第4話 藤原楓の話の続き

後から聞いた話では、バイトの応募は60人以上あり、あまりに電話が鳴り続けるから、受け付けは即終了したそうです。この難関になぜ、私が?その理由は、家が自宅なので、引っ越さないだろうということ。あと、かけた電話の話し方が一番よくて、社員さんが褒めてくれていたそうです。ビバ、学生時代にコールセンターでバイトしていたので、そのスキルのおかげでしょうか、よかったです。

そこの会社は主に雑貨や机・椅子を制作し、卸していました。都内のデパートにも専用スペースがあるらしく、販売員を常駐させています。シンプルだけど、機能的なパソコンデスクから渋い陶器の傘立て、子供用のタンスや洋服かけ、バイオリンをモチーフにした雑誌ラックなどもあり、カタログを見ていると、思わず欲しくなってしまいます。社販で買えるときき、是非と思っていたが、買う前に辞めることになりました…。

おっと先に大切なことだからお知らせしておきます。自分を擁護するようですが、辞めたのは、私が悪いからじゃない、時代のせいです、大袈裟ですが。高級なものが売れなくなり、安い商品ばかりが売れる時代になったからでしょうか。そして人口減、少子化などなど。確かに私は出来が良くないからかもしれませんが、一生懸命やってました。真面目さが取り柄ですからね。

初めの頃は三時間ぴっちり仕事があり、お客様から電話もバンバンかかってきましたから、受注を受けたり、忙しかったです。が、辞める一月前には、仕事は一時間で終わってしまい、電話も鳴らないので、座っているだけでは申し訳ないので、帰った方がよいかと思い、上司の方に相談して、帰らせてもらいました。社長はお優しい方でしたが、大変な状況であること、私はまだ5カ月しかお勤めしていませんが、お察しいたします。なぜなら、バイトの私自身も心配なくらい、会社の状況がおもわしくないことがわかりましたから。銀行さんからひっきりなしに電話があったり、いらしたり。最初は一人で若い方がいらっしゃいましたが、そのうち複数人でいらっしゃるようになり、これは大変だなと直感しました。

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