三 一針
誕生の季節の春を終え、恵みの時期の初夏が過ぎ、夏。
放浪の一族である草原の民も、王と都を持つ。草原の中にあって小さいながらも堅固な街を維持できているのは、草原では貴重な水を、脇に流れる川から安定して得ることができ、また流通を馬や牛の荷だけでなく船にも頼れるからだろう。豊かな水源があるからこそ、大祭で多くの一族を受け入れることが出来るとも言える。
町の外まで延々と続く幕屋に、それぞれの愛馬が並ぶさまは圧巻だった。広大で、いつ何時も微動だにしない大地も、この時ばかりは震える。
道中であちこち放浪する家族を共に連れ、靖真たち一行が都へたどり着いたのは一番最後だった。夕暮れが迫る中、急いで幕屋をいくつも組み立てる皆を置いて、靖真は銀を連れ王の元へ行く。東西南北、それぞれから族長が代表となる若衆を連れ、大祭の準備と進行を詰める会議が行われるのだった。馬比べ以外の行事には興味がない銀は適役とは言えなかったが、他に適当な若者もいないので銀が行くのが常だった。
「今年もまた、一族が皆壮健で揃うことが出来たことをまず喜ぼう」
王は老境に差し掛かり、頭も白い物が多くなっていたが、落ち着いた声はよく通った。
「そして明日からの大祭で、またそれぞれが良い勝負を見せてくれることを期待している」
遊牧の民という、組織だった要素など皆無の草原の大地を統べるこの王は、草原の民の頂点に立っていながら、放浪しない。王という地位についてからは都に定住し、むしろ牧で生きる民とは真逆の存在であった。それでも草原の一族は、この王を敬愛し心服している。
「おい、銀。おまえ、今回も馬比べだけか」
顔合わせが終わり、それぞれの一族の状況などを確認しあっていると、若衆の一人が銀に問うた。銀は黙って頷く。すると、別の一人がぐいと無理矢理肩を組んできた。なんだ、と目で問うと、見知った顔が真剣な声でささやいた。他の二人も興味津々といった態度で、四人は輪になった。
「おまえのとこの更紗が今年、舞手だろ。それなら今年こそ、おまえが馬上試合に出てくるんじゃないかと噂してたんだ。本当に、馬比べだけなのか?」
うんざりして、銀は横目で王や族長たちを伺った。若衆が本題とは別で盛り上がっていることには当然気付いているが、彼らにも彼らの話し合いがあり、何も言わない。こちらの話も聞いていなそうなので、銀も小声で答えた。
「本当だよ。いつも通りだ」
「本当だな?」
「しつこいな。親父さんたちじゃあるまいし」
うっかりこぼすと、しっかりそれを聞きつけた三人に、おい、と小突かれる。
「打診されてるってことか、それ?」
「じゃあなんで、おまえ」
簡単には納得してくれなさそうな雰囲気だったので、銀は適当に答える。周囲に、そして自分に、何度も何度も繰り返してきた言い訳だ。
「俺には関係ないことだ」
三人は一度顔を見合わせ、それから改めて銀に向き直った。
「それは、いいってことだよな?」
「いいって、なにが」
「とぼけるなよ。舞手といったら、大祭の花だぞ。この後引く手数多だ」
分かっていたことだ。そして、遠に放棄したことだ。銀はよどみなく答えた。
「ああ。いいんだ」
これ以上この話を続けても実りはないと判断したか、三人は一度顔を見合わせた。そして話を変えるように少し大げさな身振りで銀の肩を叩いた。
「それなら、今年の馬上試合はうちが勝たせてもらう。馬比べも弓比べも、舞手まで南の一族が持っていくんだ。一つくらいは貰わなきゃな」
「お前……そこは、馬か弓かでこっちが勝つ、と言えよ」
「……馬比べの二着は、こっちが貰う」
「卑屈だぞ」
同年代の軽口に、銀も思わず吹き出した。
「馬も弓も、譲らねえよ。スイは最高に調子がいいし、竜も新しい弓を仕立てた。うちの弟をなめるなよ」
銀の言葉に、三人は呻く。
「調子が良いスイとか、もう反則だろ……」
「お前、いい加減にしろよ本当に」
一族の面子を保ったと銀が満足していると、話し合いが終わった族長たちが若衆を招いた。明日からの次第、準備の分担などひととおり確認し合い、最後に王が重々しく口を開いた。
「それぞれ話しを聞き及んでいると思うが、各地から盗賊の被害の報告が相次いでいる。大祭の間は人の出入りも多い。見知らぬ人間に気を付けろ」
はい、と一様に頷き、各族長と若衆は王の幕屋を後にした。
あちこちで久しぶりに会う顔に挨拶され、幕屋へ戻るのには時間がかかった。しかし、遅い時間でも奈江と竜は靖真と銀を待ち構えており、戻ってきた銀をさっそく手招いた。。
「娘連中のところに更紗がいるはずだから、これを持っていってちょうだい。竜が邪魔するから、仕上げがこんなに遅くなっちゃったわ」
竜の頭を小突きながら奈江は笑い、竜もえへへと頬を緩めた。竜が胸に抱えた包みはどうやら大祭の衣装のようだ。まだ仕上がってなかったのか、と銀は呆れた。しかも、娘達のところへ持って行けと言うのだ。
「俺が?」
「そうよ。竜と一緒なら大丈夫よ」
夜に未婚の男が未婚の娘達の幕屋に行って無事に済むだろうか、たとえ小さな弟を伴っていたとしても。しかし養母の頼みを断ることも出来ず、仕方なく銀は請け負った。
「明日は早いわ。おやすみ、銀、竜」
「ああ。おやすみなさい」
「おやすみ、かあさん」
挨拶を交わして、幕屋を出る。他の一族と族長夫婦の幕屋は別に張られており、娘達の幕屋と若衆の幕屋もまた離れていた。若い娘たちが集まる幕屋を探して、ところどころ篝火が焚かれた草原を歩く。夜は更けていたが、久しぶりに会った友人たちと酒を酌み交わす者も多い。時々見知った顔を見つけて挨拶したり、更紗の居所を尋ねたりした。娘達なら、あの幕屋の裏に集まっていたぞと教えられ、竜を前に立たせてそちらを覗く。何を話しているのか、少し離れたところからでも、甲高い笑い声が聞こえた。
「あら。竜と銀じゃない。どうしたの?」
「こんばんわ」
竜に挨拶させ、銀はざっと一団を見回し更紗を探したが、果たして娘達の中に更紗はいなかった。
「更紗、いないのか?」
「さっき帰ったわ。族長のところへ行くと言っていたけど、会わなかった?」
「いや……そうか。ならいい。邪魔したな」
首を振り、それだけ言って銀は踵を返した。返そうとした。しかし、娘達はがっちり竜を捕まえており、嘆息して銀は彼女たちを見下ろした。
「なんだ」
「それ、更紗の衣装でしょ? 仕上がったのね、見せて」
「嫌だよ。早くしないとまたあいつ動くだろ。これ以上探し回ってウロウロするの面倒だ」
「大丈夫よ、逃げてるわけじゃないんだし。銀は仕上がったところ見たの?」
「見てないけど」
竜が、おれは見たよ、とか、きれいだったよ、とか余計なことを言い出さないよう、さりげなく銀は竜の頭を抑えた。
「じゃああんたも見たいでしょ? いいじゃない、ちょっとぐらい」
「別に見たくないし、明日になればいくらでも見れるんだからいいだろう」
銀が切って捨てるように言うと、娘達は一斉に大きなため息を付いた。
「だから、あんたって男はだめなのよ」
「いいのは馬だけなんだから、ねえ?」
そう言い合ってけらけら笑う。さすがに腹が立って、竜を抑えていた手がわずかに離れた。その隙を逃さず、竜はすかさず口を開く。
「おれは見たよ! すごくき」
「竜、行くぞ!」
竜の二の腕を無理やり引っ張り、立ち去る。娘達から不平不満の野次が飛んだが、気にしない。追って来ることもないだろう。早足でその場から逃げると、竜は自慢できなかったと悔しそうにしていたが、苦笑して諦めろと諭した。
さて、更紗はどこへ行ったのか。族長の幕屋からここへ来る途中では会わなかったから、結局違うところへ行っているのだろうか。姉夫婦がいる楽師の一団のところか、それとも。
「更紗姉、いないね」
そうだな、と銀はうなずき、少し考えた。こういう時、更紗はどこへ行くだろう。子どもの頃は、大祭で更紗の後ばかり追いかけていたのだ。なんとなく察しはついた。
「一度帰る?」
竜は喧騒から一転して静かなところへ抜け出して、急に眠気が襲ってきたようだった。帰りたそうな顔をしている竜を見下ろし、銀は竜の荷物を受け取ろうとしたが、頑固な弟は離さなかった。
「先に帰って休んでるか、竜」
「……いいよ、おれも行く。姉ちゃん、どこにいる?」
「たぶん、馬のところだろ」
幕屋の群れを通り過ぎると、その先は果てなく広がる草原と、各家の馬がつながれた馬場があるだけだった。スイがつながれているはずのところへ向かったが、スイがいない。ならばこっちか、と更に外れて、人気のない方へ向かう。月がしらじらと頼りないあかりを草原に落としていた。その光で、夜の闇より少しだけ濃い夜色の馬体と小さな影が、まとまって座り込んでいるのが見えた。
「更紗、人の馬を勝手に連れ出すな」
更紗ははっと顔を上げ、振り返った。その瞬間の無防備な表情にわずかに息を呑んだが、すぐに更紗は破顔し、はしたなく舌を出した。
「見つかっちゃった」
「さんざん探したぞ。そら、竜なんてほとんどもう寝てる」
寝てないよ、ともごもご口の中で返事して、竜は銀に背中を押され更紗に体当りするようにぶつかって腕の中の荷物をようやく届けた。竜を抱きかかえながら、更紗は銀を見上げる。
「わざわざ届けてくれたの? ありがとう」
「養母さんに頼まれたから、仕方なく、な」
軽口を叩き、スイのたてがみを撫ぜてから更紗の隣に座った。スイは嬉しそうに鼻を鳴らした。
「更紗姉、おれもこれ、刺繍したよ」
「知ってるよ、ありがとう。竜はどこを刺してくれたの?」
緑の葉っぱのとこ、という答えを受けて、更紗が包みを開けて衣装を広げるので、銀は顔をしかめた。作っている間、さんざん、丁寧に扱え、汚れたら困る、と口うるさく言われたのに、当の本人がこれだ。
「汚れるぞ」
「あら、銀にそんな気が回せるなんてね。竜、どのあたり?」
「黄色い花のとなりだった」
一族の祈りを込めて舞う舞手の衣装だから、仕立てる際に多くの人々の手が入った方が縁起がいいとされる。子どもたちも大人の男も刺繍をひと針ずつ刺したが、竜など男の子は、あまり派手でない分かりにくいところを分担したのだろう。更紗の胸の中で一緒に衣装をあちこち見ていた竜だが、やがてからりと笑った。
「分かんなくなっちゃった。まだ服の形になる前だったから」
あっけらかんと言う竜に、銀と更紗も思わず笑みがこぼれた。
「銀は? どこ?」
こちらを見ないで問う更紗に、銀も視線は返さなかった。たとえ一針でも刺繍をするのが面倒で、この衣装からはずっと逃げ回っていた。だから、針を刺した記憶は新しく、場所もよく覚えていた。
「……袖の先。赤い花の、花びらのどこか」
少し考えて、付け足す。
「…………たぶん、右袖」
視界の端に更紗の白い指が白い布地を検分しているのが映る。ややして、草が揺れる音にかき消えてしまいそうな細い声が届いた。
「……あったよ。赤い花」
そうか、と銀は頷いた。
「ありがとう、竜も銀も」
うん、と竜が素直に頷くので、ああ、と銀も答えた。
一時的に眠気が飛んだらしい竜が更紗と話しているのを聞き流し、銀は草原の風を感じ、大きく息を吸い込んだ。昼間の草いきれの名残と、間近に横たわるスイの獣臭さとで胸がいっぱいになる。そう、これだ、と思った。久しぶりに会った友も、新しい酒も、この日のために用意された食べ物も、そういったものも時にはいいが、やはりこの胸を満たし、体中の血を沸騰させるのは、草原と馬、それらに尽きる。満点の星空を見上げる。遮るものも何もない、一面の平原に放り出されている頼りなさよ、自由さよ。
今この周囲に、余計なものは一つもないように思えた。
「ねえ、銀」
なので、突然声がかかって驚く。更紗と竜がいることは分かっていたが、完全に意識の外だった。
「ちょっとその辺に立っててくれる」
「なんで」
「どうしても」
理由を言わない更紗もさることながら、おかしそうに笑っている竜も気になる。逆らえない気配を察し、銀は立ち上がり更紗が示す方向でぼうっと突っ立った。
「なんなんだ、一体」
「いいから! じゃ、竜はこっちを持っててね」
更紗が竜に衣装の端を持たせ、一気に包みを解いた。今まで隠れていた飾り紐や玉がばらばらと飛び出し、汚れるぞともう一度声をかけようとした時、更紗が大きく足を踏み出した。
風を孕んで袖が、裾が大きくたわむ。既に竜は手を離していた。袖を通すのではなく端を手で掴んで、ひらひら、ひらひらと衣装を風に遊ばせて更紗は舞っていた。玉がぶつかりあってちりちり音を立てる。足はいつの間にか軽やかな調子を刻んでいて、地についてしまうと思った裾は、飾り紐は、遊ぶように揺れている。衣装に施された色とりどりの刺繍は、時に咲き誇る花のように艶やかに、あるいは散る花のように儚げに、夜の闇を切り裂いた。
一瞬も止まることなく、衣装を汚さないため、おそらく普段よりも大きな動きで、舞は続いた。楽師の囃子はなかったが、風が草原を渡る音がそれに代わるように思えた。きらびやかな舞台ではなかったが、満天の星空がそれに勝った。
銀は、呼吸を忘れた。
「銀!」
舞いながら、更紗は銀の名を呼んだ。それでようやく我に返った。くるくる回る更紗と、一瞬視線が合う。更紗は突然袖から手を離した。
「受け取って!」
銀は反射的に舞の勢いを持ったまま空中に広がる衣装の端を掴んだ。更紗は裾を捕まえている。そのままもう一回転くるりと回って、トン、と銀の胸に収まった。
「…………おい」
「……びっくりした?」
やや上気した頬で、呼吸を整えながら更紗は微笑んだ。したよ、と頷き、更紗の手から衣装の裾を受け取って適当にたたむ。その過程で更紗は銀から離れた。
「ありがとう」
ぐしゃぐしゃに丸めた衣装を渡すと、次いで竜が駆け寄ってきた。
「更紗姉、きれいだった!」
「こんなのでよかった?」
竜がうんと頷く。わけが分からず、銀は竜と更紗を交互に見て、結局更紗に迫った。
「なんだったんだよ」
「竜が、舞いを見たいって言うから」
「は?」
竜を見下ろすと、弟はにこにこと満足気にしていた。
「衣装がきれいだったから、これを着た更紗姉の舞いを、みんなより早く見せてって言ったんだ」
「おまえ……」
この弟は、こんな物言いを一体どこで覚えてくるのだろうか。呆れて言葉を失っていると、竜はさらに近づいて来て、こっそり囁いた。
「兄貴も、見たかっただろ?」
ごん、と。
「なに? 銀、なんでよ。竜大丈夫?」
響いた音が竜の頭を殴った音だと、更紗が分からないわけもない。いつものことだよと竜は笑ったが、その態度が余計更紗の神経を逆なでしたようで、すごい形相で銀を睨んだ。銀は竜を引っ張って更紗と自分の間に立たせる。すると更紗は仕方ないわねと首をすくめて、竜の頭を撫でてその件を終わりにしてくれるのだった。
「ねえ、スイ。あんたの相棒は本当に乱暴で、何もわかってない男よね」
ちくりと嫌味を言うのは忘れない。今までじっと三人の様子を見守っていたスイは、更紗が竜の後に鼻を撫ぜると、気持ちよさそうに目を細めた。
「わかってるよ」
「何がよ」
娘連中に言われたのと同じようなことを更紗に言われたのが癪で、つい言葉が口をついて出た。
「お前が考えてることくらい、だいたいわかる。だからここもわかった」
予想外の言葉だったようで、更紗は僅かに目を丸くした。そう、と少しうつむいてますますスイの鼻面を撫で、それから、嬉しそうに微笑んで顔を上げたのだった。
* * *
帰りは、再び睡魔が襲ってきて半分眠ってしまった銀をスイに乗せ、銀と更紗がその両側を歩いた。
「竜、疲れてたのね」
「そうだな。今日はここに来るまで、だいぶ急いだから」
更紗の言葉に答えると、むにゃむにゃと頭上から寝言のような反論があった。
「つかれて……ないよ……おれ……げんきだよ」
「そうね、竜は、いつも元気ね」
更紗が笑いながら同意すると、竜はうん! と声だけは力強く答えた。まだまだ幼い弟に、銀も笑う。馬場が近付いていた。
「ねー、兄貴」
寝ぼけているのに相変わらず口やかましい竜が、また何か言う。なんだと応じると、くすくす含み笑い混じりの声が降ってきた。
「兄貴と……おれと……更紗姉だけだね」
「なにが」
「スイが乗せるの」
ああ、と銀は頷いた。誇り高く扱いが難しいスイは、限られた人間しかその背に乗せないし、基本的に銀の言う事しか聞かない。銀の他に、竜と更紗が、その限られた人間だった。
スイの馬体を挟んだ反対側で、そうねー、と更紗も間延びした声で答える。ねー、と語尾を繰り返した竜は完全に寝入ったのか、それ以上続く言葉はなかった。やがてぽつりと、銀は尋ねた。
「…………どうして、スイを連れ出したんだ?」
「……別に。なんとなく、仲がいい子と話したくて」
馬と話したかったという更紗を笑う者は草原にはいない。草原の民にとって、馬は財産であり、生活に欠かせない相棒であり、良き友人である。
たまに、何も語りかけてこない相棒とふたりで静かに過ごしたくなる気持ちはわかる。銀など、頻繁にそういう衝動が起きすぎるほどだ。
「そうか」
頷くと、更紗はくすくすと笑った。スイを挟んでいるので、その表情はわからない。本当に笑っているのか、呆れているのか、それとも作り笑いなのか。
「うそ。本当は、スイを連れ出せば、銀が来るかもしれないって思ったの」
なんと答えればよいか分からず、一呼吸の間迷って返事できずにいると、またくすくす笑いが聞こえた。今度は、本当に笑っていると確信できた。
「これもうそ。本当は、一人になりたくて、でも寒かったから、スイを連れ出したの」
きっとそれはどれも本当のことで、うそなどないのだろうと思う。
だから銀は、そうかと言葉足らずに頷くだけで、ただ、更紗とスイと並んで歩いた。草原と馬と、そして大切な家族と。今銀は、満たされていると思った。
余計なものは、何一つなかった。
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