真理は私のパロスペシャルから解放されて、冷蔵庫から勝手にお茶を取り出して飲みだした。

「こういうのは時間が解決してくれるよ。あと30年もしたら私も美咲もおばあちゃんだから。夕子なんておっぱいめっちゃ垂れてるよきっと」

「時間が解決なんて、信じられない。なんでわかるの?」

「経験談」


 真理はこっちを向いてニヤリと笑った。

 私の知らないところで親友の真理もまた恋愛で悩んでいた事に気づくことができず、罪悪感のようなものを感じた。

「ゴメン真理。なんも気づかなくて」

「別にいいよ。どうしようも出来ないって言ったでしょ?」

 

 そして、何となくだけど真理の言った事が少し信じられてきた。どれだけ時間がかかるか分からないけど、長い年月が経過すればこのどうしようもない気持ちも晴れて決して無駄ではなかったと思える日が来ると信じてみよう。


「ありがとう真理。とりあえず真理の言ったとおり時間が解決してくれる事を祈って頑張るよ。

「まぁ、漫画のネームは時間で解決しないけどね。寧ろ時間がヤバイ」


 真理が指差した壁掛け時計は12時を差していた。

 ええええええええええ!!! 私達どんだけ青春パンクみたいな事してたの!!!!!???? ヤバイヤバイヤバイ


「どうしようどうしよう。さっき描いたヤツなんて到底使えないし! アイディア~アイディア~」


 私はトンチ小坊主のように頭の側面を指で円を書くように撫でた。

 全然ダメだ。新衛門さんが担当編集に首スパーンされている映像しか浮かばない。


「んー……このデザインじゃ恋愛漫画は描けないな。いっそ動物が恋愛の愚痴を言いまくるギャグ漫画とか」

「それだ!! ありがとう真理!! 大好き!!」


 真理の頬に感謝のキッスをお見舞いすると眠たいのか布団に潜ってしまった。でもそっちの方が丁度良い。ネームに集中できる。

 

 何とか短時間でネームを書き上げたが待ち合わせ時間ギリギリだ。軽く顔を整えて布団を頭まですっぽり被ってる真理に「晩御飯ウチで食べてるでしょ。晩御飯はハンバーグで良い?」と聞くと「おろしそ!(大根おろしとしそ)」と大きな返事が聞こえてきた。なんだ、起きてんじゃん。


 これなら新規連載獲得できそう。期待を棟に抱いて私は家を後にした。

 心の中はやっぱり少しモヤついてる。でも時間が解決してくれる事を期待して私はネームを片手に家を飛び出した。

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嫉妬 ときどき 好き のちに 別れ 5A @5A5A555

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