛らしい顔からは、見て取れないな」
「ええと……その、ありがとうございます?」
「なんで感謝なんだ?」
「褒めたんじゃないんですか」
「あー? ……あ、そうかこれ褒め言葉になるのか? 悪い、まったく意識せず、ただ見たままのことを伝えただけだ」
「……あのう」
「なんだよ?」
「口説いてます?」
はて、一体なんのことだと腕を組む。まったくそんな意識はなかったし、俺としてはただ、少し落ち込んだような気配を〝引きずっている〟ように感じたので、世間話ついでに、何かあったのかと話を振っただけだ。
そう素直に説明すれば、どういうわけかこいつは、咳ばらいを一つした。
「なんなんだ?」
「もういいですー。というか、ちょっと昨夜の合コンでまた残り物になったのを気にしていただけですー」
「またって、同じことを繰り返してどうするよ」
「相手がいつも変わりますから」
「変わっても繰り返してるのは同じことってか?」
「む……どうせ理想が高いですよ私は」
「へえ? じゃ、軽くでいいから、最低ラインはどのへんだ?」
「そうですねえ、年上で手のかからない相手でしょうか。――いやそうではなく、学園の話をですね」
「ああ、魔術や術式についてはソウ……
けどなあ……。
「あんた気付いてないのか?」
「へ?」
ああ、やっぱり気付いてねえ。本心ってのはやはり、他人からの指摘が一番なんだろうけど。
「けど、一番指摘されたくないってのも事実か」
「ええと、なんです?」
「失敗を繰り返すのは成功への道だけど、同じことを繰り返せば失敗にしかならないって話なんだろうなと」
「私のことですか」
「矛盾ってのは人間が抱く、ごくごく
「はあ」
「年上で手のかからない相手をどれだけ探したところで、理想の相手には恵まれないよ」
「初対面で全否定ですか!?」
「だってそうだろ? 手のかかる年下の面倒を見るのが教員の役割だ。そんなことを日常にしている反動でそういう相手を好むと、そう思い込んでるみたいだが、実際にそんな男と付き合いだしてみろ、三日目で面倒を見ないことで暇になって、どうしようもなくなる。つまり求めるだけ無駄だ」
「う、ぬ……」
「理想が高いというより、理想が空回りだ。手間がかかることと、世話をしなくて済むことを一緒にするなよ。まるで、自分に口出しされたくないって女が、どうしてかまってくれないんだと
「う、……ううー」
あ、半泣きになった。
うわー、俺言い過ぎた? いやでも、待てよ。
「泣いてる女ってなんかいいな……」
「サディストですか!?」
「いや知らんし。俺こう見えて、周囲に女の気配ないし。まあそういう生活だったから当然なんだけど」
「……そうなんですか?」
「俺の考課表に目を通してない? って、そこまで詳細なものでもないか。ジュンのことは知ってるだろ? 俺はあいつと――同じ、とは言えないけど、まあ、認識としてはそれで構わない。生まれてこの方ずっと、ある武術を学んできた。今もそうだけど」
「ああはい、クスくんは刀を持っていましたし」
「わかりやすくていいよな、あれ。で、高校に上がるまではずっと鍛錬に明け暮れてたわけ。去年一年は、ちょっと鍛冶に興味あって、アルバイトで金を稼ぎながら工房にこもる毎日。ちなみに金が必要な理由は、個人工房を持つことと、生活費な。一人暮らしも始めたから。お陰で学園なんて、通算で二十日も通ってないし」
「よく進級できましたね……」
「鍛冶学科なら、ナイフの一本でも提出すりゃ、そう問題にはならないさ。しかもそれが、卒業レベルのものなら、文句も言わないだろ。そういうわけで、俺はジュンと違って色っぽい話もなし。あえて女を泣かそうなんてクソみたいな趣味は持ってないから安心しろ。ただまあ、結果、どういうわけか年上の女が今泣いてたみたいだが」
「うぐ……! わ、忘れてください!」
「おー、まあだから、本心なんてのは自分じゃ気付きにくいもんなんだよ。俺も、それは同じことだ」
「はあ、まあいいです。ええと、そう、魔術に関しては良いんですか?」
「今のところはな。それとも、俺の理解度を試したいか? 軽く聞いてるだけで、実際にどうってのは、イマイチだけど、対策くらいはできるだろうと考えてるよ」
「そうですか。……あ、じゃあ一ついいですか?」
「なに」
「
「いいよ、リコ
「はあ、なんとなく気持ちがわからなくもないですが」
「そうかあ?」
「なんとなくです。その霧子さんから相談されて、私としては少し返答に困ったのですが、術式で〝芯〟をズラされたそうなんです」
「へえ? それは、あるいは
「あ、はい、そうです」
言って、ホワイトボードに黒い直線を一つ描き、その中央から横に伸びる点線を一つ。
「この直線が芯だとしたら、こんな感じにズラされたそうです。理屈上、それは術式として可能ですが、やや複雑な手順を踏む上で、それなりの錬度が必要だと、私は判断を下したのですが――まあ、私の専門は歴史なので、あくまでも私なりの見解です」
「……面倒だな、術式ってやつは」
「そうですね」
「あんたが思ったようなことじゃねえよ」
厄介だと思ったわけじゃない。
「一応、二つ聞いておく。まず一つ目、リコ姉はその状況を、感覚的に、どう口にしていた?」
「ええと……厳密には、ずれた状態が〝正常〟であるような認識があって、つまりこの一本の線に戻ろうとすると、それを異常だと訴える感覚があったそうです。けれど、意識そのものは、異常だと思っていたそうで」
「ふうん……じゃ、二つ目。リコ姉はそれを、どうにかできたのか?」
「いえ、できなかったそうです」
「……リコ姉、前線から退いて鈍ったんじゃねえかあれ」
よし、今度ちょっかいをかけてやろう。ただ怒るとすげー面倒なので、その見極めだけはするけど。
「じゃ、先に結論から言うけど、さっき言った〝裏を返せ〟ってのがそのまま答えになってる」
「裏……ですか?」
「おおよそ、大半の人間の中に、つまづいて転んだ、ないし転びそうになった経験をしたことのない者は、いない。じゃ、どうして転ぶ?」
「バランスを崩すからです」
「そう、大小の差はあれど、崩されたから芯がズレたように感じるわけだ。実際にズラされたのならば、既に崩されたとも言える。この場合の対処法は簡単だ、バランスを保てばいい」
「しかし、正常の認識がありますよ?」
「けれど異常だと理解できたんだろ」
立ち上がり、俺はもう一本の点線を描く――そう、ちょうど、中央から逆側へ。
「線対称にした逆側、つまり裏を返すわけだ。これで中央を〝認識〟できる。リコ姉の発言そのものを、素直に受け止めたのならば、それは偏ったバランスそのものを正常だと認識しつつも、それが違うのだと自己否定ができながらも、しかし、芯がわからないからこそ、対策ができないってことになる。――この見解に否定は?」
「……いえ、聞いた限り、そうだと思います。戻せないということは、多くの場合において、戻る場所が不明になるからでしょうし、ずれた状態を正常だと認識してしまうのも、本来の正常を見失うからです」
「だがそれでも、意識が正常を感じているのなら、ズレたぶんだけを戻すんじゃなく、勢いよく大振りして反転させた方が、中央の意識は強くなる。左脚を払われた時、右脚だけで立っていれば、転ぶことはない。けれど人は、バランスを崩して左脚を元に戻そうと意識しがちだ」
「まあ、そうしないとかなりの確率で転びますからね」
「そう、それだ。今はあくまでも〝戻す〟ことを主体に置いているが、転んだ時に受け身を取ることだってあるだろう? そして、俺は、転んだくらいで攻撃を止めたりしないし、防御に回るだけで済まさない。片腕を失ってバランスが崩れた――だから? そこで、どうにもならないと思ったのなら、俺は今、生きてない」
「……あったんですか、そんなことが」
「あったよ。といっても、実際に腕を殺されたわけじゃなく、なんていうのかな……あの時は左脚だけど、まるで血が通わなくなったみたいに、動かなくなった。俺は右脚と棒を引きずるようにして、戦闘をするしかなかったんだけど」
――本来。
ジュンの扱う
「ま、このくらいにしとこう」
「そうですねー。ちょっとクスくんとは違ってて、なんかアレですねーとか思いますけどー」
「なんで不満そうなんだよ」
「べつにー。――さて、じゃ、学生会長に挨拶しましょう」
「はいよ。俺の相談役か?」
「そんなところです」
一度部屋を出て、隣室の学生会室へ。中に入れば――女が二人いて、一人は学生服なので学生会長だとわかったが、もう一人はスーツだった。まだ若い風貌だが……。
「あら、ご苦労様、りりさん」
「あれ学園長、いらしてたんですか」
「うんちょっと――問題があって。それは会長に言っておいたから。そして、ようこそカザマへ、スズシロくん」
目が笑っていない笑顔を向けられ、俺は口の端を歪めて近づき、右手を差し出した。
「よろしく、学園長さん」
「ええよろしく」
握手が一つ――だが、俺は力を入れてその手を離さず、視線を合わせたまま動かない。
「悪いが、精神汚染には慣れてる。元は拷問に耐える技術だが、それが意識の変動を誘発するものなら、抗える。――何故だ? 問えよ、学園長さん」
「……」
もう、学園長の表面に笑顔はない。
「問えよ」
「……何故?」
「何故って、慣れるくらいには、抵抗できる程度には、精神汚染なんぞ身近に感じた時期があるし――それが〝致命傷〟になりうることを、俺は承知しているからだ。そして、抵抗というのは実に、面倒なものだ。まるで蚊に刺されたから、医薬品を塗っておいて、かゆみが収まるのを待つ時間のように――鬱陶しい。そして」
一息、入れる。
「俺は、敵に容赦をしたことは、ない」
脅しではない、事実だ。
俺の〝認識〟に介入して、好意を植え付けようだなんて相手が。
「あんたが学園長じゃないなら、忠告なんかしない。理解できたか?」
「え、ええ、わかった、もうしない」
「ならいい」
ゆっくりと手を離し、吐息を一つ。
「あまり迂闊なことをしないようにな? 特に、知らない相手には、観察の時間を持った方がいい。俺はあんたみたいな女が大嫌いだ」
「あーあ、嫌われちゃった。じゃあもう行くわ」
「おう、またな」
嫌いだからといって、べつに逢いたくないわけでもなく、俺は彼女を見送った。
「あのう……」
「ん? ああ、気にするな、ただの〝挨拶〟だよ。そっちが会長さん?」
「え、ああうん、そう、かなめ・イールギーよ」
「
「うんいいけど、あれなに」
「だから挨拶だっての」
「……納得できないけど、まあいいや。あ、しまった! 変な展開だったから、会長っぽく取り繕うの忘れてた!」
そんなことしてたのかよ。どうでもいいわそんなの。
「――ソウコエリアにようこそ、スズシロくん」
「今更背筋を正して、声色まで変えても遅いよ。ルギーさんの間抜けはよくわかった」
「わからないでよ!?」
「そういうとこ気にしないから、本題な」
「うう……その前に一ついい?」
「まずは前菜からってほど、育ちは良くないけど、なんだ?」
「腕が立つ、そう聞いてる。もしよかったら、見せてくれない?」
「――ああ、観戦が趣味か。んで、ジュンにはにべもなく断られた」
「う……そうよう」
「だろうな。俺は見られても構わないけど、たぶんルギーさんは見ても意味がないし、ジュンが断ったのは、それを真面目に見ることで、次の観戦がもうできなくなるからって意味もあったはずだよ」
「次? どういうこと? え、見るだけよね?」
「そう、見るだけ。けど世の中にはこんな言葉がある――
「うわー、先生、この人って言葉を選ぶって知らない?」
「さあ、どうでしょう」
「え? 間抜けって言った方がわかりやすかったか?」
「そうじゃないわよっ!」
「よし、じゃあ間抜けじゃないルギーさんは、きっと知っているだろうから聞くけど」
「こいつ性格悪いわー……」
「失礼な。俺はちゃんと相手に合わせてるつもりだ」
「ええまあ、つもり、というのは確かにその通りだと思います」
あんたもなんか、小骨が喉に刺さったような言い方だな……?
「ジュンは学園内で、そのほとんどの場合において、両手を頭の後ろで組んでるはずだ」
「そうね、よく見る光景よ」
「それがもう証明だ。単なる癖だとでも思ってんだろ」
「……え、なんか意味あんの、あれ」
「刀を
「ぬう……手厳しい」
「あんたは興味あるか?」
「そうですね、クスくんとはあまり、そういう話もしてませんでした」
あいつはそもそも、あんまり説明とかしないだろうけどな。
「半年に一回、俺はジュンと手合わせをしてる――が、たぶん手合わせの内容を言ったって、あんたやルギーさんはわからないだろうし、順を追わずに逆から説明しよう。逆というより結果からだ」
「結果って、勝率とか?」
「気が早いね、ルギーさん。拙速と言えばいいけど、早とちりと言い換えれば赤面ものだ。まあ、詰まらん話だけどな。――手合わせを終えた俺たちは、だいたい三十分くらい休んだあと、その間は反省みたいな会話をして、まずは帰らないといけない。やり合うのはいつだって、人気のない郊外――エリアの外だからな。一つ目の難所が、そこだ。全身を赤色に染めながら、一歩を前へ出すだけで激痛が頭まで走るような状況でも、自分の足で歩いて帰らなくちゃいけない」
本当なら、休憩時間なんて作るべきじゃないんだが、そうしないと歩くことすらままならない――それを、二回目の手合わせでお互いに痛感していた。
「帰ってやることは治療だ。お互いに顔への直接攻撃だけは、それほどしないし防御もするからいいんだけど、躰は酷い有様だ。一回は糸がなくなって困ったこともある」
「――糸、ですか?」
「ん? 傷を縫うのに必要だろ」
「ああ、なるほど」
なんだ、こいつはそんなに驚いてないな。そんなに非常識なことじゃないもんなこれ。
「血が足りないから気をつけるんだけど、まず食事が喉を通らない。固形物なんて最悪だ、胃に激痛が走るし、吐けば余計にひどくなる。で、二つ目の難所がここ。最低二十時間は眠れない」
「え、なんで?」
「眠ると最悪だ、起きた時に間違いなく動けない。痛みに気絶しても同じだ。大腿骨を折った人は、手術後にできるだけ、痛みがあっても動かすよう言われるのと同じでさ、眠って動かないだけで、人の躰ってのは固まっちまう。出血が止まってからも、改めて血を出すみたいに、ストレッチだけはやっておくこと。あとは食事をどうにかして、躰の熱を逃がさないようにしつつ、二十時間後の睡眠を待ち望んで、耐える。それでようやく、後遺症なく復帰できる道が見えて、それから三日後くらいにはだいたい普通に動けるよ」
「なるほど、なるほど。つまりスズシロくんにとっては、三日後に〝戦闘〟があることも織り込み済みと、そういうことですね?」
「それを言うなら翌日、だけどな。ただし、避けようとする努力を忘れるわけじゃない――でだ、ルギーさん。口を開けて間抜けな驚き顔なのはどうでもいいけど、つまり、俺とジュンの手合わせ、戦闘ってのは、そういう結果が出るような内容ってわけ。勝率? そもそも、勝敗なんて決まらないよ。決まったら次がない、どっちかが死んでる」
まあ、それでも。
どちらかと言えば、俺が勝っているし、ジュンは試しているだけ――だが、俺は勝った気になったことがない。
「見物を、俺は拒絶しないよ。けど、何もわからないまま、死に体に近づいていく俺らを見て、その緊張感を肌で感じたのなら、今まで観戦してきた〝戦闘〟ってやつが、どれほど生ぬるいかを実感することになるし、そこに楽しさを見出したのならば、ずっと退屈を心に孕みながら戦闘観戦をすることになる。――な? 止めておいた方がいいだろ? ジュンが拒絶するのは、そういうことも織り込み済み」
「ええ、うん、もう怖いしたぶん見ない。見たくない」
「その方がいいよ。まあどうであれ、見てもわからないって。俺らが楽しそうにやり合ってるのなんて、狂気だよ狂気。実際に俺らは楽しいけど」
「あのう、ちなみに何が楽しいんですか?」
「そりゃ決まってる――それでも、倒せない相手がいることが、何よりも楽しいよ。だから俺の根本には、ジュンを越えようって意識がある」
できるのならば、野郎の
「それでも興味あるならソウに聞いてみろよ。多少は知ってる」
「レッドハートくんですね」
「おう。んでルギーさん、何か問題があって学園長がきてたんじゃないのか?」
「え、ああそう、うんそれ。手違いがあったのか、住居の手配が遅れてるの。空き部屋がないってのも理由なんだけど、スズシロくんは今、どこの宿を使ってるの?」
「宿は使ってない」
「……はい?」
「もう七日前くらいからこっちにいるけど、宿は取ってない。さすがに最初の二日くらいは事情があってホテルに泊まってた」
さすがにあれだけの傷を負って、屋外で暮らす趣味はない。というか本格的に死が近づく。
「今はどうしてるんですか?」
「どうって……夕方以降はだいたい外。あ、エリアの外な。飯の現地調達はしてないけど、休むぶんには慣れたもんだし、人目を気にせず躰を動かせるから」
「なにしてるんですか、この子は……」
「問題もないし、住居の手配も必要ないよ。朝には大衆浴場に行ってるし、川で服も洗ってるから」
「スズシロくん」
「なんだよ」
「もっと現代的に生活しましょう」
「ああうん、好んでやってるわけじゃないし、不便なのは理解してるけど、だからどうしたって話だったから」
「この子は……」
なんでお前が頭を抱えてるんだ。
「ああもうわかりました、授業後までに手配しておきますから、顔を見せてください」
「んー、そんなに気にしなくてもいいんだけどな」
「私が気にするんです!」
「さよで。じゃあそんくらいに顔を見せるよ。以上でいいか? とりあえず俺、学園の工房見に行きたいんだけど」
「……え? ちょっと、授業はどうすんの」
「お前何言ってんの? 世の中には優先順位ってものがあるんだぜ?」
「そうだとしても、挨拶くらいはしましょうね!」
なんなんだ、こいつら。どうした、朝から妙に頭が痛そうだが、処方してもらった方がいいんじゃないか。
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