志望校


時は過ぎて私たちは大学生になった。


私は家から近くの女子大に通うことにした。

母親が通っていた大学でもあったので前から気になっていたのだ。

高校2年生のときに、オープンキャンパスに参加したときにとても雰囲気が良く、他の大学では感じなかったがとても心が落ち着くと思ったことも入学を希望した理由だ。


周囲には志望校を言わなかった。昔から少し用心深いところがあり、人を最初から信じることが苦手だった。


人は何を言うかわからない。


志望校を言える人たちの気持ちがわからなかった。


落ちるかもしれない。

志望校を教えろと何度も言われて内緒だよ?と約束をしてもそんなの関係なく第三者に自分の内緒を言われてしまう可能性のが高い。

どうせ、みんな人の秘密を知りたいだけなのだ。


秘密を知りたいから内緒という約束を結ぶだけであって本当に約束を守る人などそうそういない。


最初から人は信じるべきではないのだ。


最終的に私は第1希望の大学へ進学が決まったので、受験から解放され、残りの高校生活を楽しもうと思っていた。

もちろんクラスメイトから進学先を聞かれるたびに自信をもって答えた。


『星野女学園にいく。』


***


咲良は私と反対に誰に対しても自信をもって志望校を言っていた。


『私、絶対に南ヶ丘大学に行く!!』


結局、推薦を貰えることはなく一般受験へ切り替えることになったが担任から成績が足りないと言われ、ランクを下げることになったのだ。

周りには『最近違う大学のほうが気になってたからそっちにする!』

と笑顔で言っていたが本当のことは言えずに意地をはっているのも私は気づいていた。



無理して笑っている彼女の顔を見て可哀想とか一緒に頑張ろう!などという感情は一切なかった。


正直、今考えるとどうでもよかったと思う。


だから秘密なんて言わなければよかったのにバカみたいと冷たい目で見ていた。


私にとって他人の人生なんてどうでもいいのだ。


私は自分の人生が思い通りになればどうでもよかったのだと思う。

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